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それからさなぎとのはらはいろんなお話をした。
そこで話題になったのが、さなぎの引っ越しのお話と、のはらのこの古い家での生活のお話。
それから、お互いの家族についてのお話だった。
さなぎはつい最近になって、都会にあるマンションの一室からこの自然の溢れる地方に引っ越しをしてきたばかりだった。
都会の暮らしも楽しかったけど、さなぎはこの自然がいっぱいある、ずっと憧れていた気持ちのいい透明な風と緑色の世界と、たくさんの命の溢れている、ゆったりとした時間の流れているような、そんな生活がとても気に入っていた。(だから、いつも「私は東京に帰りたい」とずっと言っているお姉ちゃんのことがあんまり好きではなかった)
さなぎはこの地方に引っ越しをしてから、ずっと笑顔だった。毎日が楽しくて、楽しくて仕方がなかった。
もちろん、うまくいっていないこともあった。
それは新しい小学校での新しい生活のことだった。
都会から引っ越しをしてきたさなぎは、新しい小学校のみんなとうまく友達になることができなかった。
だからさなぎは小学校ではいつもいつも、ひとりぼっちだった。(でもそれは東京の小学校に通っていたときも同じことだったから、それほど気にはならなかった。新しい環境で、新しい誰も自分のことを知らない、まだ見たこともない場所で、『自分の友達』と出会うことがさなぎの夢だったからそれが叶わなかったことは、とても残念なことだったけど……)
でも、その代わりにさなぎは森の中で不思議な妖精さんと出会って、妖精さんと『友達』になることができた。
それはさなぎにとってとても幸運なできごとだったし、『妖精さんと出会えたこと』で、さなぎはこの地方に引っ越しをしてきて本当によかったと思った。
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