第23話 任務地にて
一花と胡桃は永野の執務室にはいった。
園田一花「永野総長、そういう事なので、長い間お世話になりました。
これから新しい、任務に就きます」
井上胡桃「永野総長、私は短い間でしたが、色々お世話になりました」
永野修身「わかった、それなら二人とも、草鹿任一学校長に、ワシからも
一筆書いておこう。それと井上君、これが少尉の辞令だよ」
永野は胡桃の辞令と、書面で、草鹿学校長に、一花と胡桃を宜しく、
と言う文章を書いてそれぞれに手渡した。
一花「何からなにまでお手数をおかけします、総長」
胡桃「ありがとうございます、総長」
永野「これで惜しみなく、別れられるな」
一花「今までありがとうございました」
胡桃「色々お世話になりました。ありがとうございました」
永野「山本長官には一報入れておく、安心して行ってきなさい」
一花「はい、失礼します」
胡桃「失礼します」
その日、一花と胡桃は東京をたち、広島の江田島、
海軍兵学校に向かった。
翌日、海軍兵学校に着いた、一花と胡桃はそれぞれ、
下士官に軍令部よりの、命令書を見せ兵学校学校長草鹿任一に
会った。
一花「お久しぶりです、草鹿学校長」
草鹿任一「やあ園田君。永野総長も、君が軍令部についてからすぐ、
連絡下されば良かったのに、忘れておられたとか言って
られていたよ。軍令部からの話は聞いているよ」
一花「草鹿校長、紹介致します。こちら私の未来の防衛大の同期生の
井上胡桃です。ここでの階級は少尉です」
胡桃「初めまして草鹿学校長、園田一花と防衛大の3年の同期生で寮の
同じ部屋の、井上胡桃と申します」
草鹿「お初にお目にかかる井上君、草鹿任一じゃよ。現在海軍兵学校の
学校長をさせてもらっている、宜しく。
では君たちの預かった、軍令部からの命令書をもらっておこう」
一花と胡桃は、軍令部からの命令書を、永野の嘆願文と一緒に、
それぞれ渡した。
草鹿「おお永野総長の嘆願書まで同封とは、確かに受け取った。
草鹿は命令書の内容をじっくり読み、一花と胡桃に職場等を
それぞれ紹介しはじめた。
一花「草鹿校長、胡桃いえ井上少尉の提案で、女性士官、女性下士官の
養成学校創立を軍令部より政府、内閣を通して提案して、彼女は
少尉になったと言う経緯です」
草鹿「そうなのか、やるねえ井上君。確か君らの時代では、防衛大というのは
今でいう将校の養成学校だったな、確か君たちはそこの、学生じゃのう」
胡桃「ええ、草鹿校長、これは永野総長を始め軍のトップの方々に、再三
言ってきたのですが、私たちの世界や日本では、企業のトップや
政治家まで、あらゆる方面に女性の社会進出がなされています。
軍関係でも、十分女性は活躍できる思います」
草鹿「そうか、しかし政治家までとはのう。半世紀程でずいぶん世界は
変わるものじゃの。まあ今回は、君らが居てくれて、助かるよ。
さて、君らの職場や、寝室等を紹介しよう。来たまえこちらだ。
女性将校候補生は5名、内兵科は3名で、園田君、井上君、君たちは
それぞれ歴史と法律を担当してもらう。
まあ後は男性教官に教育してもらうが。
女性下士官候補生の30人強は二学級に分かれてそれぞれ、
君たちに担任をしてもらう。
そうなればどっちの学級が成績を伸ばすか、君たちの競争じゃよ。
まあ下士官の方も、専門専門によって、ある程度教官が変わって、
男性の教官もあたってもらうが、こちらは全学科担当して
もらうが、主には歴史は園田君、法律は井上君に担当してもらう。
と言う事でなにか質問等はないかな?」
一花「色々と情況は把握しましたが、体力技能の方の訓練についてですが、
私たち防衛大では、男子と女子は同じように扱われ、そのスケジュール
も理解しております。
これも私たちがあたって宜しいのでしょうか?」
草鹿「体力訓練か、当初男性の教官をあてようと思っていたが、君らが
何とか出来ると言うのであれば、全てとは言わないが、君らも
この訓練にあたってもらう様に、することにするよ」
一花「分かりました。体力訓練に関しては、どうしても女性教官が、特に
下士官指導にはいたほうが、気分的に生徒たちにもいいと、
思いますので」
草鹿「そうかもしれないね。その点宜しく頼むよ二人とも」
胡桃「草鹿校長、あとこれは軍令部の権限になるんですが、命令文に
