学生トーク「推し活編」

山田 武

学生トーク「推し活編」



「推し活、推し活かぁ……」


「今日は急にどうしたんだよ」


 今日も今日とて、日がな一日を過ごすごく普通な学生二人。

 深い溜め息を吐く片方の少年に、もう片方の少年が理由を尋ねる。


「推し活ってアレだろ、アイドルとかを応援するヤツ。実は少しだけ興味があるんだけどさ……」


「いちおう聞いておくが、何を推すための活動なんだ?」


「…………これ」


「……。まあ、何を応援するのもお前の自由だと思うよ、うん」


「止めて!? 普通だろ、ただの二次元キャラじゃないか!」


 見せられたスマホに映っていたのは、あるライトノベルのキャラクターの画像。

 隠すことを止めたのか、それなりに堂々とした振る舞いで熱く語りだす。


「これは個人の見解なんだけどさ」


「……なんだよ、その前振り」


「あるアニメを観ていたんだ、でその先が気になってラノベを読み始めたんだけど……全然イラストが違うんだよ」


「まあ、そういうことってあるよな。何となく先が見えてきた」


「そう、そうなんだよ! やっぱりアニメとラノベだと求められる物が違うからだと思うけどさ! その差があんまり無い物とか、そもそもイラストがアニメ風じゃないかと思うのもあって、最近はマジで興味津々なんだ」


「……そっか。まあ、幸せそうで何よりだ。俺から言えることは一つだけ──集めるだけ集めて、破産とかするなよ。推し活、まあ押しのための活動で、身を滅ぼしたら、元も子も無いわけだしな」


「そ、そういうガチなこと言うなよ……」


 少年たちは大金持ちでもなく、いくらお手軽な価格で合ってもライトノベルは数を集めればそれなりにお高い……集め放題とはいかない現実が立ちはだかる少年たちだった。


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