第27話 朝日の強い味方たち

玲奈ちゃんと亜里沙がじゃれ合っている姿を見て、


 朝日は玲奈の言っていた事を考えていた。

亜里沙ちゃんは記憶喪失ではなくて、なんの教育も受けずにこの年齢まで過ごしていた。実年齢も不明で戸籍はどうなるんだ?戸籍や行方不明の捜索願いも出ている少女を一人の人が、家族が、勝手に娘にすることなんか…そんなことが日本で可能なのかな?


(六条家…母親も父親もすべてが、怪しすぎだよ~。)

 私が一人、頭を抱えている側でこのアホ彼氏は私にベタベタしている。


「朝日さん、二人は楽しそうだから、僕ら二人もデートしようよ。」

 この変態は護衛の仕事を、放棄しようとしている。


案の定、玲奈ちゃんたちが、変な男グループに絡まれ出した。(ナンパ?)

「ヤバイよ、慶介くん!彼女たち、二人を助けて。」

 私は慶介くんに頼んだのだが、


「嫌だよ、朝日さんが無事なら問題ないよね?」

 (コイツ~!なんてこと言うの、思いっきり、叱ってやろう!)


「慶介くん!」って叫んだ瞬間、玲奈ちゃんが男をすべて倒しちゃった。

(えっ…玲奈ちゃん強すぎじゃない?格闘技のあれだよね?)


「ほら、僕の出る幕無かったでしょ?」

(えっ?慶介くん、玲奈ちゃんが強いの知ってたの?)


「足と太ももの均整の取れた筋肉、あれが弱いわけないよ。」

 と慶介くんは玲奈ちゃんの体を見ながら、語っていた。


「あっ!でも、朝日さんの足の方がキレイで好きだよ~。」

 私の足を見てから言ってきた。

 真面目でカッコいい慶介くんはすぐに元の変態になってしまった。


(ん?今の騒動で気付いた、誰かが私たちを監視している…。)

ナンパ男たちの動きのお陰で、誰かに付けられていることに気付いた。


全員が玲奈ちゃんの動きに圧倒されるなか、亜里沙ちゃんを一点に見ている男がいたのだ。(気配の消し方が異常だよ。一般人じゃない…。)


「ダメだよ!朝日ちゃん!思いっきり見ちゃ。」慶介くんに注意された。

(慶介くんは何者なのよ~、普段、変態のふりをしているだけなの?)


「慶介くんは気付いていたの?」監視者の存在を気付いていたか聞くと、


「校門の所からいたよ?玲奈さんも気が付いていたので、僕たちに話し掛けて四人行動をしているんだよ。」

(玲奈ちゃんも慶介くんも何者なのよ~。)


私、超ポンコツな探偵じゃん。探偵でもない、玲奈ちゃん以下って…。

自信が無くなりそうで、へこんでいたら、


「朝日さんが無警戒でいてくれるから、相手のボロが出たんだよ?社長は朝日ちゃんしか、持っていない別の部分を評価しているんだよ?」

 慶介くんが真面目モードで私の存在の重要性を教えてくれた。


すると、玲奈ちゃんが亜里沙ちゃんを連れながらこっちに来て、


「朝日ちゃんと慶介くんの関係は、私と恵令奈お姉ちゃんと一緒なの。武術に優れる私はお姉ちゃんを悪い奴から守る代わりに、恵令奈お姉ちゃんはメンタルケアや機転を活かした切り口で問題を解決する。」


「超、仲良し姉妹なんだ。」玲奈は自信たっぷりに答えていた。


(二人とも私に気を使ってくれてありがとう。でも…。)


「しっかりしなさい!朝日ちゃんはお姉ちゃんと約束したんでしょ!恵令奈先生は今の自信の無い、朝日ちゃんを見たら悲しむよ?」

 (恵令奈先生との約束だよね。うん!頑張ろう!)


「ゴメンね、玲奈ちゃん!私は頑張るよ!」

「それから、恵令奈先生にときどき様子を見てくれって頼まれてるんだね、ありがとう玲奈ちゃん。」

 恵令奈、玲奈姉妹も私の味方なんだ。


「いや?私はヒマだから来ただけだよ?」(あれ?なんか想像と違うよ?)

 玲奈さんは首を傾げながら、

「お姉ちゃん、そんなこと言ってたかな?う~ん。」って言い出した。


玲奈ちゃんは不思議っ子だったね…。恵令奈先生、大変そうだな…。

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