第6話 動き 主人公編3

    二人の海軍兵学校生に同行した、晃司と忠和は、江田島の

    海軍兵学校に到着た。

    兵学校生は、直接命を受けた岡本誠吉教官の元に行くよう、

    手はずを整え、晃司と忠和を誠吉に引き合わせた。


岡本誠吉「おお晃司君、久しぶりやないか。時枝から大体のことは

     聞いたよ。元気にしとったかね。


誠吉「ああ君達は下がって宜しいよ、ありがとう」


兵学校生「はっ、それでは私たちはここで、失礼します」


    二人の兵学校生はその場を離れた。


誠吉「それとそちらが、晃司君と未来で同期の、渋野忠和君やね、宜しく」


渋野忠和「渋野忠一と申します。大体の事情は把握されてるかと思い、

     あまり余計な内容は省きますが、晃司君にはお世話に

     なっております」


岡本晃司「久しぶりやね、ひいお爺ちゃん、こっちは至って元気よ。

     ひいお爺ちゃんこそ、怪我の具合とかどう?大丈夫?」


誠吉「怪我の方は一応手術もしたし、もうあれから半年は経つから

   もうだいぶへいきやぞ」


晃司「それは良かったよ。僕らは一回元の世界に戻って、またここに

   転移、英語でタイムスリップっていうんやけど、その

   タイムスリップしてきたんよ。

   それで向こうの時間が一か月もたってないのに、こっちでは

   半年くらいたってるんよね」


誠吉「それは不思議やなあ」


晃司「まあそこは、そんなにひっかからないとして、このタイムスリップ

   した時代が、以前その時の継続になっているのが、助かったよ。

   あそれと、帰ってから、哲司爺ちゃんと将棋指したけど、80を軽く

   超えてるのに、全力でやって負け越してもたよ。

   元気で安心したよ」


誠吉「とんでもない世界上にタイムスリップすることはないのか。

   それと、哲司はそんなに元気やったのか、やるなあ」


晃司「まあそれはともかく、一旦草鹿任一校長と、一緒に話したいと、

   思うんやけど、ひい爺ちゃんええかな」


誠吉「そやなあ、君らも学校長に頼みたいことも、いっぱいあるやろから、

   ちょっとかけあってみるな。ちょっとそのまま待っててくれるかな」


晃司「ありがとうひいお爺ちゃん、お願いするね」


忠和「まだ詳しくは把握しかねておりますが、私からも

   宜しくお願い致します」


誠吉「分かった」


    誠吉は草鹿任一学校長を呼びに行った。全事情を話すと、学校長は

    用事が済み次第、すぐ行くと答え、誠吉を晃司らのもとに返した。


誠吉「もうじきしたら、来られるみたいや」


忠和「ではしばらく待って起きましょう」


晃司「そやなあ」


    しばらくしてから、草鹿任一学校長が姿を現せた。


誠吉「こられましたか、校長」


草鹿任一「うむ、岡本君はどこだ」


晃司「ここです、校長。こちらの時間だとかなりお久しぶりになる様ですね」


草鹿「おお岡本君、ほんとに久しぶりじゃのう、少佐に昇進したそうだね」


晃司「ええまあ。校長こちら、僕の防衛大の同期生で、寮の同じ部屋の

   渋野忠和です」


草鹿「おお岡本君に夢中で、忘れておった、失礼」


忠和「いえ、お初にお目にかかります、草鹿任一海軍兵学校学校長、

   岡本晃司君の防衛大で4年の、同期生の渋野忠和と申します」


晃司「校長、彼は軍関係の学業は僕よりむらが無く、全体的に相当優秀な

   人物の一人です」


草鹿「それは素晴らしい、頼もしい人材が転移してきたものだな」


忠和「晃司あんまり持ち上げるなよ、お前こそ戦略に関しては切れ者だろう」


草鹿「まあまあ、切れ者で思い出したが岡本君、君は少佐になる決め手として、

   ミッドウェー作戦に完全に勝利した戦略を、用いたそうじゃな、

   よかったらここで、その詳細を話してくれんか?」


晃司「ええ結構ですよ。ただ終わったこととは言え、学校長まで知らないと

   言うのは、何か訳があるんでしょう。

   ここにいる皆知らないと思いますので、全員他言無用に願います」


草鹿「ということだ二人ともいいかね?わしは大丈夫だが」


誠吉「大丈夫ですよ」


忠和「私も大丈夫ですよ」


草鹿「では話してくれないかな」


晃司「はい」


    晃司はここにいる皆に、ミッドウェー作戦の戦略の詳細の

    一切を話した。

     (詳細は烈火の大東亜を参照して下さい)    


