第2話 おきゃんのかぞく


 おきゃんのかぞく。

 第1話でさらっと触れました。

 父、母、祖母、姉、おきゃんの5人。


 おきゃんの住んでいるところは田舎です。バス停無いし、一番近いコンビニまで4km弱。広めの畑と庭、裏に山があって虫と動物がめっちゃいます。夏は蛍もちょっと飛ぶし、タヌキにキツネにハクビシンやらカモシカ、サル、運が良ければウサギも見られるようなところです。


 おきゃんは父と父側寄りの祖母がちょっと苦手。父と母関連の話をしなければ祖母は嫌いじゃないけれど、その話も結構する人なので。


 今回は主に父と祖母のお話です。エピソード集とか語録集とか作れそうな勢いでいろんなお言葉を残してくださっているので紹介します。


 まず父から。


 ・軽暴力

 姉とふたりして熱出して早退してきて、ベッドの中でお話してくすくす笑いをしていたら、父がやってきて「笑う元気があるなら風呂洗え!!」と姉をベッドから引きずり出しました。髪を引っ張ったのか首根っこもしくは腕を掴んだのかは記憶があやふやなのでなんとも言えません。そして父が居なくなったと思って「最低。」と呟いたらすごい音を立てながら戻ってきて蹴られました。「もう一回言ってみろ」とすごい剣幕で。その時できた痣を母に見せたら「お父さんは子どもだからおきゃんが大人になって許してあげなさい」と言われました。いま思うとそれもおかしいですよね、小学生が親より大人にならなきゃいけない環境って何……。

 今も扉に手を挟むとか、デコピン(強め。バチンッ!!って音がする)を連続とか。小さい頃は泣くほどやられてました。

 痛かったな。


 ・母が外にいるときに鍵をかけて締め出す

 小学生の頃は母が夜9時以降に仕事から帰って来ていて、父は母が帰る前に鍵をかけていました。電話やチャイム鳴らしても開けないのでおきゃんか姉が開けていました。今は生ゴミを捨てに出たところで勝手口の鍵をかけて入れなくしています。おきゃんが「見てるのも嫌だからそういうのやめてほしいな……」って言ったら「俺とお母さんのコミュニケーションだからお前は黙ってろ!!」と怒鳴られました。母は鍵をかけられて憤慨していたのでコミュニケーション取れてる感じはないですね。見てて不快になるコミュニケーションはやめたほうがいいと思います。


 ・「糞の役にも立たないくせにのうのうと生きていてお前らはいいなぁ!」

 中学生くらいの頃ですかね。姉もおきゃんも早起きが苦手で、土日に昼間に起きてきて鉢合わせた時のお言葉。おきゃんはこれがずっと心に引っかかっていて今でも「自分は糞の役にも立たない人間だからせめて早く死んでシアノバクテリアの餌になりたい」とよく思っています。


 ・「お前らのものは何一つないから。部屋は貸してやってるだけだし、お前らの身体も俺のものだから」

 リスカバレして姉とおきゃんが大目玉食らったやつ。その身体も俺のものだから勝手に傷つけるな、ということでしたね。その後「娘2人ともリスカするなんて俺は悪い親なんだろうけど普通の家庭と違うことが体験できてありがたいと思え」と嘲笑されました。おきゃんは父の物ならむしろ傷つけてやろってリスカが止まりませんでした。


 ・「俺の子じゃねぇ」 

 小学生の頃から幾度となく聞いた言葉。父の子じゃなくて母の子らしいです。似たような系列で「橋の下から拾ってきた」「山から拾ってきた」「猿の子」などバリエーション豊富に父子関係を否定されてきました。

 そんなにおきゃんと父子関係嫌かな。


 ・「誰に生かされてると思ってる!」

 養ってやってるから何してもいいと思ってるんですかね……? 殺せないから生かしてるだけだと思ってます。殺したら犯罪者になるので……。


 ・「学校で習ったことが正しいとは限らない」

 医者のいうことが正しいとは限らないver.もあります。自分の考えと違うから……?

