第37話 仕事でも男女の関係は覚悟が必要
本当はただの変態だとバレた慶介くんだったが、私がいつも通りにしててもいいと言ったら、私の家に行くと全力で甘えてきた。
「慶介くん、聞いてもいい?なんで恋人が七歳も年上の私なの?」
年頃の若い、妹みたいな女の子の方が良いのにって思ったので聞いてみた。
「そんな事、決まってるじゃない。慶介はイケメンなのに行動がキモ過ぎて普通の10代女子じゃ、受け止められないわよ。そんな変態。」
妹は同い年なので容赦なく批評し出した。
「ゆうちゃん、言い過ぎだよ、酷いよ?亜里沙ちゃんみたいな子だったら大丈夫じゃないの?」
亜里沙ちゃんは一度も慶介くんを拒否しなかった事を言うと、
「あの子には無理。社会人にもなって仕事も普段着も10代の服を平然と着ている、お姉ちゃんみたいな変な人じゃないと無理よ。」
(ゆうちゃん…毒舌だね…。言ったのが妹じゃなきゃ、私…泣いちゃうよ?)
とんでもない毒舌で私の私服までディスる妹に傷付いた私だったが、
「夕陽!義理の妹でも、その暴言は許さないよ。」彼が妹に反論すると、
慶介くんの中ではすでに私と結婚しているみたいだ。
「お姉ちゃんの名前すら知らない奴に言われたくないよ。変態慶介。」
この二人はいつの間にか、かなり仲良くなっていた。
「知ってるよ!恥ずかしくて呼べないだけだよ。」(えっ、そうなの?)
次々と私の知らない慶介くんに新事実が出てくる。
「妄想では結婚しているのに恥ずかしいって何?ただのキモい奴ね。」
妹の毒舌は止まらない。
「慶介くんが良ければ、日向でも、ひなでも、好きに呼んで良いよ?」
私は部屋でなら問題ないと判断してそう話すと、
「本当?じゃあ、ひなちゃん。だって僕たち同い年だもん。」
妄想の中では同い年の恋人なのか…。複雑な設定だな~。
「お姉ちゃん、ちゃんと考えなよ~。慶介はヤバいよ、いいの?」
妹は私たちが結婚するとでも、思っているのかな?
私は妹に、慶介くんとは仕事の仲間であると話す。すると、
「ひなちゃんは僕と結婚してくれないの?僕は本気なのに…。」
その言葉に私はまず、年齢差を気にしていた。それから本当に私でいいのか?私は自分に自信がなくて、ためらってしまっていた。
「慶介くん、答えはちゃんと出すから…もう少し待ってくれるかな?」
私は逃げた訳ではないのだが、本当に良いのか?もう一度、最初から自分の気持ちを確かめたかった。
「分かったよ、ひなちゃん。僕は本気だから…。」
彼の目は本気だった。(だからこそこっちも真剣にならないと。)
慶介くんが帰ったあと、私は妹に相談していた。人生で初めての結婚を前提の告白だったからだ。しかも、七歳も年下で未成年の男性からだ。これは一人で決めるのは少し困難な気がする。
でも、それを見抜いていた夕陽は、
「やめといた方がいいよ。覚悟が足りないんだよ。私はお姉ちゃんのそういう所が一番嫌いなの。彼は本気なのに、あなたは、何なの!」
その後も妹は続けた。
「お姉ちゃんは自分の事ばっかり、口では慶介との年齢差とか、相手が未成年者だとか、言って逃げたんだよ?お姉ちゃんは欲しいと言った…時間をかける事、それって相手に一番、失礼なことなんだよ?勝手過ぎだよ。」
妹の本音を聞いて、
「私はダメダメなんだね。ゴメンね、ゆうちゃん。カッコ悪い所を見せちゃった。うん。断るよ、私にはその気持ちはないって…。」
妹が最後に、
「お姉ちゃんには本当にガッカリしたよ。慶介に対して優しくしてその気にさせてしまった。最初からビジネスの付き合いをしていたら、彼は傷つくことが無かったのに、本当に最低な人だよ、私のお姉ちゃんは…。」
そう言った後、自分の部屋に戻っていった。
妹は私を思ってキツイことを言ってくれている。悪いのは、物事を深く考えずに慶介くんに今まで接していた、私だ。
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