書いていたかもしれませんが、工学技術この時代では科学技術に
あたる分野に関して、静岡の牛尾実験所に、私たちを派遣する命が、
幾度となく下るかと思いますが、その折、学校教育を私達は、
休まなければなりません」
草鹿「その点は、命令文にもあったよ、君たちは何かかなりの高度な
知識を持っているそうだね。
この時代の研究員と一緒に研究するほどの。
その時は互いに学級を、君らに、担任代行も含めてやってもらい、
最初の内、一緒に静岡に行くときは、他の男性教官が
あたることになるよ」
胡桃「分かりました、それで何とか行けると思います」
草鹿「ああそうだ園田君、井上君も、君たちが来たことを岡本教官に
言う為、彼を呼ぶよ」
一花「岡本少佐の、ひいお爺さんにまた会えるんですね、宜しく
お願いします、校長」
胡桃「岡本少佐のひいお爺さんが、ここにいるの?一花」
一花「そうよ、私たち最初来た頃、岡本少佐のひいお爺さんから、
学校長を頼って、それぞれの任についたのよ。
岡本少佐のひいお婆さんと、ひいお爺さんが居なければ、私たち
この時代で生きてさえ行けなかったよ、胡桃」
胡桃「そうだったんだ」
草鹿は一花たちが来ているということでその理由を含めて、
誠吉を呼び出した。
一花「お久しぶりです、岡本教官」
岡本誠吉「やあ一花君、君がこちらにまた来ていることは、学校長から
聞いていたよ。ずいぶん久しぶりやね」
一花「こちらの時代からしたら特にそうなりますよね、あそれと紹介します。
彼女は私の未来の防衛大の同期生の、井上胡桃です。ここでは少尉です」
胡桃「初めまして岡本教官。園田一花の防衛大の3年の同期生で、
井上胡桃と申します。
彼女とは寮で同室です。
あと岡本少佐とは、顔見知りです」
誠吉「初めまして、井上君、岡本誠吉と言うよ。一花君とは以前からの縁で、
君の顔見知りの、岡本晃司の曾祖父(そうそふ)にあたるもんだよ」
胡桃「その件は一花から伺っております、岡本教官。岡本教官がいなければ
今の岡本少佐と一花も無かったと」
誠吉「まあそんな大したもんじゃないんだけどね。君たちがここに来た訳も、
校長から伺っているよ」
一花「そうでしたか。これからお仕事、ご一緒出来ますね、岡本教官」
誠吉「そうやね、君たちの手腕に期待しているよ。では校長、私は仕事を
残してきていますのでこの辺で。一花君、井上君もまたこれから
いつでも話が出来ると思うから、その時はいつでも、
色々とわからないことがあれば、相談に乗るしね」
一花「ありがとうございます」
胡桃「ありがとうございます、岡本教官」
誠吉「では校長、失礼します」
誠吉はその場を去り、元の任務に就いた。
草鹿「ではふたりとも、君らの寝室を紹介する、こっちじゃよついてきたまえ。
ああ、お互い個室をとってはいるが、希望があれば特に最初は一緒の
寝室でもかまわんよ」
一花「どうする?胡桃」
胡桃「じゃあ最初は一緒の寝室にしてもらおうか、一花」
一花「そうだね、そういう事です校長。仕事に慣れれば個室でいいです」
草鹿「わかった、こっちじゃよ」
草鹿は、一花と胡桃を寝室まで連れて行った。
草鹿「この部屋じゃよ」
一花「海軍兵学校の生徒たちは大部屋一室なのに、私たちだけこんなにいい
部屋でいいのかなあ」
胡桃「それどころか、そのうち個室にしてくれるみたいよ」
草鹿「まあ生徒たちには協調性やらなんやらも、身につけてもらわんと
いかんからの。
それと恐らく、永野総長辺りから連絡は行くと思うが、こちらからも
山本長官には、君らの事は連絡を入れておくよ。
あと到着した女生徒には、特に士官候補生に関しては、君らに来た
生徒から逐次紹介するよ。
それから各教官には、君らの事は、素性は伏せて、今日でも明日でも
講義等が終われば、紹介するからね。
全生徒が到着し次第、教育にあたってもらうことになるから、
いいかね、二人とも」
一花「分かりました。ありがとうございます、校長」
胡桃「了解しました。ありがとうございます、校長」
一花と胡桃は言われた通り、草鹿に各人にその後紹介された後、
女性士官、女性下士官の教育が、始まったのであった。
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