第13話 過去にて1
軍令部建物内の自室で、一花と胡桃は待機していた。
そこへ、永野からの呼び出しが、二人にあった。
二人は永野の執務室へ向かった。
園田一花「失礼します、総長」
井上胡桃「失礼します」
永野修身「落ち着いて聞きなさい。連合艦隊の山本長官から、電話が
次長の所にあって、ワシに変わってほしいと言われて、
ワシの部屋にかけなおしてもらって聞いたんだが、
山本長官のところに、岡本少佐が先ほどまで居たらしい。
それと岡本少佐の防衛大の同期生の、渋野忠和と言う人物も
一緒にいたらしい」
一花「こう・・岡本少佐が、この世界にきてらしたんですか?
それと渋野さんまでも」
胡桃「総長、渋野さんもですか?」
永野「うむ、嬉しそうだね、園田君、それとそんなに声を上げて
どうしたのかね、井上君」
胡桃「いえ、別にそんな」
一花「また、からかわないでくださいよ、総長」
永野「ふふ。それで今二人は大和をたって、こちらに向かっているらしい」
一花「岡本少佐が来られるんですか?」
胡桃「ほんとですか?総長」
永野「二人とも落ち着いて、それで多分到着は、明日の朝になると思うよ。
それとワシはしばらく、日本に滞在せねばならなくなったよ。
まあ要件はそれだけなんだけどね」
一花「他に何か、聞かれなかったんですか?」
胡桃「彼らが、何かの任務につくとか」
永野「いや聞かんかった、自分たちで聞いてみい」
永野は、忠和の出兵の件を、山本の提案もあり、
あえて、彼女たちに公言しなかった。
一花「はい」
胡桃「わかりました」
永野「まあそういうことだ、自室に戻っていいぞ」
一花「わざわざありがとうございました、総長」
胡桃「ありがとうございました」
永野「若いっていいのう、君ら2人とも」
一花「恥ずかしいですよ、総長」
胡桃「2人ともって、私たちはまだ」
永野「まだ?」
胡桃「もう、総長ったらあ」
一花「では私たちは自室にもどりますので、何かあったらまた、
呼び出してください」
胡桃「それでは待機しておきますので、失礼します」
一花と胡桃は、自室に戻り、夜中になった。
胡桃「一花、起きてる?」
一花「起きてるよ、どうしたの?」
胡桃「また眠れないよ」
一花「私もよ眠れないよ」
胡桃「いつもはよく眠ってるくせに、あんたやっぱり、岡本さんが
いなくて、不安だったんでしょ」
一花「そういう胡桃も、もう私が晃司さんに対するくらいに、渋野さんの
事が、気になってるんじゃいの?」
胡桃「あんた達、完全に両想いのようでいいわね。私なんか渋野さんが、
私の事、どう思っているか考えたら気になって、最近毎晩の様に、
これなのよ」
一花「大丈夫よ、渋野さんだってきっと、胡桃の気持ちわかってくれてるよ。
もし今は、そこまでなくてもその気持ち、きっと伝わるよ。
私も今日は、人のこと言えないけど、いつもは寝れてるからいいけど、
いつものようにそんなのだったら、壊れちゃうよ」
胡桃「うんそうだね、ありがと、一花。男の事でこんなに悩んでたら、
仕事なんて出来ないもんね」
一花「そうよ、いつもの胡桃らしくなってきてるよ。それともし何だったら、
晃司さんに相談して、それとなく胡桃の気持ち、渋野さんに伝わる様に、
頼んでみてもいいよ」
胡桃「それはいい、そこは自分で何とかする。その方が相手に自分の
気持ちが、よく伝わると思うから」
一花「そうだね、やっぱり胡桃はしっかりしてるよね。こういう事も
胡桃だったらそう心配いらないよね。じゃあ寝よ」
胡桃「うん、一花もちゃんと寝なさいよ。じゃあお休み」
一花「お休み」
そして夜が明けた。
一花「おはよう、胡桃」
胡桃「おはよう、一花」
一花「どうだった?眠れた?」
胡桃「普段睡眠不足だからかな、なんとか眠れたよ、少しだけど」
一花「少しでも眠れてよかったね」
胡桃「一花は?」
一花「私も少しだけど、眠れたよ」
胡桃「お互い男に仕事、両立は大変よね」
