終章 学園探偵の仕事範囲とは?

すべてが怪しすぎる、六条 浅斗さんに真相を聞くため、

私と慶介くんは彼の職場に来ていた。


私は彼に、記憶喪失と亜里沙ちゃんの戸籍の謎を問い詰めた。


六条さんは詰まることなく、話を始めた、

「君は若いのに優秀みたいだな。探偵だからか…。正直に答えようか。」


 そう言うと、何かのボタンを押していた。

「軽い、盗聴防止のジャミングだから、気にしなくていい。始めるよ、彼は大丈夫か?」六条さんは慶介くんを指してそう言うので、


「慶介くん。膝枕してあげる。」と言うと、

「やった!朝日さん…柔らかいよ~。」慶介くんは大人しくなった。


「なるほど、高倉くんは君に絶対服従なんだね。」

 (私も探偵の端くれ、彼を少しでも安心させて真実を聞き出す。)


 危険性が無いことを確認した彼は真実を話してくれた、

「じゃあ話すね。パソコンで警察の個人データをハッキングし、行方不明者リストから最適の戸籍を借りて、私の戸籍に娘として登録をした。」


「あと、亜里沙は君の言うとおり、記憶喪失では無いと私も考えている。」


彼の話は、

家の前で倒れていた、少女を自宅に匿い、言葉を始めとした一般教養を身に付けさせた。独身だった彼は、DV被害者で逃走中だった今の奥さんを亜里沙ちゃんの教育者兼母親として雇い、 偽装夫婦として今に至るらしい。


あり得ない夫婦関係に疑問を持たないように彼はその理由を話した。

「君たちの関係と一緒さ、妻の美帆は私の事が好きすぎるから、私の意見を常に尊重してくれる。だから、美帆も亜里沙も私が守ると決めたんだ。」


そのあと、警備会社を立ち上げて秘密裏に事を進めているらしい。


(まったく知らない女の子ために、独身男性が母親役を雇い、妻にして、警備会社を立ち上げて真相を究明しようとする…。)


(規模がでかすぎじゃない?私とは次元が違うよ、天才か、この人…。)


あとは、これが事実かどうかだ。

「慶介くん、どうだった?」膝枕をムフフとお楽しみ中の彼に聞いた。


ムフフの状態の慶介くんは、

「朝日さん、大丈夫だよ。あの人は嘘を言ってない。呼吸に乱れも無いし、脈拍数の変化も感じられない。会話のテンポに異常も無いから…。」

 変態慶介くんは、一応、人の話をすべて聞いているのだ…。


 優秀だね。ご褒美だよ~。慶介くんを優しく撫でて上げた。


「なるほど、二人で一組の優秀な探偵なんですね。」六条さんは答えた。


「二人になら、亜里沙を任せられるよ。だから、娘の学園生活は頼んだよ、野々宮さん、高倉くん。」


「学園の事は私たちに、亜里沙ちゃんの謎は六条さんたちにお任せします。」


 私たちの仕事は学園の事だけ、

 家庭の事情や学園外の事はJK探偵の朝日ちゃんの仕事じゃない。


 だから、浅野探偵事務所は亜里沙ちゃんの誘拐未遂事件には

 一切、関わらない。

 そう言う事ですよね…。社長。


 ドラマや探偵漫画でやっている、犯人はお前だ!なんてシーンは

 本来の探偵の仕事では無いんだよ?それは警察の仕事だよ。


 探偵が活動範囲を越えて、調子に乗るなって言いたいよ?私は。

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