第12話 行動 主人公編3

岡本晃司「なあ忠和、お前が頼んだ様にうまい事、山本長官に任務と、

     中尉待遇の話、したつもりやったけど、俺の言い方もどっか

     ぎこちなかったんか、長官はお前の考えてることくらい、

     簡単に見抜いたぞ」


渋野忠和「そりゃそうだろ、別に隠すつもりなんかなかったけど、何しろ

     連合艦隊司令長官なんだからな。

     お前の性格もよく知っているだろうし、俺を利用して、お前の

     乏しい競争心をあおって、更にはこの艦の参謀連中や、他の

     艦の参謀連中まで、その競争心を加速させよう、とくらい考え

     てるだろうな」


晃司「俺は史実を知っていたから、結果が出せたのが大半で、そう

   言っていたのに、高く評価されすぎてしまってもうた

   かもしれんな。

   これから俺自身ももちろんやけど、お前にも負担かけさせて

   しまうかもしれんな」


忠和「とは言っても、その結果というのが、最終的に日本の敗戦を

   救ったんだもんな。

   そりゃあ、誰でも期待したくなるぞ」


晃司「としたらあの人の事や、俺ら未来人の利用価値が、まだあると

   考えて、日本海軍の司令官や参謀と言った、作戦にかかわる人間の

   意識を高めて、それに関しては世界一の海軍にしようとくらい、

   考えてるかもしれんぞ。

   そう考えても、まだ底が知れん人やなあ」


忠和「そう考えたらほんと、底知れない人物なんだなあ、山本五十六大将と

   言う人は。それなら、俺はかなりプレッシャーになるが、お前は

   どうだ、晃司」


晃司「まあ、そういうのもまったくプレッシャーがないって、言うたら

   嘘になるけど、そこまでは、まあ山本長官の責任やからな。

   俺らはお互い出来る範囲のことを、やっていったらええんと違うか」


忠和「相変わらずマイペースだなお前は。俺もそういうところは見習うと

   するか」


晃司「まあ長官の所に行こか」


忠和「そうだな」


    晃司と忠和は、山本の所に行った。


晃司「おはようございます、長官」


忠和「おはようございます、山本長官」


山本五十六「おう2人とも、おはよう」


忠和「山本長官、自分の、いや私の派遣ですが、いつ頃になりますか?」


山本「俺の前ではかたっ苦しくせんでいい。言いやすいように

   言ったらいいぞ。

   それで、早いうちがいいだろう。もう数日もせんうちに、

   ここを立ってもらう様、こちらも段取りをしておく。

   それまでは黒島等に、手が空いている時にでも、実戦等に

   ついて色々教わるといいぞ、晃司お前もだぞ。

   なにしろ黒島は、お前よりも実戦経験は、ずっと上なんだからな」


忠和「分かりました、数日以内ですね。それとおっしゃる通り、

   黒島首席参謀辺りにも、色々と教わっておきます」


晃司「僕も一緒に、黒島首席参謀には、ご享受して頂きますよ」


山本「うむ、そうだ晃司、お前が戻って来たことを適当な理由を作って、

   軍令部のほうに一報いれておく」


晃司「適当な理由と言いますと、永野総長はおられないんですか?」


山本「永野総長は、日米の和平が成ってから、アメリカに滞在している。

   総長の席はそのままだから、ちょくちょく帰国される

   らしいのだがな。

   今は戦争状態に突入して、帰ってきているかもしれんが、

   連絡すらよこしてくれない。

   なにしろ俺が独自に連合艦隊を、動かしているからな」


晃司「そうでしたか総長は、かなりの親米派ですしね」


山本「しかし今の日本の状況を考えれば、そう日本を離れていることも

   できまい。

   そういえば忘れていたが晃司、久々に今夜あたり一局どうだ?

   渡辺と藤井も呼ぶ。

   2人には、お前の事は、うまい事言っておく、話を合わせる為に

   聞いていろ」


晃司「そうですね、長官にも渡辺中佐にも五部に戻されたままでしたしね。

   是非とも指しましょう。

   そういえば長官、あの後、元の世界に戻って正月休みだったので、

   帰省して実家の80過ぎた祖父と、久々に将棋、真剣勝負

   しましたが、負け越してしまいましたよ。

   長官や渡辺中佐に感化されたのか、仕返ししないと気が

   済まなくなってしまいましたが、そのままこっちに

   来ましたが」


山本「ほう、お前の爺さん80過ぎて、今のお前より強いのか、

   若い頃なら、藤井といい勝負するくらい、あったのかもしれんな」


晃司「どうでしょうね。まあ80過ぎても元気なもんでしたよ。

   この時代ではまだ小さな子供ですけどね、前回来た時、子供の

   祖父と話をしましたので、会っていますよ。

   その時は、園田中尉も一緒でした」


山本「ほうそうか、年をとっても元気に趣味が出来るというのは、

   幸せなことだな。

   俺は退役したら、将棋はそこそこだが、西洋等の富豪どもから、

   博打で金を巻き上げてやるつもりだ」


忠和「それも後世では有名な話ですよ、やっぱり実際もそうなんですね」


山本「それも有名か?ほんとお前ら、俺たちのことをよく知っているな。

   ところで忠和君、君は将棋は指せるか?」


忠和「自分は将棋は、ほとんどできません。ご期待に添えなくて、

   申し訳ありません」


山本「そうかそれなら仕方がない。俺はこの後しばらく任に就き、

   手が空き次第、軍令部に連絡を入れておく。

   晃司、お前は忠和君を艦内案内してやれ。

   それから二人とも艦内の視察もしておけ」


晃司「了解しました」


忠和「分かりました」


    晃司は忠和を連れ、艦内を案内して回った。

    そしてしばらく経った後、山本から二人に呼び出しがかかった。

    すぐ二人は山本の元へ戻った。


晃司「山本長官もどりましたが、どうかなされたんですか?」


山本「おお二人とも戻ったか。晃司聞いて驚け、今軍令部に軍用回線で

   電話をかけたのだが、永野総長が帰国されており、なんと

   園田中尉が軍令部に今いるらしいのだ。

   それと園田中尉と未来で同期生の、井上胡桃という女性も一緒らしい」


晃司「園田中尉がこの時代に、また来ていたんですか?それと井上さんまで」


山本「園田中尉の同期生の彼女のことも知っているのか?」


忠和「我々色々あって、四人とも知り合いなんです」


山本「そうなのか。晃司、お前まだ少佐の辞令を正式にもらってないよな、

   2人で行ってこい、4人で話をしてきたらどうだ」


晃司「ではお言葉に甘えて、集合して色々話をしてきます。忠和いいよな」


忠和「もちろんだとも」


山本「それとなにか都合があって、晃司、お前の正体を、伊藤整一次長に

   明かしたらしい。

   忠和君のことは、永野総長も知らなかったので、簡単に電話で

   話しておいた。

   それと忠和君、予定通り、ここをたってもらうので、それまでには

   戻って来いよ」


忠和「了解しました。ありがとうございます」


    山本は忠和と胡桃の事については、お互いに話のネタになる

    ようにも思ったが、ここでは触れずに置いた。


晃司「対局ちょっとの間だめになってしまいましたね。

   帰ってきてから思いっきりしますので、待っていてください」


山本「おう、それはそれで楽しみにしているからな。

   渡辺と藤井にも言っておく。

   それと軍令部には今から二人が出発すると、一報いれておくからな」   


晃司「分かりました。それでは長官、早速行って参ります」


忠和「ありがとうございます、では失礼します」


    こうして晃司と忠和は、永野や一花と胡桃が待つ、軍令部へと

    向かったのであった。

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