第35話 朝日、妹を使い、替え玉をしてみる

 初日無事に終わり、下校の時間に亜里沙ちゃんを連れて、夕陽のクラスに行って見る。妹は無言で帰り支度をしていたので、

「ゆうちゃん。ちょっといい?」妹を呼ぶと、


「何?なにか用があるなら早く言って…。」姉には、冷たい。


「私の振りをしてよ。ゆうちゃん。立場を変えてみよ?」と提案すると、


「嫌よ。意味が分からないから…。」と言うので、内容を耳打ちすると、


「バレるに決まっているじゃない、あなたの恋人でしょ?彼は。」

 とゆうちゃんは何故か、恥ずかしそうにしていた。


「やってみようよ?ゆうちゃんは完全に私の振りをする。私はゆうちゃんみたいにクールな雰囲気で慶介くんに接して見るから…。」と話すと、


「嫌よ!あなたの彼氏、メチャクチャくっついて来るでしょ?あんなの私には耐えられない…。」夕陽が今までで一番動揺している…。


「取り合えず身に付けているもの交換ね、ゆうちゃん。」

 そう言うと、カバンと腕時計を交換した。


「亜里沙ちゃんも協力お願いね?」そう言うと、彼女は楽しそうに、


「分かったよ!夕陽ちゃん!」私の呼び名を変えた。


「嫌よ!絶対に嫌!」夕陽の同様が止まらなくなって来たので、


「大丈夫だよ。慶介くんならすぐに気付くから、さすがに一瞬でバレる、でしょ?彼は私の探偵の相棒だよ?」そこまで言うと観念したのか、


「分かったわよ!やれば良いんでしょ!」開き直って、やる決心が付いた。

 そのあと、亜里沙ちゃんと二人で下校させて、私は隠れながら様子をみた。


しばらくすると、変態慶介くんは、夕陽と亜里沙ちゃんに近寄って、

「朝日さん!なんで僕を毎回、おいていくの!恋人じゃないか!」

 ゆうちゃんに向けて話し出した。

 (探偵で恋人なら気付けよ~。それともわざとか?慶介くん?)


「そう言うと、ゆうちゃんの手を握って引っ付き出した。」

 (ガチで気付かないつもりなのかな~。慶介くん。)


慶介くんに引っ付かれて、緊張している、ゆうちゃん。

「私は!」夕陽本人が違うと白状しようとしたら、


「朝日さんと慶介くんは仲良しだよね~。」亜里沙ちゃんがそれを阻止した。


「だろ~。今日は僕だけのものだよ?六条さんは触らないでね。」

 慶介くん。探偵…、失格だよ?ノリに合わせてくれてるだけだよね…。


「朝日さん。可愛いよ~。」慶介くんは気付かない。

(いくらなんでも、おかしいぞ。何基準で朝日だと判別している?)


 カバンと腕時計しか、交換していないし、そう言えば…あの腕時計って、最初に侑香里さんから探偵のアイテムって言われて貰ったような…。GPS内蔵ではぐれたり、したときに役立つって言っていた…。

 そう言えば、慶介くんはどうやって、いなくなった私の居場所を特定するんだ?探し回っている形跡は無かったし、まさか…あの腕時計に反応しているのか?


私は洗脳変態プレイのカラクリに気付いた、

「フッフッフッ、社長!とうとう、見つけましたよ。あなたの悪事の証拠を。もう言い逃れは出来ないですからね。」

 早速、今日、事務所に行って問い詰めてやるぞ!


結局、亜里沙ちゃんの家に着いても。慶介くんはゆうちゃんを朝日だと誤認したままだった。

「朝日ちゃん、いつもありがとう、バイバイ。」

 そう挨拶すると、亜里沙ちゃんは家に帰っていった。


我慢できなくなったのか、ゆうちゃんが、

「妹と話をしたいから待ってて。」って言うと、


「すぐに戻って来てね。」と慶介が言ってそこに止まった。

 それを確認したゆうちゃんが怒りながら私の所に来て、


「あなたの彼氏、どうなってるの!全然、気付かないじゃない!」

 ゆうちゃんはメチャクチャ怒っていた。


「ゴメンね。あそこまでとは、思わなかったの。腕時計とカバン返すね。」

 これで誤認することは無くなるはず…。再び、交換して二人で近付くと、


「朝日さん、待ったよ。さあ、帰ろうよ~。」

 慶介くんは次は私を朝日だと判別した。


帰り道でさすがに疑問に思ったゆうちゃんが、

「どういう事なの?なにを基準であなたと判断しているの?」

 ゆうちゃんは気になったらしくて私に聞いてきたので、


「これが、朝日基準を決めていたみたいなの。」私は腕時計を見せた。


「そんなものだけで、私とお姉ちゃんを判断しているの?」

 あっ、ゆうちゃんが今、お姉ちゃんって言ってくれた…。


「ゆうちゃん…やっと、お姉ちゃんって言ってくれたね。ありがとう。」

 嬉しくてつい、そう言うと、


「いっ、言って無いわよ!つい、間違えたの!あんたって言うのと…。」

 ゆうちゃんはさっきよりも、顔を真っ赤にして照れていた。


 なるほど、妹は私を姉と認めて無かったのではなく、単にお姉ちゃんって呼ぶのが恥ずかしくなっていた…だけなのか…。頭の良いあなたらしく無いから全然気付かなかったよ…。ゴメンね、夕陽。


私はそっと妹の頭を撫でた、

「ちょっと!何を触っているのよ!恥ずかしいからやめてよ!」

 恥ずかしがりやのゆうちゃんには、耐えられないみたいだ。


「止めないよ?ゆうちゃんがお姉ちゃんって呼ばない限りは…。」

 私がそう言うと、


「呼ぶよ、呼ぶから、止めてよ。お姉ちゃん!」

 姉と呼んでくれたので、妹を愛でるのを止めた。


その後、私とゆうちゃんと慶介くんは仲良く話ながら、帰って行った。

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