6章 朝日の家族

第29話 朝日、母にバレて怒られる

六条さんに会って話した、翌日も亜里沙ちゃんを送り届けたあと、

私と慶介くんは事務所に来て現状報告をしていた。


私は、六条さんとの契約内容について、

「私たちは契約に基づき、引き続き亜里沙ちゃんの友人兼護衛として学園生活をサポートすることになりました。」

 彼との会話内容はすべて伝えずに社長へ話すと、


「朝日ちゃん…、父さんは嬉しいよ。娘が探偵の活動を理解してくれて…。」

 (いつから私の父親になったんですか?ウザい絡み方しないでください。)


「社長、私の父親面を止めてもらえませんか?」ウザいです。


「年頃の娘を持つ父親は辛いよ、な~、侑香里?」

 ウザ社長は雑務をテキパキとこなす、敏腕の若妻にも絡み出した。


「そうですね、社長。」侑香里さんは棒読みで夫に言葉を返していた。

 ほら~、自分の奥さんにすら、ウザいと思われてるじゃん…。

 って言うか、今の所、仕事の邪魔しかしてないよね?


「社長!侑香里さんが忙しそうなのになぜ、あなたは暇なんですか!」

 事務所のすべてを取り仕切る、敏腕妻に任せきりの役立たず社長を叱る。


「娘は反抗期だし、大好きな妻は冷たいし、悲しいよ父さんは…。」

 侑香里さん!この社長のどこに良さがあるんですか?


(はっ!まさか…侑香里さんも洗脳されているのか?)

 私の横でベッタリ引っ付く慶介くんを見てふと、思った…。


 この私もやがてこの社長に洗脳されて娘にされてしまうのでは…。

 お父さん大好きと言わせる気だな…、しかし、私は騙されないぞ!


得体の知れない、社長の催眠術に警戒する私の隣で慶介くんが、

「朝日さん。好き、デートしようよ~。」と言ってくる。


 マイペースだね君は…。慶介くんは私が好きすぎる設定を常に守っている。


「慶介くん、行こっか、社長がウザいから。」

 彼の手を引いて事務所を出ていった。


「朝日さん、デートは?」私は慶介くんの発言にだいぶ慣れた。

 最近は彼に対して普通に、


「家でご飯を作るから一緒に食べよう?」と返していた。


そして、家の前に着いたその時、

「ひなちゃ~ん。これはどういう事かな~。」あっ、この声は…。


後ろを振り返ると、鬼の形相で私のお母さんが立っていた。

「ひゃ!おっ、お母さん…なんでいるの?」

 予想外のキレているお母さんの登場に現状の…、JK変態コスプレ姿の説明

 方法を考えた…結果、


「家の中で説明しますので、ここでは怒りを鎮めて貰えますか?お母さん。」

 と話してから、怒りの母と変態彼氏を連れて家に入って行った。


家に入ってお母さんを座らせたあと、慶介くんに、

「後でいくらでも甘えていいから、今は黙っていてもらっていて良いかな?」

 と言って、発言をしないように釘を刺した。


そしてお母さんに、

「お母さん、私は今、ここで働いているの…」って話をする前に、


「ひなちゃん!その姿は何!会社辞めて、そんな格好して、風俗店で働いているの?…娘がダメな道に進んで、お母さんはそんな今!とても悲しい…。」


 社長。私の母は過ちを犯した娘を見る目で私を見ています。

 私が社長にJKコスプレの風俗店で働かせている。と思われていますよ?


「お母さん、落ち着いて聞いて下さい、私は今、こう言う仕事をしています。」名刺を見せた…。


名刺をしばらく見たあと、お母さんは、

「ひなちゃん。そう言う設定で客引きして相手の男性と学生服を着て、淫らな行為を家でサービスするって事ね。」

(ほら~、名刺がふざけているから、母にすら、信用されないじゃん。)

 親子の関係に亀裂を生んで…どうしてくれるんだ!社長~。


「お母さん聞いて下さい。私は今、探偵をしているんです。そしてイケメンの彼は私の探偵仲間です。」慶介くんを指して説明した。


「ひなちゃん、お母さんは騙せないよ!だって…。」

 お母さんは慶介くんを見ていた。彼は、


「いい匂いだよ。朝日さん。」(えっ、慶介くん?)

 私のクッションを抱きながら、私の匂いを嗅いで目をトロンとさせていた。

(慶介くん!黙っていろとは言ったけど…これじゃ逆効果だよ!)


「慶介くん!お願い、探偵の仕事とちゃんと説明をして…。」

 弁解のちゃんとお願いします。


「はい!お母様!私は浅野探偵事務所の高倉 慶介と言います。野々宮さんとは恋人です。」

 ちょっと…違うかな、恋人です。って探偵の紹介ではないよね?


「あなた、ずいぶん若く見えるけど、歳はいくつなの?」

 あっ、嫌な予感が…。


「はい!17歳です!お母様!」慶介くんが年齢を話すと、


「ひなちゃん…。未成年に手を出すのは、良くないよね?何考えているの!」

 慶介くんが17歳と聞いて、お母さんはさらに私へ詰めよってきた。


「お母さん!大丈夫だから!手を繋ぐだけで他は何もしていないから!」

 性行為はしていないと主張すると、


「はぁ~。娘がここまでダメな道に進んでしまうとは…。お母さんは情けないわ。こんな子に育てるつもりはなかったのに…。」

 そう言うと、お母さんは完全に黙り込んでしまった。


……どうしたらわかってくれるかな?と私は頭を抱えていた。

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