「友達ひとり」
酸性雨
友達100人
朝、お家にかえるとおかあさんが椅子に座ってずっと、ずうっと笑ってた
「なんでそんなに面白いの?」わたしはおかあさんに聞いた
おかあさんはなんにも答えてくれないでずっと笑ってた
こえをたてないで笑ってた。ヒューヒューといきをしないで笑ってた
わたしも一緒にわらったよ、おかあさんがおかしそうに笑ってたから、声をひそめていっしょに笑った
たのしいね、 たのしいね。
そう言って笑ったよ
でもね、本当はなんにも面白くないんだ。
知ってるよ、知ってるよ。
楽しくないね、 つまらないよね。
そう言ってなげいたよ
そう言って、涙のしずくを落としたよ
こわいよね、辛いよね。
そう言って、泣き叫んだよ
でも、どんなに泣いても、どんなに叫んでも、あの人たちに は届かずに、ただの泡となって消えていく。
ねえおかあさん、最後くらい、泣いていいんだよ。
最後まで、つよがって、笑って、涙をこらえなくてもいいんだよ。
そう言ってあげたいけれど、言ってしまったら、それが本当に最後になってしまいそうで、こわい。
言ってしまったら、感情なんてないはずの大きくておもいしずくが垂れて、ぼくが壊れてしまいそうで、こわい。
死ぬのがこわい。
『運命』が、こわい。
「友達ひとり」 酸性雨 @sanseiu
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