第101話
『この作者と昔からの知り合いだからね。指摘しないと怒られちゃうよ』
『知り合い?流石に嘘でしょ?』
『残念ながらこれは本当だよ。作者のツリッターを見に行くと今頃証明してくれていると思うよ』
一色とは違い奏多は本当の事を言っているんだと主張しているのでツリッターを見に行くと、『残念ですが奏多は僕の旧友です。デビュー直後の奏多にお金を貸してあげるくらいの仲です』というツリートが最新のものだった。
『ツリッター見たら奏多が作者さんに借金したことがあるって書いてあるけど本当?』
『それは本当だね。でもちゃんと返したし、今はあっちが僕に借金してるよ』
『作者さん……』
恐らく作者は奏多に攻撃を仕掛けたかったのだろうが、どうして借金で仕掛けたのだろうか。控えめに言って馬鹿だろ。
『と、とりあえず次に行くね』
これ以上は作者の不名誉に繋がると思ったばけるは早々に切り上げて次の問題に移った。
国語の記述問題でどうやって珍回答をひねり出すのかと思っていたが、分からない部分はふざけた回答をしていた人が案外多く、今までの企画と変わらない盛り上がりを見せていた。
そしてテスト後に1位と最下位が発表された。
1位は冷静に回答を続けていたらしい75点のながめで、最下位は一色ではなく修士だった。どうやら修士は文系科目が苦手らしい。
ちなみに俺は60点だ。ながめとは違って国語はそこまで得意じゃないから健闘した方だろう。
『じゃあ次は地理!!』
そして次は地理。一応地理選択ではあるが、ウチの高校では2年から始まった教科なのでそこまで進んでおらず、得意教科でもないのでかなり壊滅的だった教科である。
『早速1問目だね。エルニーニョ現象について説明せよって問題だね。答えは太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけての海面水温が高い状態が1年続く現象の事なんだけど案外正答率が低かったね』
そりゃそうだろ。理系は共通テスト位でしか地理に縁が無いんだぞ。記述を俺たちにやらせるな。
『というわけでサロメちゃんの回答を見ていきましょう。こちら!!』
『理系に地理の記述をやらせるな!!!そもそも私は世界史選択だこんなもの解けるか馬鹿!!!!!!!!
エルニーニョ現象とは、赤道から南米あたりの海面水温が高い状態が一定期間続くこと』
『なんか色々書いてあるけど、サロメちゃん大正解!!!』
サロメも同じ考えだったらしく、思いっきり文句を記載していた。
何故かそれでいてしっかり正解していたが。どうして世界史選択な上にFPS狂いなのにこんなこと知っているんだよ。
『え、高校の時地理選択じゃなかったのってサロメちゃんもなの!?』
『ああ、世界史選択だな。もしかしてシュカもか?』
『うん。私は日本史選択だけど』
『被害者って結構いたんだね。僕も地理選択じゃないよ。世界史選択だね』
『結構いるんだな……』
『だね……』
理系なんて大抵地理か倫政を選択するものだと思っていたから特に疑いもしなかったが、意外にも例外が多かった。
ちゃんと俺とながめは地理選択だしな。
『ねえ、みんなの選択科目あげてみて。じゃあ奏多くんから』
流石に地理選択以外が多かったと感じたシュカがばけるを無視して統計を取り始めた。
その結果、地理選択は俺とながめと一色の三人だけだった。
他は日本史一人、倫政一人、世界史三人だ。
『どういうことかな、ばけるちゃん?』
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