第34話 妹は同級生

 妹と同じ学園に通う日がやって来た。

「ゆうちゃん、一緒に学園に行こう?」私は妹にそう話し掛けると、


「分かった。」妹は嫌がらずについて来てくれる。


 私は妹に亜里沙と言う女の子の家に寄って行くと話しても、黙って付いてきてくれる。亜里沙ちゃんの家まで到着すると、

「おはよう、そちらの方は?」妹を見て聞いてきたので、


「亜里沙ちゃん、私の妹の夕陽だよ。」と教えると、


「夕陽ちゃん、おはよう。」亜里沙ちゃんは笑顔で挨拶をしていた。


「おはよう。」妹はクールに挨拶をする。


「一緒に行こ?」亜里沙ちゃんは妹の手を取って歩き出した。


 妹は嫌がる素振りもなく、亜里沙ちゃんに引っ張られて連れていかれた。

やや強引だけど、悪意を知らない純真無垢の亜里沙ちゃんは妹に話し掛けていた。会話は一方通行なのだが、妹は黙ってずっと聞いていた。


私は慶介くんに、

「慶介くんは、ゆうちゃんと一緒のクラスだから妹をよろしくね?」

 私がお願いすると、


「朝日ちゃんの妹は僕の妹だから、任せておいてよ~。」

 そう言いながら、私にくっついてくる。


 慶介くんがいれば妹は安心だから、私は自分の仕事をしないとね。今は特にトラブルは無いけれど、必ず新しいクラスで何かは起こるだろう。その時に私がちゃんと対処できるように行き届くようにしよう。


学園に着くと慶介くんは妹と新設のクラスの教室へ行き、亜里沙ちゃんと私は普通科の教室へ向かった。

「夕陽ちゃんは朝日ちゃんに似ていてあの雰囲気が好きだな~。」

 亜里沙ちゃんは何も話して来ない妹に、なにかを感じていて好きだと話してくれた。


「亜里沙ちゃんも妹をよろしくね。」私がお願いすると、


「うん!夕陽ちゃんの事、私は好きだよ。」この子は素直な意見を述べる、

 この言葉を聞く限りは気に入ったみたいだった。


 でも、妹はなんでなにも話さないのだろう?亜里沙ちゃんは嘘をまったく付けない人間だから、言っていることは本音ばかりだ。妹に少しでも嫌悪感があれば、彼女は感づいて一歩引くはず…。それが無いと言うことは妹が彼女の事を嫌っておらず、むしろ、好意に思っている。それに雰囲気が私に似ているとは?どういう事なんだろう?見た目?じゃないとすれば…。


 もっと、妹が知りたいな。姉妹なのに、なんでこんな当たり前の事を今まで私はしてこなかったのだろう。カッコ悪いお姉ちゃんだったね。私。でも、もう一人にしないからね。夕陽…。


私が自分の教室へ入ると、

「あれ?野々宮さん、さっき慶介くんと歩いていなかった?」

 と不思議な顔をしたクラスの女子に聞かれたので、


「あれは、私の妹の夕陽ちゃんだよ?」と答えると、


「野々宮さん!そう言うことは私たちに言ってよ~。朝日さんだと勘違いして、思いっきり話し掛けちゃったよ!」(あっ。そこ、考えて無かった…。)


「ごめん!妹はなにか言ってた?」私は謝罪しながら聞くと、


「うん、おはようって言ったあと、私はいつもこんな感じで挨拶していたのか聞かれたよ?だから、いつも私たちみんなに挨拶して私の話をいっぱい聞いてくれるよって答えちゃった…。変なこと聞くから、おかしいと思ったよ。」


(妹が私の事を聞いていたの?私になんて、興味ないと思っていたよ…。)


「ゴメンね。また会ったら仲良くして上げてね?」と私が頼むと、


「当たり前だよ~。野々宮さんの妹だったら、絶対にいい子が確定だもん。夕陽ちゃんか~。朝日さんを少し子供っぽくした感じが可愛かったな。みんなにも言っておくよ。…それから差を付けておいて!髪型とか、ヘアピンとか付けてさ~。じゃないと雰囲気似すぎだから、分かんないよ~。」


(まただ。この子も私と夕陽が似ていると言った。そこまで似ているのなら…試して見ようかな…。)

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