6 鬼退治‐1

 ルークが空中から小鬼が涌いて出る門の側に飛び降りた瞬間、小山の建造物から何かが飛び出して来た。そしてルークの側に地響きを立てて着地した。


――ズシン!――。


 10mほどの巨大な体躯を持ち頭には一本の角で単眼。2mのルークでさえ見上げる程の大きさを持つ、異界の怪物が天に向かって雄叫びをあげる。


「ギュウオォォォォォ――!」




『オイ、幾ら大声を出した所で、うるせえだけだ! ってか何でサイクロプス巨人単眼一本角鬼が此処に居るんだ? お前は誰に召喚されたんだ?』

「ゥ――――」

『そうか。テメェは喋れないんだったな。まぁ、大体は想像が付くがな。

 それじゃあ、行くぞ!』

 

 ルークはそう言うと、グレーの身体のまま背中の羽根を一本引き抜くと、羽根に気合を込める。

 例の青白い紫電を発生させる細身の長剣を握り直した。


『――――ムムッ!――』


 ルークは自らの羽を紫電の剣に変えてサイクロプスに斬りかかろうとした瞬間、何かがルークの足元を破壊した。


 それは、小山の建造物からピンポイントで飛んで来たモノだった。

 それは、島の調査中に哨戒ヘリコプターSH-60Kを襲った3m級の巨大な矢。

 それは、ルークとサイクロプスの間の地面に突き刺さっている。


 瞬時に後ろに後退し、攻撃を躱したルークは狙撃した建造物を睨む。


『ふん。サイクロプスは囮か? この島の建造物の城に居るのは、予想外のヤツかも知れねぇな。小鬼ゴブリンに和の牛鬼にサイクロプスが出てきたら、どうやら鬼繋がりのようだが、大体は想像がついている。

 この島のボスを先に倒した方がいいかもな。

 エキドナよ、ここを頼めるか?』


 地上からキメラに乗っている俺達に向かってルークは言った。それにすぐさまエキドナは返事を返す。


「だいじょうぶかしら。すぐに降りていくわ。レオン、お願いね」


 エキドナの声に反応し、すぐにキメラは下降していく。地上に着く前にエキドナはキメラの背から飛び降りてルークの側に立つ。


「ここは妾に任せてもらえるかしら。アザエルルークは、あのお城みたいな物に潜んで居るヤツを任せるかしら。セイヤーとウーツキは、あの牛だか鬼だか解らない輩を、レオンキメラ小鬼ゴブリン達をお願いするかしら」

「卯月ちゃん、俺、こ、怖いけど頑張るよ」

「そ、そうよ、わ、私も怖いけど、が、頑張るわ」

グオゥゥゥゥオーン任せろー!

『それじゃ、頼んだぞ!』



 ルークはそう言うと翼を広げ、山に建つ城の様な建造物に飛び立って行った。


 聖也と卯月は海から上がって来た牛鬼の方へ向かって走り出す。


 レオンキメラは漆黒の巨大なゲートから出てくる小鬼達に向かって行く。


 エキドナはルークの代わりにサイクロプスを相手に……。


 





 ◇ ◆ ◇ ◆





 各自それぞれへ移動していく俺達を横目で見ていたサイクロプスは、地面に刺さっている3m級の巨大な矢を引き抜いた。そして、それを振り回し始めた。


「やる気満々みたいね。それじゃあ、覚悟はいいかしら」


 エキドナは鉄扇、別名風裂の扇を広げ風を操る。扇から多くの真空刃がカマのように勢いよく回転しながらサイクロプスを襲う。

 





 ◇ ◆ ◇


 



 レオンキメラは漆黒の門から出てくる無数の小鬼達に向かって、真ん中の獅子の頭が威圧の咆哮を浴びせる。


「グオゥゥゥゥ――――!」

「「「ウギャギャギャギャギャ――」」」


 キメラの威圧の声を聴くと小鬼ゴブリン達の動きが悪くなる。パニック状態となって驚いて逃げ出すモノもいれば、平伏しているモノまでいる。


 小鬼は単体では弱い。背丈も小さいし、力も無い。長い爪は持っているが握力も低い。小鬼が怖いのは、群れになって襲う数の暴力が恐ろしいだけだ。


 その様子を見たキメラは羽ばたきをしながら小鬼達の辺りを走り周る。それだけで小さな竜巻を発生させ、小鬼達を巻き上げてダメージを与えている。更に、それらを踏みつけながら手あたり次第、小鬼達を蹂躙じゅうりんしていく。






 ◇ ◆ ◇





 聖也は草薙剣を鞘から抜き、卯月は薙刀を振り回しながら、付近にいて邪魔をしてくる小鬼ゴブリン達を切り捨てながら牛鬼の所に向かって行く。


 聖也と卯月を見つけると、歓喜の表情をした牛鬼が六本足を蜘蛛の様に器用に動かしながら二人の前までやってくる。そして吠えた。


「ウォォォォォォオ――ン――」


 普通の雄牛の縦横の4~5倍はある体の大きさ。それに見合うような大きな鬼の顏。口が裂けて犬歯のような牙が飛び出している。噛まれればひとたまりもない。二本の角が生えていて兇悪極まりない。この世のモノとは思えない姿。

 

 牛鬼は二人の前に行くと、左右の前足を高々に上げると二人目掛けて振り下ろした――。






 ◇ ◆ ◇





 ルークは地上から一気に島にある不自然に造られた城のような建造物の麓に辿り着いた。翼は数回程度しか羽ばたいていない。ルークにとっては特に問題は無いのだろう。目に見える範囲内であれば、秒で到達出来るのは想定内なのだろう。


 もしかして、キメラより早く翔べるのかもしれない。 




 島の平原に佇む漆黒の巨大なゲートと同様に、城の入り口は開かれていた。


 ルークは問答無用で城へと通じる扉を潜る。一歩踏み込むと、そこは底なし沼の様に辺りは漆黒の闇に包まれていた。






 ◇ ◆ ◇ ◆

 




 各自分断されたような戦いが、今幕を上げる――。


 異様な島で色々な鬼が暴れ狂う。



 鬼退治が…今、始まる…………。












――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ここで残念な、お知らせを。


・じぇんじぇん、書けましぇ~ん。(;´д`)ゞ

 実は2月の半ばから書けてません。ストックがもうありません。ど~しましょうかしら?

 ってか構想はあるのですが、気力が湧かない。多分、仕事のストレスか?

いやいや、話を膨らませ過ぎて収拾が付かなくなってしまった。ってのも有ったり

(;´∀`)

なので、此処まで読んで下さっているコアな読者の方々には申し訳ないのですが、来週から、二週間おきの土曜日に一回の投稿になります。途中で多分不定期になるやも……? 取り合えず次話は何とか、4月6日の18時に投稿。それぞれ個人戦の戦いになります。


 夏までには何とか終わらして、次の章の下準備に持って行きたい処ですが、どうなることやら。


 拙い物語ですので、気長にお待ちくだされば有り難いです。(;´・ω・)

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