第7話 誘惑
◆
少し間があり、月城が口を開いた。
『明日から一緒に風呂に入るか』
「・・・!!」
◆
京極は言葉がでない。
『どうした。お前朝に入るタイプか?』
「いえ…!そういうわけではありませんが
そもそも、新規プロジェクトの仕事効率を上げるための同居では‥?なぜ一緒に入浴など…揶揄うのもいい加減にしてください」
京極は同様のあまり、月城の顔を見ることができない。どんな顔でそんな発言をしているのか‥。
月城は落ち着いた様子でシャワールームを後にする。慌てて京極も跡を追うと
『別に、一緒に入るか?と聞いただけだ。特に意味はない。帰宅後はすぐ風呂に入る方が多いが、お前も使うだろう? うちの風呂は広いし、シャワーも湯船と合わせて2つある。別に男同士なんだ。問題ないだろ。効率よく帰宅後もそれぞれの時間が使えた方がいい。まぁ、私は書斎で仕事の続きをしている。何かあれば声をかけてくれ』
そう言い残し、書斎へと月城は入っていった。
月城の書斎へ消えた後ろ姿を立ち尽くして、見た後、京極はシャワーを浴びるため、シャワールームへと移動した。
大きなバスタブにガラス張りのシャワールームとなっていて、高級感とデザイン性のあるセンスあふれた浴室だった。
京極は服を脱ぎ、シャワーを浴びる。
なんだったんだ…。
シャワーからでるお湯に打たれながら、京極は先ほどの月城の発言を思い出す。
会長と入浴を共にする?
私の妄想からできた幻覚か?
会長を意識しすぎて、自身がつくってしまった妄想なのではないだろうか。
それにしてはリアルすぎて、妄想にしては出来すぎている…。
もしかしたら、会長は私の気持ちに気づいていて、揶揄っているのではないだろうか。試されているのだろうか。
しかし、そんなことをして会長にメリットなんてなく、人を揶揄って楽しむ人でもないはず…。ならなぜあんなことを‥。
考えても答えはでない…。
明日から会長との生活は大丈夫だろうか。
早くお風呂から、上がり、明日からの業務に備えてとりあえず体を休めよう。
京極はさっと入浴を済まし、寝具へ入ると目を閉じた。
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