私達の学校は
国立
通称、ミオ高。
生徒数三学年合計984人。
平均偏差値65.9。
超自然災害探究科、応用生物科学科、外国語学科の三学科。
生徒数は四:三:三ぐらい。
超自然災害探究科は中退やら転科が多く、無事卒業できるのはその中の四割程度。
中途でそれなりに入ってくる生徒も合わせてそのぐらいである。
ちなみにこの探究科が足を引っ張ってなければ偏差値は70に迫る。
応用生物科学科はAromaCandleNight自由都市国と云う新興国の肝煎り。
高校の設備とは思えない機材が山ほどある。
外国語学科には留学生やら、留学してて同級で一つ二つ年上だったりする生徒も割と見かける。
卒業生の八割は進学するが、二割は自由都市国に移住するか、直で行政関連の仕事に就く。
日本国立だが内情は自由都市国との合同の人材育成所兼教育法の実験施設だ。
私はそんな学校にて生徒会の副会長を務めている。
元々バイトが忙しいし、授業もなかなかハードなのでやるつもりはなかった。
しかし科学科にいる従姉妹の百果が会長戦に立候補。
他の会長候補はこれを聞いて辞退。
それどころか男子と女子で副会長が二人必要だが、恐れ多いとこれまた辞退。
候補者は軒並み科学科の生徒達であった為、百果のことを多少なりともわかっていたのだろう。
これにより唯一席が決まっている会長の百花が全役員を指名(拒否権はないと思われる)する運びとなった。
私はこれにより指名され副会長を拝命したが、探究科の生徒が生徒会の本部会に入るのは初代生徒会以来のようで、なかなかに面倒であったとは言っておく。
よって今期生徒会は百果のシンパと、当たり障りがなく優秀な者で構成されており、団結力の様なものは強い方らしい。
生徒会自体の権限が大きな学校であるため、作業量も相応だ。
私もそれなりにこなしているつもりだが、庶務に押しつける形になってしまうこともしばしば。
お陰様で平日バイトは半分程になってしまった。
代わりに土日や長期休暇に面倒な案件ばかり持ってこられて辟易もした。
お菓子つまみながらサクッとこなして報酬もたんまり、そんな学校終わりのバイトがないのは寂しい。
学校外の同年代のエージェントと顔を繋ぐ意味でも良い時間だったのに。
まぁ、百果の隣に私以外の男が平然といるのは癇に障るし、そういったデメリットも含めてオファーを受けたので後悔はないけどね。
……いや、拒否権はなかったんだけど。
尚、二十五人居る役員の中で生物学的な意味で男性なのは私だけだ。
私が女装をして、人生に置いてスカートとワンピースは身につけないと公言してる、図書委員会の副の子がもう少し可愛らしい格好をすれば、もはや女子校の雰囲気だろう。
学校自体は男女比は普通に半々ぐらいなんだけどなぁ。
ちなみに私としては生徒会はとても居心地が良い。
私、男嫌いだからね。
百果に向ける感情からぎりぎり自分は男だと認めてるけど、そうでなければ常に女装して可愛い女の子でいたんじゃないかな。
醜い(外見も中身も)男が目の前にいたらプチッと潰したくなってしまうからね。
――同族嫌悪じゃないのかって?
ハハッ……
その無駄にデカい頭をかち割って、腐乱した脳ミソを掻き出してあげましょうか?
瞳を抉って脳に埋め込めばもう少しぐらいマシになるのでは?
ぐしゃっ、ぐちゅ。
……ぽとり。
◇◇◇
危ないあぶない。
少しばかり口が悪かったかもしれません。
まあ、忘れてください。
さてさて話は戻りますが、私のいる超自然災害探究科では超自然災害についての対応、対処、予測、防止についてのカリキュラムがあります。
まず押さえるべきは超自然災害についてでしょう。
一般生活の中であまり出てくる言葉ではありませんので。
超自然災害とは簡単に言ってしまえば霊的災害のことです。
まぁこれも捉えどころのない言葉ですね。
日本ならば……妖怪退治とでも言えば良いでしょうか?
まぁ、除霊でも悪魔祓いでも、何でもよろしいですけど。
まぁ、あまり多くの人が見えていないけど確かにそこに"在る"モノ達への対応ですね。
話し会うこともあれば、滅ぼすこともあります。
大半の学生、更には(特に日本側の)教師陣までもが、滅ぼすことに偏執している場合が多く少々腹に据えるモノがありますが。
日本に限らず殆どの国では被害が出てしまってから、存在を把握する場合が多いのでどうしても、ね。
人材に余裕があってパトロールできたり、社会における権限や影響力がもう少し強ければまた変わったのかもしれません。
私達は魔力、闘気、霊力の扱いを習います。
いえ、存在を教えられる、そう表現すべきでした。
魔力または闘気のどちらかしか扱えない者が大半ですから。
実際普通の霊を僅かにしか見れない方も居ますし。
そんな中で一応三つ全てのエネルギーを使用でき、座学もそれなりに出来るため、私は首席となっています。
残念ながら他と比べて圧倒的に戦闘力が強かったり、賢かったりはしません。
無念です。
更に言えば私は道具を上手く活用するスタイルです。
何が言いたいか解りますね?
そう、これは――
「無理ゲー、ですよ」
汗を流し、疲労が溜まり始め、武具も僅か、ちょっとした便利な道具は殆ど所持していない。
そんな状態の今の私の目の前には、二十メートルを超える巨大な四足獣が立ち塞がっていた。
そのギラついた目に私を映し欲望を浮かばせ、鋭利な牙が列ぶ顎からは涎を垂らしながら。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます