第20話 紹介1

    少々時は遡り、2月上旬、内閣で審議中の、女性下士官、女性将校

    養成学校創設にあたって議論されていた中、永野は一花と胡桃

    を執務室に呼び、山本始め大和の彼女達の事を知っている将校に、

    挨拶してくるよう言い渡した。


永野修身「2人とも、このまま待っていても、仕方がないだろう。

     大和に行って、特に山本長官や、君らを知っている

     人たちに、挨拶してきなさい」


園田一花「はい、ありがとうございます、総長。山本長官や宇垣参謀長、

     黒島首席参謀にとっては、私はかなり久しぶりになるでしょうし、

     なにより、胡桃の紹介をしてこようと思います、総長」


井上胡桃「ありがとうございます、総長。永野総長だけでなく、

     あの山本五十六大将に会えるんですね」


永野「うむ、軍用機を手配するから、間に合えば、渋野君にも

   会えるかもしれんぞ、井上君」


胡桃「ほんとですか?って総長・・」


永野「とにかく行ってみることだな、二人とも」


一花「わかりました」


胡桃「はい、わかりました」


    こうして、一花と胡桃は空港まで行き、そこから手配された、

    軍用機に乗り、広島まで行き、広島港に停泊中の大和まで

    ついた。


胡桃「これが戦艦大和かあ、大きいなあ、戦艦って」


一花「そうね、私たちの時代は、戦艦なんてないもんね」


胡桃「この艦が、連合艦隊の旗艦よね、中に山本長官たちがいるんでしょ?」


一花「ええ、何かの用事が無ければね、行きましょ、胡桃」


    一花と胡桃は、艦橋前まで行き、下士官に声をかけられた。


下士官「ここから先は艦橋になっております。許可の無い方は入れません」


一花「私は軍令部所属園田一花中尉と、同じく彼女は軍令部所属井上胡桃

   次期少尉です。

   永野修身総長の命で、山本五十六長官に会いに来ました。

   お取次ぎ願えますか?」


士官「分かりました、取り次ぎましょう。そのままお待ちください」


胡桃「次期少尉って、一花」


一花「まあいいじゃない、ね」


    しばらくして中から、別の将校が出てきた。


岡本晃司「やあ二人とも、連絡は永野総長から、山本長官を通して

     もらってるよ」


一花「あ、晃司さん。お久しぶり・・と言うほどでもないのかな」


胡桃「岡本さん、渋野さんはもうたたれましたか?」


晃司「ああ、先日ここをたったよ。永野総長を通して、山本長官から

   連絡が言っているはずやけど」


胡桃「そうでしたかあ、もうたたれてたんですね」


晃司「忠和なら大丈夫よ、長田さんと加古川さんもいることやし、

   心配せんでいいよ」


一花「そう思うよ、胡桃。晃司さんと渋野さん、それに長田さんと

   加古川さんの、最後話し終わったとき、自信ありそうな

   感じだったでしょ」


胡桃「まあこれと言って心配はしていないけど、もう一回励まして

   あげたかったな」


一花「渋野さん、きっと大成功を収めて、凱旋(がいせん)してくるよ、

   胡桃」


胡桃「そうだね、心配はいらないしね」


    しかし晃司にはその点心配はほぼなかったが、別の意味で

    気がかりになる事があったのであったが、一花は忘れて

    しまったのかな、とも思った。


晃司「まあ二人とも作戦室に行こう。こっちやから、案内するよ」


一花「大和の作戦室は、私も久しぶりかな」


胡桃「大和の作戦室かあ」


    3人は作戦室に入り、晃司はまず、山本を呼んだ。

    そして山本が入ってきた。


山本五十六「よう、中尉に昇進したんだったな園田中尉。久しぶりだな」


一花「お久しぶりです、山本長官。それと紹介致しますが、こちら未来での

   私の防衛大の同期生の、井上胡桃です」


胡桃「お初にお目にかかります、山本長官、閣下のご高名は後世でも

   伝えられております。園田一花とは未来の防衛大で3年の同期生で、

   寮の同じ部屋の、井上胡桃と申します。お会い出来て光栄です」


山本「いやはやそんなに有名かね、私の名は?井上次期少尉、

   それで君は、園田中尉とルームメイトなのか?」


一花「えっ」


胡桃「山本長官、次期少尉ということは、その件のお話をお聞きに

   なっておられたのですか?」


山本「うむ、永野総長が君の肩の荷が下りるまでは、黙っていた

   らしいが、もうあとは、国会決議だけだからということで、

   おっしゃっていた」


晃司「山本長官がご存知とは、僕も知りませんでしたよ。それと二人とも、

   山本長官は知っての通りアメリカに留学経験があり、英語の

   読み書きは、十分に出来るよ」


山本「うむ、まあ井上次期少尉、園田中尉も今から、宇垣参謀長と

   黒島首席参謀だけ呼ぼうと思うが、この件は内緒に

   した方がいいか?」


胡桃「山本長官、それだったら時期少尉と呼ばれる以上、この件全て

   お話ししてもらったほうが返って気が楽です」


晃司「あ長官それと、僕と、忠和、園田中尉、井上次期少尉は

   皆お互いに面識はあると、お二人に伝えてください」


山本「分かった、では俺自ら呼び出しに行こう」


    山本は、宇垣と黒島を呼び出しに行った。

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