節毎にも、起承「頂」転結を隠し味的に 1

 この起承「頂」転結ですが、全体の構成に用いることばかりでもなく、章ごとの構成、もしくは、章を超えた節同士の構成というか組立てにも、応用できます。


 どんな形で応用しているかを、今回出版された3作目で、ご説明しましょう。


第2章 不易流行~生涯一保母の紙芝居


 このような章を設けておりますが、実は、この章全体と、別章内にある1節を組合せると、また別のテーマで組立てがされていることにお気づきいただけるかと思われます。以下、その組立てを示してみます。

 もとの目次と照らし合わせて、確認してみてください。

 拙著を買われるなどして読まれている方はそちらの紙媒体の目次を開いて確認できますが、買われていない方でも、別枠で当作品群の見出しが掲載された話を開いて確認していただくことが可能です(別にわざわざ本を買えと言っているわけではないので、誤解なきよう願います)。

 むしろ、拙著の目次を見ないでここに出された節の題等を確認していただくだけでも、その構成のコツがご理解いただけるかもしれません。

 

 それでは、参ります。題名は、この組合せに応じて変更しております。

 なお説明の便宜上、題名前に数字を附番しております。


山上保母さんのかみしばい


1 あおぞら劇場 

 1950(昭和25)年4月X日 よつ葉園前にて

2 鉄筋の新築園舎

 1964(昭和39)年1月X日 よつ葉園内

3 実習生のおねえさん 

 1974(昭和49)年6月X日(木) よつ葉園職員室

4 最後の合唱

 1985(昭和60)年3月27日(水) よつ葉園集会室

5 一炊の夢~最期のおはなし

 2013(平成25)年7月 岡山市中央区・山上邸から


 最後の「一炊の夢~」は、拙著第4章の最初に収録しているものです。

 その他の4節は、第2章全体を順番通りに並べております。

 本文をご参照いただくまでもありません。

 何はともあれ、その節で語られている年月日を追っていただければ、結構です。


 いわゆる「頂」にあたるのが、3 に該当する節です。それを中心に、あとは順番通りに、起承「頂」転結と、その通りの展開にしています。


 20歳になるかならないかのなり立ての若い保母が、結婚後もその仕事を続け、やがて押しも押されぬベテラン保母となった。

 そして、定年となったのを機に、養護施設「よつ葉園」という職場を去る。

 しかし、保母の仕事はやめても、紙芝居という「ライフワーク」は、公民館などで形を変えて継続していた。

 80歳を過ぎ、高齢となった彼女は、最後の最期の、自らの紙芝居に臨む。

 そして、そこで起こったことは・・・。


 こういう話の流れが出来上がっているというわけですね。

 5 だけは同じ章内に入れていないのですが、これは、その本全体の構成上、そうしているわけでして、このテーマだけが本書のテーマではないことが理由です。

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