 あと又聞き知識も好きじゃないらしいですが「〇〇さんが言ってた!」「〇〇のニュースでやってた!」ってよく言うので自分は可なんですかね。よく分かりません。


 他にも無視されたりとか姉が置きっぱなしにしていたタブレット端末をゴミ箱に捨てたり、小さい頃だと母は「腐れおっかあ」とか「蠅の塊」とか、実家に帰れとか言われていたり。(実家に帰れ、は今も言いますが)学歴コンプレックスのようなものもあるのか「頭のいい奴(母)は馬鹿の言うことは聞くことないと思ってる!!」ということも幾度となくあります。

 あと姉が異性友人宅に外泊してきて、「次やったらお前の部屋のもの全部捨てるからな!」って怒鳴り散らしていました。最近の出来事(1年経ってないくらい)です。心配してるのか、自分の支配が及ばなくなるのが嫌なのか分かりませんが。


 手のひら返しも得意な人で翻弄されていました。おきゃんが1番被害者被ったのは大学受験ですかね。おきゃんはもともと就職組で、父も賛同してくれていたんですが、高2の夏くらいに「大学に行きなさい、ただし姉が4年制の大学だからお前は短大限定で」って言われまして、短大組に移動。先生にも困惑されました。企業見学とか就職面接練習とか始まってたのに、夏休み終わりギリギリにオープンキャンパス行ったり受験勉強とか学力テスト受けてこの大学ではB判定とか……。


 続いて祖母。


 祖母は、父親という存在に馴染みがない&憧れみたいなものがあるのかもしれません。戦争で、5歳くらいのときにはもう父親がいなかったと聞いています。だから父を大事にして、ご機嫌をとってあげて、敬ってほしいんじゃないかなあ。


 ・「弱いやつが虐められるのは当然」

 おきゃんが父に怒鳴られた次の日あたりによく言います。弱いやつは当たりやすいし、当たられるほうが悪い的なアレ。おきゃんは納得していません。弱いやつこそ守ってやってくれ……。


 ・「お前さえ我慢してれば問題ないから」

 え、おきゃんは我慢して心壊したのにまだ我慢させる……?? そして最近「暴力が日常的にあるなら通報しなきゃいけないけど言葉だけだから!」って言われました。精神的虐待は無いものと思えって言われてる……?

 ちなみにご飯抜くのは身体的虐待も含んでるんですよね。


 ・「お父さんがいないと生活なんてできないんだから……」

 経済的に。

 一人暮らしもあんまり望んでいない感じでしたね。一人では生きていかれないから、お父さんがお金出してくれてるから、一人暮らしなんて考えるな。お父さんのご機嫌伺ってあげなさいよって話だったと思います。あとお父さんは寂しくて構ってほしいから癇癪起こすんだ、構ってやれとも言われました。

 あなたの息子さん何歳ですか…?


 ・悪癖

 ①自分が植えていない植物は雑草だと思ってとりあえず引っこ抜く。

 これは母がすごく困っている(根に持っている)やつです。紫陽花も鯛釣草も、あと鉢もひっくり返されたと言っていました。

 ②父に出すための料理を作らせたがる。

 父は父で自分でご飯出すし、機嫌が悪いと「お前の作った飯なんて食えるか!」になってしまう料理。被害者は主に姉。土日によくあることです。姉は姉で食べたいものがあるので、結局父用に祖母の指示で作った誰も食べない料理が出来上がります。

 生ゴミ行き……。

 ③思ったことを考えずに口に出す。

 年齢のせいもあって制御が効かないんだろうな、仕方ないな、とも思うのですが……。母親の作った料理を大皿から自分で取っていったのに「食えたもんじゃない」と言って残しました。しかもその食べ残しはおきゃんに回ってきました。勘弁してくれ……。

