第103話
謎の流れでコラボ配信の宣伝が行われた後、次の教科である理科の答え合わせが始まった。
『以上、理科でした。二教科合わせての最高点は……九重ヤイバ君で100点満点中90点!!!』
他の教科と比べて用語の名称を求められる問題がやたら多かったのでボケたい放題だろうなと予想していたのだが、分からない問題でもかなり真面目に回答していたらしく特に何もなく終わってしまった。
そして続く数学も特に何もなく、恐らく今回の主役であろう英語の答え合わせが始まってしまった。
『さて、次は英語なんだけど、どうしたのみんな?そんな黙りこくっちゃって。難しかった?』
他の教科では色々騒いでいた参加者も、英語の問題については黙り込んでしまっていた。
『そんなことは無いよ。単に問題が簡単すぎて何も話せることが無かったんだよ』
ばけるの疑問に対し、ばつが悪そうに答えるながめ。
『あ、そうかそうか。いやあ、作り終わった後に難しすぎるかなって思ったんだけど、簡単なら良かった良かった。まあ、よくよく考えれば皆答えられるはずだもんね』
『うん、きっとそうだよ、多分』
『ってことで皆の解答をささっと見ていこうか!!!英語は全員の解答を公開するからね!!!!』
『『『「え」』』』
ばけるの悪魔のような発言に全員の表情が固まった。
『ってことで早速大問2の問題1だね。【Nice to meet you. I am】に続く言葉は何かを当てる穴埋め問題だね。早速答えを見ていきましょうか』
『大問1は!?!?』
と早速大問2から答え合わせが始まったのでシュカが思いっきり突っ込んだ。
『別に良いじゃん。あれ皆真面目に答えすぎてて答え合わせしてもおもしろくないし』
『ええ……』
大問1に戻ることは無く、そのまま全員分の答えが表示された。
俺、ながめ、シリウス、一色、サロメの解答が【Psychic girl Kuro】。
一方修士、奏多、シュカの解答が【ReinouSyojo Kuro】だった。
『ってわけで当然だけど全員正解でした!!!!!!』
何故皆が不安だったのか。それは今回の英語の長文は全てVtuber、その中でも霊能少女クロを筆頭とするVtuber四天王と呼ばれている5名の自己紹介動画を翻訳したものだったからである。
ただでさえ大学受験レベルの問題なのに定期的にこの程度知ってるよね?みたいな形で知識が無いと解けない問題を突っ込んでくるのだ。本当にやめてくれ。
実はこの問題もそうである。一見名前を答えるだけの簡単な問題だが、これ以後の文章で霊能少女クロという言葉は登場せず、ほぼ全てI等の一人称で訳されている。
だからこの問題が霊能少女クロの自己紹介動画であると分からなければ回答が出来ないのだ。本当に性格が悪すぎる。
『特に言う事は無いので次に行こうか』
それから続く問題は英語の知識を問われる問題で、間違ったところで英語が苦手ですねで終わるタイプの問題だった。
『そして大問2最後の問題はこちら!』
問題は【以下の(A)~(D)の内、最も適したものを一つ選び、記号で答えなさい。】という長文読解ではよく見る問題である。
選択肢をざっくりと日本語で訳すと、
(A)Vtuberとして活動していくために最初に投稿した凡庸な自己紹介動画。
(B)Vtuberとして活動していくために最初に投稿した革新的な自己紹介動画。
(C)登場人物は16歳の女性で、IQ200越えの天才的な頭脳を持っている。
(D)登場人物は女性で、IQ200越えの天才的な頭脳を持っている。
という形になる。
さて、本文だけを見るとかなり簡単でDを選ぶだけなのだが、この問題は本文の内容という指定が無い。
つまりは文章の外を含めた内容として回答を選ばなければならないのだ。
となるとDは間違いになってくる。クロは16歳らしいからな。
つまりCが答えの可能性が高いのだが、今度はクロのIQが本当に200なのかという問題が浮上してくる。
大量の動画の中に一つくらいIQを測定してみたという動画があってもおかしくないからな。
そう考えた結果残るはAかBになってくる。自己紹介動画が革新的か凡庸か。正直何の変哲もない自己紹介動画だったからAだと思うのだが、Aに棘がありすぎて外した時のダメージがあまりにも大きすぎる。
どれを選択しても裏目がある本当に厄介な問題である。
まあ解いている時はAとBについて考える余裕までは無くてCにしたんだけどな。こういうのはせめて高校受験レベルまで落としてからやってくれ。
他の奴らもそんな感じじゃないのか?
『さて、皆さんの解答を見てみましょう。こちら!!』
そして出てきた解答はこんな感じだった。
A シリウス、一色
B 奏多、シュカ
C 俺、修士
D ながめ
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます