第25話 母親も訳あり

亜里沙ちゃんの誘拐未遂が発生しため、私は事務所に寄っていた。


「社長!ほんとにヤバい案件ですよ!亜里沙ちゃんが拐われそうになったんですよ!探偵の案件じゃ無いですよね?」

 私は身の危険を感じた事を社長に伝えてこのまま続けるべきか?聞いた。


「どうだ、スリル満点だったろ?」

(絶叫アトラクションか!この人、危機意識無いな~。)


「この事務所に危ない人が来たら、どうするつもりなんですかー!」

 私はこの社長に危険性を知ってもらうために脅した。


「大丈夫だよ。私も侑香里も慶介も超、強いから…。」

 (この人、かなり弱そうだけど…。そうだ!)


私は事務所にいる慶介くんに、

「慶介く~ん。社長が私を無理矢理!襲おうとするの!助けて~。」

(ふん!痛い目に遭うといい!)


「社長!僕の朝日ちゃんに何したんですか!」

(やっちゃえ~慶介くん!)


 技を掛けようとする慶介くんに社長は軽く交わして、逆に腕を取って間接技で固めた。

「慶介~。まだまだだな。俺は教えたろ?無策で向かって来るなって。」

(強!慶介くんが一瞬でやられちゃった…。)


「社長!慶介くんを離して!」私は社長に引っ付いた。


「ラブラブだね~。二人とも。」社長は慶介くんを離した。


私は慶介くんの元に行き、謝罪した。

「慶介くん、ゴメンね、私がふざけたばかりに…。」

 痛そうな手を触って心配していると、


慶介くんは、近くに寄り添って心配する私を見ながら、

「朝日さんは近くで見ても、可愛い過ぎるよ~。」

(この子、本当に私が好きなんだな、ゴメンね、本当に。)

 頭を撫でながら、「慶介くん、いつもありがとう。」と私はお礼を言った。


「なるほど、朝日ちゃんはそうして慶介をコントロールするんだね。」

  なぜか、頷きながら…納得している。


「社長、頼みます。この依頼は危険すぎです。ちゃんと調べて下さい。」

 もう一度、真剣に社長へ頼んで見ると、


「分かった。侑香里に頼んでおくよ。」

(社長は何もしないの?仕事しなよ~。)


「慶介くん、帰ろ。変態で働かない社長といたら、病気になるよ?」

 そもそも私はこの人が嫌いなのだ。


 慶介くんの手を引いて帰って行った。



翌日も亜里沙ちゃんを迎えにいくと、彼女の母親っぽい女性と一緒に出てきた。その人を見ると、高校生の母親とは呼べない年齢でかなり若いと思うのだが、義理母ならあり得るのかな…。


「おはようございます。亜里沙の母で美帆と言います。野々宮さんに慶介くんね。娘から聞いているわ、これからも仲良くしてあげてね。」

(やっぱり三十代前半の若い女性だよ。)


それに雰囲気が母親と何か違うよ。闇を感じる落ち着きなんだよね…。

「おはようございます。野々宮 朝日と申します。既にお聞きしているでしょうが、浅野探偵事務所の探偵を二人で働いています。」


「年齢に合う、挨拶をした方がバレないと思いますよ?野々宮さん?」

(うっ!鋭いよ。少し苦手かも。)


「はい。気を付けます。行こうか?亜里沙ちゃん。」


「うん!朝日ちゃん。」彼女はいつも手を繋ぎたがるので手を握ってあげる。


「六条さん、僕の朝日ちゃんを取らないで。」慶介くんにも手を繋ぐ。


「とても仲良しね、良かったわ。」安心した美帆さんは自宅に戻っていった。


 とりあえず、今日は何も起きませんように…。

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