第102話
その事実を受け、シュカがばけるを問い詰めていた。
『地理は多数派だから良いじゃん?』
『こういうのって過半数が地理じゃないと意味ないよね?』
『ま、まあそうかもしれないけどさ⋯⋯』
とまさかこういう展開になるとは思っていなかったばけるが言葉に詰まる。
『これで順位つけるの?』
『いや、そのつもりは無かったよ。不平等だからね。でも理科については順位をつける予定だよ。こっていは全員同じ選択だったから』
『そっか。ならいいや』
そう言質をとったシュカは引き下がった。
『とりあえず地理の答え合わせを続けるね。次はーー』
一瞬不穏な空気になりかけたが、無事に答え合わせを再開することになった。
『ってことで地理の1位は⋯⋯100点満点中95点のシュカちゃん!!!!!!』
『『『はい?』』』
当然地理選択の3人のうちの誰かが1位になると思っていたのだが、ばけるに突っかかっていったシュカが1位だった。
俺以外もまさかシュカが1位になっているとは思わず、驚きの声を上げていた。
『なんでそんなに驚くの。別に誰が一位になってもいいでしょ』
『それはそうだけどさ、一番地理に怒ってた人が一位取ってたらそりゃあ驚くよ』
とさも当然かのように話してくるシュカに対し、修士が俺たちの気持ちを代弁してくれた。
『驚くって。別にこのくらい個人勢の嗜みよ。そうでしょ、ヤイバくん?』
『そんなわけあるか馬鹿。個人勢のことを勝手に地理オタクにくくらないでくれ』
『っと冗談は置いといて、種明かしをすると私の学校は文理って区別が無くてね。全員社会も理科も2科目やるんだ。それで私は偶然地理も選択してたんだ。受験では社会を全く使わなかったから高2以降勉強してなかったけどね』
『なるほど、ってなるわけないでしょ。そんなサブのサブみたいな教科で1位とらないでよ』
と理由を説明してくれたシュカに対し至極当然な文句を言うながめ。もっといってくれ。
『私社会科だけは得意だからね。理系なのに理系科目はからっきしだけど』
「どうして理系に行ったんだよ。いや、なんとなくは分かるがな……」
文系科目が得意なのに理系に行く人は案外多い。文系より理系の方が就職が楽だとか人生が安定するとかあるらしい。俺は得意な方を選んだだけで将来とかは一切考えてないから分からないが。
『と高得点の理由がわかった所でシュカちゃん?さっき地理は多数派じゃないといけないって言ってたよね?これで多数派になった気がするんだけどどうかな?』
と皆が高得点の理由に納得しかけていたタイミングで、ばけるが皆忘れて良そうなやりとりを引っ張り出してきた。
そういえばそんなことあったな。
『あ、えーと、そうだね。私は地理選択だけど地理選択じゃないというか、受験で使っていないならOKじゃない?今回の趣旨的に?』
意図的なのか無意識なのかは分からないが、シュカはばけるの質問に対し言葉に詰まっていた。
『それは50点に全く届かないくらいに覚えてなかったらそうかもね。でも95点も取れるんだったらそれは選択してるのと同義だよ』
流石はVtuberの裏ボスと名高い稲盛ばける、一切の隙を見逃さずにシュカを詰めていた。
『あ、いや、えーと……、ばけるちゃんが詰められる姿って貴重かなって思って調子に乗りました。ごめんなさい……』
『そう。でも私の心は傷ついたなあ。これはお詫びに何かをしてもらわないとなあ……』
『お手柔らかにお願いします……』
『来週の日曜日22時から、アメサンジとゆめなまに所属している幼稚園児たちの預かり保育をしなければならないんだよね。その子たちがかなり手のかかる子らしくてね。手助けになる人が欲しかったんだよね。お願いできるよね?』
『そ、そんな……あんな暴れん坊と噂の子たちを私がですか……?』
『そうだよ。やってもらう仕事もちゃんと決まっているから覚悟しててね?』
『はい……』
何が起こるかと見ていたら何故か宣伝が行われていた。こいつら最初から打ち合わせしてやがったな。
『この二人はさも恐ろしい場所みたいに言ってるけど可愛くて清楚な女の子たちしかいないから楽しみに見に来てね!』
ながめ、お前もか……
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