一花「まあね、って言っても胡桃は仕事は、すごい手腕を発揮しそうよね。
私じゃかないそうにないよ」
胡桃「まだ分からないよ、運も味方してくれないとね」
一花「仕事かあ」
胡桃「はっきり言って私たち、防大生でも、その辺の女とはちがうんだから、
男にうつつをを抜かしてる場合じゃないんだよね。
とは言っても性差がある以上、人間として恋愛も大事だと思うけどね」
一花「なんか昨日の胡桃とは違うね。最近は、普段もだけど、睡眠不足で
弱ってたのかもしれないね」
胡桃「自衛官幹部どころか、私たち元の世界に戻れるかどうかわからない
状況で、軍人将校として、生きていかなければならないのよ」
一花「そうだよね、私なんか既に海軍中尉にまで、なってるんだもんね。
仕事は仕事、恋愛は恋愛として分けて、考えないとだめだよね」
胡桃「そうだね、まあ恋愛は大いにやるべきだと思うし、否定なんて
しないよ。仕事はしっかりやればいいだけだから、
それでいいんじゃないかな」
一花「じゃあ今は、お互い思う男性を待つことにしましょう」
胡桃「そうだね、朝って言ってたから、もう少しで着くころよね」
しばらく経って、永野より二人に呼び出しがかかった。
一花と胡桃は、永野の執務室に入った。
一花「失礼します」
胡桃「失礼します」
永野「これで揃ったな」
一花と胡桃の前には見慣れた男性たちの姿があった。
晃司と忠和であった。
一花「こう・・岡本少佐お話しを聞き、お待ちしていました。渋野さんもです」
胡桃「渋野さん、同じくお待ちしていました。ようこそ、岡本少佐も」
岡本晃司「やあ園田中尉、元気にしてた?井上さんも、二人ともやっぱり
こっちの世界に来てたんやね」
渋野忠和「井上さん、俺たちこんな世界にタイムスリップしてしまったんだね。
晃司と園田中尉は以前もらしいけど」
胡桃「本当に信じられないですよね。こんな世界にくるなんて、渋野さん」
忠和「ほんと、すでに晃司と園田中尉が史実を塗り替えてしまった
後なんだしね」
永野「まあ今回は4人だしワシが退室しようか」
晃司「いえいえ、やはりここは総長の執務室ですし、私たちが外に出ます」
永野「そうか、遠慮せんでいいんだがなあ」
晃司「いえやっぱり、あそれと忠和の永野総長への自己紹介は済みましたが、
伊藤次長に私たちの正体を明かしたそうですね」
永野「そうだよ、色々と事情もあってな。その辺は後で君らで話し合ったらいい」
晃司「なら伊藤次長にも、忠和の自己紹介をしなければなりませんね、
私も改めて、挨拶がしたいですし」
永野「そうだな、次長の部屋には色々と人の出入りもあるし、
彼をここに呼ぼう」
永野は伊藤を呼び出した。
しばらくして伊藤が顔を出した。
伊藤整一「どうかなさいましたか、総長」
永野「もう一人未来人を紹介しようと思う。そこにいる渋野忠和君だ。
彼は岡本少佐と未来の防衛大で同期なのだよ」
誠一「初めまして伊藤次長、渋野忠和と申します。岡本少佐とは
防衛大で同期生の4年です」
伊藤「これは、伊藤整一だ。軍令部の次長をさせてもらっている。
宜しく渋野・・、ああ階級は」
永野「一応時期中尉と言っておこう条件付きだがな」
伊藤「じゃあ渋野次期中尉宜しく。岡本少佐も久しぶりだなあ」
晃司「ご無沙汰しております、伊藤次長」
永野「呼んだ要件は、二人の挨拶だけだよ。忙しい所すまないな」
伊藤「いえ問題ありません、まあそれだけなら例の仕事がありますので、
私はこれにて失礼します」
伊藤はそのまま退室していった。
永野「さて、まあじゃあ君たちだけで話をしてきたまえ」
晃司「はい、じゃあ失礼します、総長」
一花「行って参ります、総長」
忠和「失礼致します」
胡桃「失礼します」
4人は軍令部の建物を後にし外出していった。
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