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 二人はのはらの家の縁側のところに座り込んでそんな会話をしている。

 時刻はお昼の午後の二時ごろ。(家の中にある時計を見て、現在の時間がわかった)

『本当に美味しそうですね。私も飲んでみたいです』

 いつの間にかどこかに姿を隠していた(きっと、のぞみさんがやってきたからだろう)妖精さんが麦わら帽子を脱いだ、さなぎの黒髪の頭の上に乗っかりながら、そう言った。

 家の中に言ってしまったのぞみさんは白い上着と黄色いスカートを履いていた。その鮮やかな色をした黄色が、なぜか今も、さなぎの目の中にほんのりした残り香のように残っていた。

「うちのお母さん。すごく綺麗でしょ?」とのはらが言った。

 のはらはどうやら、さっきさなぎがのぞみさんのことをじっと見つめていたのは、のぞみさんがすごい綺麗な人だったから、だと思っているようだった。(その理由もないわけではなかった。のぞみさんをみて、さなぎはまるでこの人はまるで物語の中に出てくる天使、あるいは女神のような人だとちょっとだけ思った)

「お母さんは昔からずっと綺麗だってみんなから言われてるんだ」

 のはらは言う。

 そののはらの言葉を聞いて、それは確かにあんなに綺麗な人が近くにいたら、みんながそう言うんだろうな、とさなぎは思った。

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