第33話 ボッチな真菜は純粋な人が苦手
妹が家に来てからは毎朝、早く起きて朝食を作る努力をしている。
妹が実際に転入するのは来月からだが、お母さんの配慮で昨日からの共同生活をすることになった。
妹はおはようの挨拶はしてくれるが、いまだに姉とは呼ばれていない。
うちはそこまで裕福な家庭ではない、学園が新設クラスの優等生には、学費と生活費をサポートするという話に両親はすぐに決断したそうだ。まあ、私自身も浅野探偵事務所から、そこそこお給料をもらっているし、妹の学費費くらいと言いたいが、妹はそれを拒むだろう。
妹は賢い、とても空気を読む、だからこそ姉の私との会話が無くなってしまうのだ。どうやら、友達もいなさそうだ…、才女だからこその悩みなんだろう。
「じゃあ、私、行くから…。」妹は学校に行く時もこんな感じの挨拶をする。
「あっ、ゆうちゃん、行ってらっしゃい。」
私は手を振って見送るが普通に無視される。
「私もそろそろ行こう。」妹を見送るとすぐに、亜里沙ちゃんの家に向かう。
亜里沙ちゃんの登下校もトラブル無く、進んでいるし、何かあっても慶介くんがいる。変態の慶介くんはカモフラージュでベタベタ私に引っ付いて何もしないのでは無いと最近は分かるようになった。
「朝日さん、今日もかわいい。」慶介くんは必ずこう言ってくれる。
「慶介くんは本当に朝日ちゃんが好きだよね。」
亜里沙ちゃんも最近はこの私の事が大好き慶介くんのセリフにも慣れた。
亜里沙ちゃんという美少女を前にしても、私の事を好きと言ってくる事に気を悪くするわけはない。だけど、六条さんとの契約もあるから、気は抜かずかつ、自然に振る舞っている。
私はちゃんとして妹に認められるようになる。みんなが学園を快適に過ごせるようにいつも頑張るんだ。
「あら、朝日。今日も三人なのね…。」真菜ちゃんに会ったので、
「真菜ちゃんも一緒に行こうよ。」私が誘うと、
「目立つから、嫌。」真菜ちゃんに断られちゃった…。
すると純粋な美少女の亜里沙ちゃんが、
「真菜ちゃんは私が嫌いなの?」この子は言いたい事をすぐ言葉に出す。
もちろん、嘘の付けない純粋なタイプに弱い真菜ちゃんは、
「そんなことは言ってないよ。」と答えるが、
そんな真菜ちゃんをうるうる目の美少女、亜里沙ちゃんは見つめていた。
「分かった、一緒に行くから、そんな目で私を見ないで。」
そう話したあと、二人は並んで歩き始めた。
(本当に良かったよ、二人とも少し変わっている子たちだったから、こうして友達になってくれて…。)
朝日は誰かが、仲良しになって行く姿を見るのが好きだった。
(きっとこの二人なら、妹とも仲良くしてくれそうだ。)
「幸せそうな顔をしている、朝日さんも好き。」(ずっと見ないでよ~。)
慶介くんはずっと私の表情を見て、妄想にふける。彼も幸せそうだった。
「恥ずかしいから表情を読むのは止めてよ、慶介くん。」
恥ずかしさのあまり、彼の手を振りほどいて、二人に近寄ると、
「朝日といると目立つから、嫌なのよ。」
真菜ちゃんは、亜里沙ちゃんではなく私に文句を言ってくる。
でも、この子は言っていることと、考えている事が逆であまのじゃくな子、
私には嫌がってはおらず、彼女は人と話せて嬉しそうに見えてしまう。
今日も校長に呼ばれていた。
「定員数割れを起こしたので普通科から上位成績5名を特別クラスに編入させて競争力を高めようと思います。」校長先生は話してくれた。
(私は関係ないよ、ごく平凡な成績だから。)
「これがリストになります、確認をお願いします。」
教頭先生に言われて確認をしてみる。
(普通科トップは……慶介くん!どれだけ賢いの?)
「ご覧の通り、高倉くんには特別クラスの事を見て頂き、普通科は引き続き野々宮さんが中心になって生徒たちを守ってもらいます。」
(慶介くんと離れるのか…、妹の事をお願いしようかな…。)
日々変わる日常に対応していかないと、学園の安全と快適な生活を私が中心になって守るんだ。来月からも頑張るんだ、私。
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