 「三日前の味噌汁」事件は母が根に持っています。当日の朝作った味噌汁でした。生ゴミ行きになりました。

 それからおきゃんはアトピー性皮膚炎で塗り薬と保湿でなんとかしているんですが、「人間の肌じゃない、化け物みたいだ」とか、保湿用の手袋を「小汚いな」と笑ったりします。やめてほしいですね。アトピーは遺伝のせい(父もアトピーだし、母の兄もアトピー)でおきゃんにはどうしようもできないんだから……。


 父、祖母共通のところだと「俺たちの時代は」ですね。親がいなかった、殴られて育った、柱にしばりつけられていた、みんなで一緒にご飯を食べないと二度と食わせてもらえないetc.

 躾に関しては暴力さえなければ虐待じゃないと思っている感じですね。〇〇切り落とすシリーズはどこの家でもあるんですかね……?

 食事の時に肘ついてると肘を切り落とす

 靴の踵を潰して履いてると踵を切り落とす

 みたいなのがありました。


 そして母。

 母はそんなにそんなにおきゃんに対して強く当たらないのですが、とにかく酒飲み。アル中って言うほどではないですが、料理中、夕食中、お風呂に入る前……など仕事が終わってからとにかく飲んでいる……気がします。そしてストレスが溜まれば溜まるほどお酒を飲み、ヒステリックを起こします。

 鍋ガッシャーンしながら大号泣。おきゃんと姉が慰め役。父は「お母さん泣いてるの見ると笑っちゃうからお前話聞いてやれよ(笑)」でした。

 あとたまにすごく子どもになります。言語化できないのかなんなのかわかりませんが、「うー!」って言ってる母を見ると結構引きます。


 大人がそんななので姉もおきゃんも多分愛着障害とか対人不安とか起こしてます。


 そして困ったことに、外面が良い。主に父の。正月やお盆の集りで、さっきまで怒ってたのに「うちの娘はすごいんですよぉ〜」みたいな、いい父親です感を出していく。

 デイケアにお迎えに来てくれた時も姿勢低く、「迎えに来ました!どうもありがとうございます」みたいな……。そして家族は家の中のことを隠しました。おきゃんも中学1年生くらいまでは親の話題ってタブーなんじゃないかと思っていました。


 だから、周りの人に家族のことを相談しても「あんなにいい人なのに!」「怒らせるようなことしたんじゃないの?」「お父さんも疲れてたんだよ」「親を悪く言うもんじゃない」「かわいい反抗期だね〜」みたいな反応をされて苦しかった記憶があります。


 疲れてたら何してもいいんですか?

 親の愛情がわからない(感じられない、素直に愛されてると思えない)自分が悪いんですか?

 おきゃんはずっと反抗期?

 精神が子どもだから?


 なんて考えれば考えるほど苦しくて、死にたくなって、自分だけが悪いのであって親や家族は悪くないんだ、自分が異常者なんだ、って泣いていました。一日中泣いてたこともあります。泣きながらご飯食べて、泣きながらお風呂を洗って、泣きながら洗濯物畳んで……なんで泣いてるのか分からなくなるほど泣きました。


 おきゃんは怒鳴る父が怖いし実際怖すぎてご飯吐き戻したり部屋から出られなくなっていた時期もあったし、そんな父を擁護する祖母が嫌いだし、ヒステリックを起こす母を見て不安になります。家族を愛せない自分のことはもっと嫌い。


 一家無理心中は何回も考えたし、自分含め家族5人殺すより自分1人死んだほうがいいかなって変な方に思い直したり。家族ってなんだろう、愛情ってなんだろう、好きってなんだろうってぐるぐるしてつらくなって午前4時までベッドでゴロゴロしてその日1日気持ち悪くしてる日もあります。


 さて、そんなおうちに育ったおきゃんですが、次回はデイケアと計画相談員さんのお話をしようと思います。福祉ってなんだっけ……っておきゃんは思いましたが、相性が良くなかったんでしょうね! 多分!


 次回『参上! 〇〇マン、〇〇レディ』


 お楽しみに!

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