第30話 大人の私と17歳の真剣交際

学園の制服姿と17歳の慶介くんと手を繋いで家に連れ込む姿を母に見られて説明を求められた私は、窮地に陥っていた。

母に仕事の話を説明しても、信じてくれないのだ。


「ひなちゃん。これは大問題だよ?いい年した大人が、高校の制服を着て、年齢を偽って未成年の少年を家に連れ込む…、犯罪スレスレだよ?」

 お母さんは私を完全にヤバい女扱い、し始めた。


「お母様!私は野々宮さんと真剣交際しています。だから犯罪では、ありません。」慶介くん…ありがとう。でもややこしくなるから止めて。


「ひなちゃん!こんな若い子を騙して、大人として恥ずかしく無いの?」

 24歳の娘が学園の制服姿をして17歳のイケメンを誘惑している。

 母の中では、そう言う構図になっている。


「お母さん。本当に仕事なの。今から社長に説明してもらうから…。」

 通話をみんなに聞こえるように電話をかけた。


でもあのクソ社長は…、

「朝日ちゃん?どうしたの、お父さんの声を聞きたくなったの?」

 (社長~、その会話の入り方はおかしいでしょ!)


「社長、真剣に話して下さい、今、母に仕事の説明をしているので、私が普段どんな仕事を、しているかの説明をお願いします。」


「朝日ちゃん…いくら私がウザいからってそんな嘘ついて…。」

 社長にすら、信用されていないな。


「もういいです。あなたには頼みません。」

 電話を切って、もっとも信頼している方に電話をかけた。


その人なら、私を窮地から助けてくれる。その人は、

「もしもし、どうしたの?朝日ちゃん。」


「助けて下さい、恵令奈先生、私のお母さんに私が普段、どんな仕事をしているかを説明していただけませんか?」


恵令奈先生は母に丁寧な説明と仕事の重要性を分かりやすく話してくれた。


 そのあと、お母さんは納得してくれたので、


「恵令奈先生。助かりました。私、本当に…」最後まで言おうとしたら、


「教え子で親友の頼みだもの、喜んで協力するわ。朝日ちゃん…今の仕事は誤解されやすい仕事かも知れないけど、まっすぐ、真摯に向き合っていれば、必ずみんなのためになるから、頑張ってね、バイバイ。」

 

 先生は恩を着せる形になるのを考量して早い目に電話を切ってくれた。



するとお母さんが、

「すばらしい人生の先生がいるのね、私も言葉に引き込まれたわ。」

 恵令奈先生の人を魅了する力は電話だけでも相手を魅了するみたいだ。


「あれで同い年の24歳なんだから、私はダメダメだよ…。」

 同じ年で格が違う部分にへこんでいると、


「ひなちゃん。そんなことないよ。だってそのスゴい人がひなちゃんを信用して、娘を信用しない私に仕事の説明をしたんだから。自信を持って頑張りなさい。」(お母さん…。)


「お母さん!ありがとう。私、頑張るよ!」私は元気よく言うと、


「ひなちゃん…お母さんも応援するね。」お母さんは笑顔で言ってくれた。


私は慶介くんを呼んで、彼の頭をひざに乗せて膝枕しながら、

「お母さん、私、最近思うんだ…慶介くんの私への好意は偽りなのかも知れないけど、こんなに私を想ってくれるのを拒否するのも良くないなって…。」

 「いつもありがとう」と言いながら、彼を優しく撫でていた。


「お母さんは恋の応援もするよ?彼は変だけど、ひなちゃんの素直で優しい、そう言う所が彼を魅了するんだと、私は思うよ?」

 私の膝枕の上で幸せそうにしている彼を見て話してくれた。


「幸せで過ごしてね、ひなちゃん。」

 お母さんはそう告げると帰ろうとしたので、


「お母さん、ご飯作るから、一緒に食べよ?」

 久々の親子の時間を過ごすことにした。


 お母さん、慶介くん、恵令奈先生、みんなありがとう。

 みんなのお陰で私は明日からも頑張れるよ。

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