第24話 誘拐未遂事件発生
「亜里沙ちゃん、おはよう!学校に行こ?」私は今日も迎えにきた。
「朝日ちゃん、おはよう。手を繋いでも良いかな?」
私が手を繋いであげると彼女は笑顔で喜んでいた。
(甘えんぼの女の子だ。)精神が幼い分、年上の朝日との相性がとてもいい。
「六条さん。僕の朝日さんだよ。なんで取ろうとするの!」
仲良くなると今度はこっちがうるさくなってくる。
「慶介くんも繋ぐ?」私がもう片方の手を差し出すと、
「朝日さん。好き~。」すぐに上機嫌になる。
一つの事件を解決し、最近は朝日自身の成長が著しい。クラスみんなの人気者、野々宮 朝日として毎日を過ごしていた。
しかし、事件は突然、起きる。世の中はそう言うものです。
放課後、いつものように亜里沙ちゃんを家に送っていく。
最初の異変に気付いたのは朝日だった。
「慶介くん。真面目に聞いて、誰かがずっと見ている。」
慶介くんは、
「朝日さんは可愛いから誰かが朝日さんを狙っているの?」
(ここは私が狙われる囮をするんだよね。全力で演技してやろう。)
しばらくすると、
亜里沙ちゃんに向かって、3人の男たちが走ってきて、私たちを取り囲んだ。
「慶介くん!私。怖いよ~。このおじさんたちが私をイヤらしい目で見てくる。きっと私を誘拐する気だよ~。助けて!慶介くん!」
どうだ!社長!私のスゴい演技力は。
「僕の朝日さんに近寄るな!覚悟しろ!」
素早い蹴りと投げ技を駆使して慶介くんはあっという間に倒しちゃった…。
(メチャクチャ強いな~。慶介くん。カッコいいね!)
抵抗された男たちは車に乗って逃げていった。
そのあとすぐに一人の男性が亜里沙ちゃんの元にやって来た。
「亜里沙!大丈夫か?」
亜里沙ちゃんはその人が突然、あらわれてびっくりしていた。
「お父さん。どうして、いるの?」
(えっ。お父さんなの?この人。)
「ん?あなたは~。」私はお父さんと呼ばれる男性に声を掛けた。
「私は六条 浅斗、亜里沙の父親だ。」
(タイミングが良すぎだし、どこかで私たちを見ていたなこの人。)
私はこの男性がかなりの訳あり人間だと、察知した。そして、
「あっ。そうでしたか。私は野々宮 朝日と言います。そしてこっちの男の子は高倉 慶介。私たちは浅野探偵事務所の探偵なんですよ。」
彼は疑いの目を向けてきた。
(むっ!私の事を信用していない…?見た目で判断して欲しくないな。)
理解の出来ない彼に私は、
「こう見えても今年で24歳になる立派な大人ですけど…。」
周囲に聞こえないよう、私は囁きながら、彼に言った。
すると理解したのか、
「ありがとう、野々宮さん。高倉くんも娘を守ってくれてありがとう。」
彼は慶介くんにもお礼を言った。
「僕は亜里沙さんより、朝日さんさえ無事ならかまわないけど。」
(あっ!こら、その発言はダメだそ!慶介くん。)
「こら!依頼人だよ!ちゃんとしないとこれから、口を聞かないよ?」
私は亜里沙ちゃんを軽視した発言を叱っていた。
「ごめん!朝日ちゃん。謝るから~。」
私と喋れない日々は彼に取って地獄なのだろう、即、謝罪してきた。
そのあと慶介くんを二人に向かって謝罪させた。
「君たち、本当にありがとう。あとは亜里沙を私が連れて帰るから。」
亜里沙ちゃんのお父さんは私たち二人にそう話すと、
依頼の継続は必要ないと判断し、
「では、私たちはこれで失礼しますね。バイバイ亜里沙ちゃん。」
そう言ったあと、慶介くんと帰ることにした。
「うん。バイバイ、朝日ちゃんに慶介くん。」
彼女が言ったのを確認し、私と慶介くんは二人と別れた。
まさかあんな露骨な誘拐騒ぎが起きるとは思わなかった。
それに…メチャ強の慶介くんは何者なんだ?
「朝日さん。やっと独り占めできる…。好きだよ~。」
もしかしてギャップ萌えを狙っているの?この子は?
とりあえず、社長に報告だな。ヤバめの依頼の気がするし。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます