王子様の我が儘
壱
夢を、見ているのだと分かった。
リーフェとヴォルトと……兄の声。少し離れた所から聞こえてくるのは、多分兄の従者の物だろう。
今の自分に聞こえるはずもない声だ。だって自分は、絶対の危機に立たされていたのだから。
こんな呑気な会話が聞こえるはずがない。イーゼのことをリーフェとヴォルトが責め倒すという、どこか漫才じみた会話が。
──もしかして俺、死んだのか……?
走馬燈が走る代わりに、懐かしい声が聞こえているのかもしれない。ボルカヴィラ王太子に殺されたのは
自分が死んでもアクアエリアにはイーゼがいる。しばらくは混乱するだろうが、ハイトが抜けた穴はリーフェとヴォルトが埋めてくれるはずだ。普段はちゃらんぽらんでも、政務に関しては優秀な二人だ。何とかしてくれると信じている。
──そういえば、俺が死んだって事は、サラはどうなったんだ?
カティスに囚われてしまったサラを、二人は助けてくれただろうか。
一時的とはいえ
──死んだとしたら、やっぱりサラの事だけが心残りだな……
そんな事を思っている内に、ハイトの意識はまた混沌とした闇に呑み込まれていった。
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