老保母の定年退職2 ~頂上付近のおはなし

 起承「頂」転結の中心部分となるのは、確かに、「頂」の部分です。

 もっとも、こここそがいかにも「頂」です、とばかりに、その「頂上」はしっかりとがっていますというイメージでやるのもいいとは思いますが、やっぱり、頂上の周りをしっかりと書くのが、肝要というものです。


 さて、その「頂」の周辺をどうするか?


 この命題に対しては、いくつも答えがあるし、いろいろな形を表すことは可能でしょうけれども、先程述べたような、いかにも「てっぺん!」という形で書くというよりは、それこそ、富士山か阿蘇山のカルデラ周辺のような感じで、その周りを描いていく方がいいのではないかなと、私は考えておりますねん。

 もちろん、「てっぺん!」作戦でも悪くはないですよ。

 そうだとしても、そのてっぺんの下数メートルあたりとか、十数メートルほど手前はどうとか、そんな感じで描いてみても、いいかもしれません。

 これは読む側からしてみれば、どのようにとらえるかはわかりませんけど、要は、頂上の当たりはこんな感じか、って感じで、読んでいただければいいかなと。

 その手法を意識してみれば、案外、私の作品以外の他の方の作品においても、その部分の描かれ方、位置取り、などなど、読み溶ける楽しみが出来りゃしませんかね。


 さて、そういうわけで、前回のお話の続きとなりますけど、どうでしょうか。

 確かに、その「退職」を迫る(迫られる)節は、1作目の本全体の中でも「てっぺん!」と言える部分ではあります。ですが、その周辺、それこそ、そこに至るまでの状況、そして、その後の「よつ葉園」という養護施設の状況というのが、「頂」から「転」へと至る過程として、構成しておるのね。

 あまりにはっきりとした形ではなく、少し緩やかな感じで、そこは場面を進めていくのがいいかなと、私は思ったけど、案外、はっきりとした形に描いてしまっているかもしれません。

 ひょっとすると、逆に、起承転結の「承」から「頂」へと至る場面構成、案外、あれれ、というくらいの場面転換になっているかもしれません。~こちらとしてはそういう意図をもって構成したわけでもないけど、ひょっとすると、計らぬうちに図らずも、そういう形になっているのかもしれんな。


 案外、意識どころか明白な意図をもって構成していても、思っていたのと違う印象を持つような効果が表れているところというのが、探せばもっとあるのかもしれないなと、そんなことを私は思っておる次第なのであります。


 まあだけど、「頂」の部分から「断崖絶壁」みたいな構成は、さすがに、有機も無機も勇気もないですわ(苦笑)。

 ~ とはいえ、そういう構成も、ありと言えばありかもしれないですね。

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