草鹿「なんとまあそれじゃそれを先読みして、相手の司令官どころか

   海軍司令長官の、ニミッツ大将の裏までかいたというわけじゃな。

   すごいものじゃ、いくら未来人とは言え、そこまで考え抜くとはな」


誠吉「校長、我がひ孫ながら、鳥肌が立ってきました」


忠和「流石、晃司だなあ。俺も仮に思いついたとしても、そこまでとことん

   実行に移せるかどうか自信ないぞ」


晃司「皆褒めすぎですよ。特に忠和、お前やったら人脈さえあれば実行に

   移せてるやろ」


忠和「どうかなあ、あんまり自信ないぞ」


草鹿「渋野君、君はむらが無くバランスのいい成績らしいが防衛大では、

   どのくらいなのだ?」


忠和「校長、私等より優秀な生徒は、防衛大にも結構いますよ」


誠吉「校長、そう言う渋野君もそれほど驚いてない様ですし、我々の

   子孫たちも優秀な人材が、沢山いるようで頼もしいですね」


草鹿「本当に、まったくだ」


晃司「校長、それはそうと、校長にここに来てもらったのは、頼み事が

   あったからです」


草鹿「なんじゃね?」


晃司「先ず現在世界情勢と、日本のおかれている立場を伺いたい事と、

   あとこちらでは日にちも経っていることですし、またお手数を

   おかけしますが、山本五十六長官に、我々二人を付けていただくよう、

   取り計らってもらいたいのです。

   忠和に関しては、僕がその能力を、保証しますのでお願いします」


草鹿「まだ君らがいなくなってから半年ほどしか経っていないし、わしが

   仲介する必要もないと思うが、岡本君たっての頼みなら、断れないな。

   その件、任せてもらおうか。

   それと現在の世界情勢と、日本の立場じゃがこういうことだ」


    草鹿は、晃司と忠和にその件を、知っている限り教えた。


晃司「そんな世界情勢と、日本の立場になっていましたか」


忠和「晃司、史実と全く別物だな。ほんとにこの情勢下で、俺達が役に

   立つのか疑問だぞ」


晃司「やってみんとわからんやろ、全部が全部うまい事行くはずがないけど、

   俺らの責任で、完全に致命傷を日本がくらったら、切腹するくらいの

   覚悟でやらんと、軍人将校なんか務まらんで」


忠和「軍人将校だもんな、そのくらいの覚悟がなかったら最終的に、

   何百万と言う将兵の命まで預かれないよな。

   そうだな、俺も覚悟を決めるよ、この時代の軍人になるよ、晃司」


草鹿「渋野君、それが君の覚悟だね、よくわかった。それは山本長官にも

   伝わると思う。岡本君に負けないくらいのつもりでやってみなさい」


忠和「ありがとうございます、草鹿学校長」


草鹿「丁度今、山本長官は、広島港に旗艦大和を停泊させ、休暇もとりつつ

   任に当たっておられるはずだ。岡本教官、私はこれからこの二人を、

   山本長官の所に連れて行く。

   君はこれまで通り任務に就いてくれ。

   そしてこのことは、他言しないように頼む」


誠吉「了解しました、校長」


草鹿「それと岡本君の軍服は以前サイズをはかっていたから新調できたが、

   渋野君の体格のサイズをはかろう」


忠和「それが校長、この借りた将校の軍服で丁度なので、このサイズの

   下士官の軍服で、あるものでいいです」


草鹿「そうか、なら折角だから、その将校の軍服を着ておきなさい」


忠和「しかし、何の階級も持たない人間が、将校の軍服など着て、

   いいんでしょうか」


草鹿「心配いらん、どの道君は未来じゃ、君らの日本ので言う将校の

   養成大学の卒業まじかの人間じゃ、丁度よかろう」


忠和「そうですね、わかりました、それではそうさせて頂きます」


草鹿「じゃあ二人とも、今日はこちらで休んで明日朝、ここを立つとしよう」


晃司「分かりました」


忠和「分かりました、校長」


    そして草鹿任一、晃司、忠和は翌朝江田島を立ってそう遠くない

    広島港に行き山本五十六に会うのであった。

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