第71話
「はい、今回は、私たちが惹き起こした炎上騒ぎの終息に尽力してくださり誠にありがとうございました。これまで、私たちの事務所は炎上騒ぎは一度も起こった事が無かった上、演劇部のメンバーはこれまでネット活動を一度も行ってこなかった為、炎上に対して慣れている人員が一人としておらず、解決の糸口が掴めない状況でした。皆さんの協力が無ければ、今後どうなっていくかわかりませんでした。本当に感謝しています。もし、私たちが必要なことがあれば、できる限りで応えていこうと思います。本当に、ありがとうございました!」
フィリアさんは丁寧にお礼を述べ、最後に深々と頭を下げた。
うん、真似出来ないじゃん。謝罪内容なんて無いんだよ俺。
「気にすんな!Vtuberは助け合いだ」
「そうそう、それにクロさんには大分お世話になっていたしね」
「皆、そんなこと言うと演劇部を面倒な企画に呼べなくなるよ。こういうのは有効活用しなきゃ」
「「「「確かに……!!」」」
「ねえ、じゃあ何に誘う?そして誰誘う?」
「やっぱり今日話していい子だって分かったから、フィリアさんには罵倒ASMRをやってもらいたいかな」
「リサちゃんわかる……!そこにロクサヌちゃんも連れてさ、両耳で罵倒させるってどう?」
「天才だよ……!」
「リサちゃんにカナメちゃん。流石に辞めようか。フィリアちゃんが怖がってる」
「あっ、ごめん」
「つい妄想が膨らんじゃって……」
「別に構いませんよ、お二人が望むのであれば……」
「フィリアちゃん、とりあえずASMRは確定で」
「「アスカちゃん????」」
「いや、今のセリフがあまりにも健気すぎて……」
「やっぱりコラボしたいのはミルさんかも。ヤイバ君が別ゲーとはいえあそこまで押されるのは気になるよね」
「確かに奏多はあいつ一択だろうな。俺はヤイバとコラボしているメンバーだけで言えばメネかな、声質的に絶対歌うまいし。今度一緒に歌ってみたやらないか誘ってみるか」
「その時は私にMIXさせて」
「勿論!なんなら一緒に歌おうぜ」
「面白そうね。この間の歌ってみたも好評だったし、第二弾として面白そう。丁度男一人女二人でやったらよさそうな曲を見つけたのよ」
「マジかよ、決まりだな!」
「……」
フィリアさんの挨拶は真面目だったものの、どんなことでもできる限り応えるという宣言により、大いに場は盛り上がっていた。
絶対に俺の挨拶要らないよね。もう実質飲み会始まったようなものでしょ。皆酒と食べ物に
手を付けてないだけで、ちゃんと飲み会の光景だよ。
流石に必要ないと判断し、座ろうとすると、
「いやいやいやヤイバちゃん。何も言ってないのに座るのは駄目だよね?」
目ざとくその様子を見つけたアスカは阻止してきた。
配信外なのにきゅんではなくちゃん呼びなのは、俺以外の男がこの場に居るから抑えているのだろう。
「そうじゃん!ヤイバ君のお言葉を聞かないと!」
「ほらほら、皆静かに!」
それに反応したリサさんとカナメさんが全員を静かにさせた。
「別に皆が静かになる時間を測っていたわけじゃないんですけどね」
そんな学校教師あるあるみたいなことはやらないんですよ。そもそもそんな教師、100人に1人くらいしか居ないし。
少なくともうちの高校にはいないと思う……多分。
皆やたら期待した様子でこちらを見てきているのでさっさと話そうか。
「とりあえず、今日のコラボはお疲れさまでした。色々ありましたけど、皆さんこの配信の為に準備していたんだろうなって思います。ただ奏多さんとフィリアさん。一応演劇部とのコラボウィークは企業案件のようなものなんですから、突然コラボを変更するのは極力控えてくださいね。二人とも企業勢なんですから、お願いしますよ?」
「「はい……」」
「まあ、今回は異常事態だったので良いんですけどね。それよりフィリアさん、コラボウィークが終わってからもう一回コラボしましょうか」
「え、良いの?」
そう俺が提案すると、フィリアさんは驚きで目を見開いていた。
「当然じゃないですか。一応今回コラボはしましたが、ちゃんと配信上で交流は出来ていませんでしたし。ちゃんと時間をとってやるべきですよ」
「ヤイバ君のファンクラブ会員って知ったから?ファンサで言ってくれているなら申し訳ないよ」
しかし、フィリアさんは否定的だった。確かにファンサでコラボを提案されているんだったらファンとして申し訳ないよな。
「別に違いますよ。単に本来一対一でコラボするはずだったのに告白会に変わったから無くなったってのが消化不良だからですね」
「それなら、コラボしましょう」
「決まりですね」
「良いなー!」
「ずるいずるい!私たちともコラボしてよ!」
とフィリアさんとのコラボが暫定的に決まったのを見てカナメさんとリサさんが文句を言ってきた。
「別にコラボしたいのならやりますけど」
「「やったー!!」」
俺がコラボ依頼を受けると、二人は両手を挙げて喜んでいた。
「というわけでコラボが3件決まったところで、乾杯としましょうか。皆さん飲み物を手に取ってもらって。乾杯!!!」
無理矢理な気もするが、誤魔化すのは今だと判断し、強引に乾杯に持ち込んだ。
「「「「「「「乾杯!!!!」」」」」」」
それから1時間半ほど飲み会に参加したのち、俺と宮崎さんは学校があるのでアスカに戸締りを任せて帰宅した。
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