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『確かにとても綺麗な人でしたね。木原のぞみさん。あの人を見ていると、なんだか私の心がすごくどきどきとしました』
妖精さんはいう。
妖精さんの言うことも、もっともだとさなぎは思う。
でも、違う。
さなぎがのぞみさんの姿に見惚れていたのは、たぶん、『そう言う理由』ではないと思う。
自分でもうまく自分の心を言葉にできないけれど、たぶん違うと言うことだけは、なんとなくわかった。
その自分の感じている違和感の正体を知りたいと思って考えているんだけど、その答えはどうしてもわからなかった。
「のぞみさんも綺麗だけど、のはらさんもすごく綺麗ですよね」
とさなぎはなんとなく、そんなことをのはらに言った。
すると、とても意外な反応がかえってきた。
「え?」
と言って、顔を真っ赤にしたのはらは、そのまま、その体の動きをぴたっと(まるで時間でも止まったかのように)止めた。
そんなのはらを見て、さなぎはどうしたのだろう? と思った。
のはらは(あの綺麗なのぞみさんの娘さんと言うこともあって)とても綺麗な人だった。
のぞみさんにあったときのように天使だとか、女神だとかそう思ったわけではなけれど、さなぎはのはらと初めて出会ったとき、まるでお姫さまみたいな人だと思った。(それくらい、のはらは綺麗で美しい人だった。一つしか年齢は違わないけれど、顔に土をつけて、虫取り遊びに夢中になっているさなぎとは大違いだった)
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