第33話 ノルマンディー作戦

岡本晃司「南雲長官、ここまでは大局的には、史実通りです」


南雲忠一「そうかやはり、大きくは、史実どおりだったか」


渋野忠和「南雲長官、ノルマンディー領域上空に空襲を行うと、

     フランスのかなりの非戦闘員に犠牲が出ます。

     例の作戦通り、アミアン、オルレアン、ル・マン、レンヌ近郊

     のドイツ駐留軍に空襲をかけ、事を行いましょう」


南雲「うむ、そうだな君たちが予知した未来通りの事になっていると、

   連合国各軍に電文を送り、君たちの作戦を実行する様、要請しよう」


  南雲は連合軍各軍に、最初言ってあった予定通り、事を運ぶ様に、

  暗号電文にて通知した。

  日本軍を始め連合軍はアミアン、オルレアン、ル・マン、レンヌ

  近郊のドイツ駐留軍に、空母からの航空機による空襲をかけ、

  補給路を断ち、ノルマンディー領域を孤立させた。

  そして食料もなく衰弱し、指揮が極度に低下した、ドイツ軍に対し、

  連合国は陸軍による、上陸を行った。


  ドーバー海峡を渡り次々に押し寄せてくる連合国軍により

  ドイツ軍は1か月程でノルマンディーを攻略された。

  しかし、ドイツ軍の守備の妙もあり、連合国軍はどの方面でも

  予定通りに進撃することができず、ノルマンディー以外の

  フランス解放は、この時点で、無理であった。

  南フランス上陸作戦(ドラグーン作戦)が行われたが、

  ドイツの抵抗で、プロヴァンス地方が解放されただけであった。


晃司「南雲長官、一旦作戦室へ行きましょう」


南雲「今から作戦を決めるというのか。まあとりあえず作戦室へ行こうか」


    南雲、晃司、忠和の3人は作戦室へ入った。


忠和「南雲長官、実はここまでも作戦内容は違いますが、結果的には

   ノルマンディーの解放がなされただけと言うのが、史実通りで、

   フランスの他の領域は解放されません。

   ここから我々に大局的な戦略的考案をしますので、

   これからも我々の作戦を長官始め連合国諸軍に、支持する

   様に電文等お願いします」


南雲「うむ、そうかそういう事か。それなら君たちの作戦を聞こう」


    晃司と忠和は、南雲に作戦を述べ、連合国各軍への指示をする

    様に願い出た。


南雲「そうか、そちらへ連合国軍を動かすか。日本には未来を予知できる

   人間が複数いると言う事を、連合国各軍は知っている。

   今回も日本軍の、その人物二人の提案と言えば、こちらの

   作戦に従う可能性は高い。

   その案をとり、連合国各軍へ通達してみよう」


  南雲は日本の未来を予知できる人間が今、日本軍に二人いることを

  連合各軍に改めて協調して、彼らが以降の作戦を立案し、

  従ってもらう様通達した。

  イギリス軍始め連合国各軍は、日本軍の要求に応じて、

  この作戦をとることにした。


  連合国軍は地中海方面のイタリアから北上し、フランスにおける

  ドイツ軍を攻撃する作戦にでた。


  晃司と誠一の提案でまず、シチリア島に空襲を行い、軍事拠点を

  手薄にし、陸軍を上陸させるという、ごく基本的なものであったが、

  連合国陸軍の、戦力低下を防ぐ、重要な案であった。

  更には二人はその先を読んでいたのであった。


  連合国軍は日本空母を軸にシチリア島に空襲をかけ、その後

  連合国軍の陸軍が上陸し、シチリア島の占領に成功した。

  その際ムッソリーニが逮捕され幽閉された。


  新しく、イタリア政権を組織したのは、ピエトロ・バドリオで彼は、

  連合国軍との、休戦を表明した。

  この休戦の結果、ドイツ軍はイタリア半島全土を占領した。


  バドリオの政府は、休戦を表明するとただちに

  イタリア半島南部の、ブリンディシに脱出した。

  この後降伏文書に調印、連合軍の一員としてドイツに

  宣戦布告を行った。


晃司「南雲長官、イギリス軍にムッソリーニをイギリス本国に送り

   幽閉する様、要請しましょう」


南雲「うーむ、イギリスが要求を呑むかが心配されるが」


忠和「今後このままでは、ムッソリーニをドイツに救出されると

   イギリス軍に通達して、要請すれば可能性は高いかと」


南雲「そうか予見したと、その旨言い、イギリスへ通達しよう」


  南雲始め日本軍はイギリスに今後の作戦の展開も述べ、

  ムッソリーニのイギリス本国への幽閉を要請した。

  イギリスはこの要請に応じ、ムッソリーニをドイツ軍に

  救出されない様に、本国に送った。


  これによりイタリアは名目上枢軸国から離脱、更に、

  ムッソリーニがドイツ軍に救出され、傀儡政府が

  作られる様なことがなくなり、ドイツは、これ以上戦いを

  続ける大義名分がなくなったのであった。


  ドイツ軍は名目が無いまま、イタリア北部を占領していたが、

  ドイツ国内や軍部内でもこれ以上戦いを続ける意味があるのか

  疑問に思う者も増え、軍、国民ともその指揮は

  次第に低下していった。

    

  これが晃司と忠和、特に忠和の第一の狙いであった。


  イタリアは山地が多く攻めるに難く、守るに易い地形であり、

  そのままの陸軍の侵攻では困難を呈するとし日本軍は

  イタリアにいるドイツ陸軍の戦車などを、空母による

  航空戦力で前もって、削り取る作戦を打ち出した。


  これにより、モンテ・カッシーノ、アンツィオの戦いは、

  それほど攻めるのに困難ではなく、イタリア中部まで

  戦線を押し上げた。

  続く、中部イタリアの防衛戦ではイタリアの首都ローマが陥落し、

  ドイツ軍は4つの防衛線を引き抵抗を続けた。


  しかし、アルノ線まで連合国軍の突破を許し、フィレンツェが

  陥落した。

  更に続く、北部イタリアの防衛戦では、ドイツ軍は四重の

  防衛線を敷き直し、抵抗を続けた。

  ただ、既に背後のフランス領の、プロヴァンス地方は陥落

  しており、抵抗は限定的なものであった。


  連合国軍はフランス南部へ進撃した。

  同時に自由フランス軍もアルプス山脈を超えて、

  ヴァッレ・ダオスタ州のアオスタへと侵攻した。

  アルプス山脈まで追い詰められていたドイツ軍司令官

  フィーティングホフは、連合軍に休戦を申し込み、

  降伏、これでイタリアの戦いが終結した。

     

  その後、ドラグーン作戦が実行され、南フランスも

  連合国軍の手に落ちた。

  1943年7月、パリの解放が行われ、フランス共和国臨時政府が

  パリに移転した。


  この戦いは、連合国軍のフランス解放を果たし、連合国軍の

  作戦成功に終わり、日本軍の名声を高めたのであった。


南雲「戦いは完全に我々連合国軍の勝利だよ。岡本少佐、渋野中尉、

   君達の功績は多大だよ」


晃司「恐縮です、南雲長官」


忠和「恐れ入ります、南雲長官」


南雲「この作戦と、結果については詳細を、山本長官と軍令部宛てに、

   書くよ、君たちの方から直接渡した前」


晃司「ありがとうございます」


忠和「ありがとうございます」

  

  ここで、日本海軍連合艦隊は日本に全軍引き上げたのであった。

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