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 次に二人が話したのは、さなぎのお姉ちゃんのお話。

 さなぎのお姉ちゃんは木登みらいと言う名前のさなぎの二個年上の十二歳の女の子だった。(のはらが十一歳だから、三人はちょうど一個ずつ年齢が違うことになる)

 のはらは一人っこと言うことで、姉妹のいるさなぎのことをとても羨ましいと言った。

 のはらはそう言ってくれたけど、さなぎはそんなふうには思わなかった。確かにお姉ちゃんは優しいお姉ちゃんだったけど、すごく意地悪なお姉ちゃんでもあった。

 最近はずっと「東京に帰りたい」とか、「ここにきて私の人生は終わった」とかそんなことしか言っていなくて、さなぎはすごく不満だった。(そのくせ、自分はすぐに小学校の人気者になり、友達も、それからどうやら仲の良い男の子の友達もできて、みんなの前ではいつも楽しそうにしているのに、家の中にいると、「東京に帰りたい。みんなに会いたい」と文句ばかりをお父さんに言っていた)

 そんな話をさなぎがすると、のはらは「私はそのみらいちゃんの言っていることもわかるな。東京の友達とももう一度会いたいとも思うだろうし、さなぎちゃんのお話だと、たぶんボーイフレンドもいたようだし、もしかしたら遠距離恋愛を続けているのかもしれないけど、まあ、どっちにしても、さなぎちゃんみたいにこっちの生活のほうが楽しい、と思う子供のほうが珍しいんじゃないかな?」とのはらは言った。

「そうなんですか?」麦茶の入ったコップを両手で持って、一口飲んでからさなぎは言う。

「うん。そうだと思うな」とにっこりと笑ってのはらは言う。

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