第31話 妹とは、疎遠の朝日
お母さんに仕事の理解を得られて、無事に解決できた朝日にはもう一人の家族にも理解をしてもらわないと感じるようになった。
「ひなちゃん、私は今の事をお父さんには話すけど、ゆうちゃんには、ちゃんと自分の口から言ってね。」
私の家族で一番の問題、それは…妹との仲だった…。
「うん、でもあの子は私を姉と認めてくれたことないから…。」
実は私には、17歳の妹がいるのだ。これは本物の17歳。
昔から妹は優秀な女の子だった。勉強が学年トップ、運動神経も抜群、非の打ち所の無い完璧な才女。
そのため、凡人の私とは性格も考え方も全然、違っていた。子供の時は、お姉ちゃんっ子だった妹も、中学生の頃から意見違いでお互い、まったく話さなくなった…。
私が何かをした訳じゃない。私が反対に何もしないから、妹に愛想を尽かされたのかもしれない…。
妹は何も語ってくれない。私に姉らしさを求めて来ない。今は話をするだけでお互い、息が詰まってしまうのだ…。
でも!今の私なら…。探偵として立派な姿を見せられるのなら…。姉として、妹の自慢のお姉ちゃんになろう…いや、なってやる!
「お母さん…ゆうちゃんの事で話があるの…。」
私はお母さんに今の自分の仕事を妹に見せたいと言った。
「じゃあ、こう言うなのはどうかな…。」
お母さんの考えは私にとっては意外なものだった。
翌日、私はいつも通りに亜里沙ちゃん、慶介くんの三人で、学園に到着したあと二人と別れて、校長室に向かった。
「野々宮さん、この度、うちの学園で有名大学進学専門の特殊なクラスを定員30名で募集したいと思います。成績上位の優等生はすべての優遇処置をさせていただきます。」
校長室の話では、上位の優等生の授業料はもちろん、生活費もサポートするほぼ、無料で学園に通えると言う、優遇内容だった。
「それで私を呼んだ、理由は何ですか?」だいだい、分かるけど…。
「今、高校二年生の中で全国成績トップの人物を知っていますか?」
校長先生に言われたので、私は、
「はい。私の妹、野々宮
「今回、君のお母さんにも、お許しを得て、この学園に転入して来るので、安全で快適な学園生活を送れるように配慮をお願いします。」
なるほど、優等生の妹は競争社会の学年トップに君臨するから、嫌がらせ等を受けないようにして守って欲しいと言う訳か。
「元々、学園の安全、快適な生活を守るのが私の仕事ですから、相手が妹でも、他の方でも変わりません。お任せください。」
校長先生に私はそう伝えて、校長室を出た。
私は自分の教室に戻るとすでに話題が知れ渡っていた。
私のいる、普通科や真菜ちゃんがいる、芸術科にはあまり関係ないのだが、それでも全国トップクラスの精鋭集団が来るって言うことで、話題になるのだ。
放課後になり、亜里沙ちゃんと慶介くんと歩いていた。
(来月、以降から学園で妹に会うのか…。)
元気の無い、私を見た亜里沙ちゃんが声をかけてきた。
「朝日ちゃん、どうしたの?嫌な事があったの?」彼女に聞かれたが、
「何でも無いよ。私は元気だから。」
そうだ、私は朝日なんだよ。いつも元気な朝日ちゃんなんだ。
こんなことでメソメソしていたら、みんなに笑顔で過ごしてもらう、仕事なんだ。頑張るんだ!
亜里沙ちゃんを家に送り、慶介くんと私の家に戻ると、
「今の私とそっくりな妹、
私は、
「ゆうちゃん…久しぶりだね。元気だった…。」と声をかけると、
「普通よ、それより家の中に入れてくれないかな。」妹は涼しげに答えた。
(うっ、いつもながら、刺々しいよ。)
「ゴメンね。今、開けるから。」朝日は玄関を開けて入って行った。
私は事前にお母さんから聞いていて、私の部屋を綺麗にして開けていた。
「ゆうちゃんはこの部屋で生活をしてね。」
妹を部屋に連れていき、引っ越しの荷物を少し持って部屋に置いた。
そのあと妹の部屋になった、扉を閉めた。
「とりあえず、ご飯を作ろう。慶介くん、私の妹がいるから大人しくしてね。」騒がないように、釘を刺しておく。
私の妹、ゆうちゃんとの共同生活が始まった。
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