第13話
翌日になり、右手の皮膚も回復した。
ま、本当ならそこそこの日にちは掛かるだろうが、ソットヒーリングポーション、下級回復薬と言うダンジョンで手にしたり、ポーションが作れるスキル持ちによって入手が可能になった回復アイテムである。
下級でも小さな傷や病を治す事が出来る。
ポーションが普及した現代では、医者と言う職業は普通に重宝されていた。
寧ろ医者がステータスを獲得した際は初期スキルで医療系等が多いのだ。
先天性の病等の内臓等にある病気はポーションでは治せないのだ。
その時に医療系スキル等が役に経つ。失明等も治せるしね。
そして今日はオークの皮コートと言う装備を購入した。
こっからは本格的に運気以外にもステ振りするので、装備も購入して行かないといけない。
ランダム召喚から出てくれたら良かったのに、白魔石しか出ないからな。
「ま、運気上がらんだろうし、使っちゃお。ランダム召喚」
「白魔石⋯⋯じゃ無さそうだね」
今回の光の強さ、これはシェロと同じ。
まさかULG!
「まさか、確定以外で出るなんて!」
「何を言っているマスター! 今日は11月の2日だ!」
つまり、これは確定枠か!
ローブが出て来て受肉されて行く。
中から出て来たのは絶世の美女だった。
不覚なもドキリとしてしまう程の美形であり、白髪に琥珀色の目をしていた。
そして、目が血走り、両手で両目を抑えて地面をのたうち回る。
「イッタァイ! 痛い! 目がぁ! アチキの目が! 死ぬぅ! 死ぬぅ! 死んじゃう! うぎゃああああ!あああ! 目がぁ! 目がぁ! うああああ!」
あ、なんだろう。凄く嫌な感じがした。
まぁ、収まるまで待つか。その間にステータス確認、と。
◇
名前:暗(ULG)
レベル:1
ステポイント:0
スキポイント:0
筋力:1000
敏捷:10000
魔力:50
忍耐:500
器用:4649
運気:11
称号
・暗殺王 ・奴隷
スキル
・毒創造
・暗器召喚[10] ・暗殺術[20] ・武術[3] ・気配遮断[13] ・気配精密感知[3] ・暗黒眼 ・契約の呪い
魔法
・身体強化[5] ・毒付与[10] ・暗黒魔法[3]
◇
「いや、名前の癖! てか、総合ステータスシェロより高い?」
「そうらしいな。まぁ、役割違うし。てか、速い」
「絶対適当に考えたってステータスしてるよな。シェロよりもスキル多いし」
暗って名前なのか。
暗殺者だから暗なのかな? いや、きっと違うだろう。
てか、ユニークスキル持ちだったわ。毒創造って絶対強いやん。
それから1時間経ってようやく落ち着いた。
「ひっく。アチキ暗って言う。一応暗殺者。ひっく」
「目薬買うか?」
「目薬?」
えぇ。そこで疑問持つぅ?
見た目は暗殺者っぽい。
フード付きマントとか、特に。
「ねぇ。あんたは召喚される前、何処に居たの? あと、アチキとか止めてなんかウザイ」
「酷い! えっとですね。光が全くない場所でした。感覚で戦って、殺して、そして食べてました」
うん? 食べてた。
うん。深く考えないでおこう。
「私はシェロ」
「俺は柊」
「はい。シェロさん。主殿。よろしくお願いします!」
それからダンジョンを進んで行くと、最初のモンスターの集団と出くわした。
今回はオーク、この装備の素材にも使われている二足素行の大きな豚である。
Fランクのダンジョンにいるが、Fランクの中でも高位に方に位置する強さである。
「ここはアチキに⋯⋯」
「そい!」
暗が何かを言っていたが、シェロが斧を投擲してあっさりと倒した。
シェロの新たな手加減方法、投擲斧。
角度をミスらなければ壁も魔石も破壊しない攻撃方法である。
さらに、手から離した戦斧は2秒後には消滅している。
魔石が3個手に入った。
「ここは、アチキの見せ場ではないでしょうか」
「「え?」」
「その。なんでもないです」
それからもサクサクとシェロがオークを粉砕して、壁も破壊しがら進んでいる。
次の壁も破壊する、と言う所で暗が指を指した。
「オークが2体居ますね。あそこと、あそこです」
「壁越しでも分かるのか。便利だな」
「まぁ。暗い中獲物を探さないといけないので、それで培った力ですよ」
「⋯⋯なぁシェロ」
「なに?」
「2層から暗に戦わせて良いか? 暗の力も把握しておきたい」
「うん。斧投げるの楽しかったし、ボスさえくれたら良いよ」
「シェロさん! 主殿ぉ!」
それから2層に行き、最初のオークに出会った。
暗がノリノリで前に躍り出て、消えた。
まじで消えた。
シェロもびっくりしているようで、辺りを探しているが見当たらない。
だが、すぐに分かった。暗の言葉によって。
「終わりましたぁ」
「いつの間に!」
「これが敏捷1万に気配遮断の力か⋯⋯あ、魔石が」
シェロのその言葉にえっと思い魔石を見ると、溶けていた。
まじで、なんで、溶ける。
確かに魔石の中でも1番柔らかい魔石だけどさ! だからって溶けるのは違うだろ!
「ね、ねぇ暗」
「はい。なんでしょうかシェロさん」
「あれって、毒?」
「あ、はい。バジリスクの毒です」
シェロに青筋が浮かぶ。
少しの間しか一緒に居ないが、分かる。これはキレている。
「このバカぁ! バジリスクの毒は腐食、腐敗の毒じゃん! 無慈悲で理不尽の毒! それをあんな沢山! 魔石ごと溶かしてるじゃない! それに何処にそんな危険物隠してた!」
「い、いえ。あの場で造ったんですが」
「これがユニークスキルの力と言うのか! マスターとは偉い違いだ!」
「おい待てシェロそこでなんで俺を引き合いに出すんだ!」
と、言うわけでバジリスクの毒は封印して貰う事にした。
バジリスク、か。まさか神話生物の毒をも創り出せるとは思わなかった。
てか、バジリスクってAランクモンスターの中で上位であり、亜種にもなるとSランクになった筈。
序盤からそんな毒使える人が仲間に成るって、心強いね。
再びオークの群れ(3体)を発見して暗が行動する。
今度は毒を使わずにやるようだ。さらに、俺に見えるように速度も加減するらしい。
シェロと違いちゃんと加減が出来るようだ。
「マスター、なんか超最低な事考えてない?」
「ない」
暗が高速でオークの一体に接近した。
「生成、クリスタルナイフ」
ナイフを生成してオークの首を切断した。
Fランクのモンスターに筋力1000は普通にオーバーキルなようだ。
壁を走って天井に行き、天井からゆっくりと落下する。
オークの首が暗と並んだ瞬間に、暗はオークの首にナイフを刺して倒した。
最後のオークは暗を見つけたが、遅かった。
暗はオークを見ること無く、ナイフを投げて脳を貫通させて倒した。
綺麗に倒せる当たり、シェロよりも暗がメインに戦ってくれないかな?
「冗談冗談」
心の声、漏れてたかな? シェロが睨んで来る。
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