第22話 朝日ちゃんの包容力は異常
訳ありの美少女を学園まで連れていき、職員室まで誘導した。
とりあえず、こう言う風に毎日、登下校をすれば良いのかな?
そのあと、教室でみんなと会話していると、
チャイムがなり、ホームルームが始まった。
「みんな、新しくこのクラスに転入する。六条 亜里沙さん。」
担任の先生が紹介すると、案の定、男子生徒がざわざわし出す。
(うん。美少女だもんね。騒がしくなるよ、そりゃ。)
「六条 亜里沙です。よろしくお願いします。」
亜里沙ちゃんが自己紹介を話すだけで、男子生徒のテンションが上がる。
(子供だな。この年頃の男の子は。)
ただ、慶介くんだけは興味が無さそうな態度を取っている。
(大人だね。慶介くんは。)
若者の興味と言うのは変わりやすいな。この間まで、恵令奈先生だったのに、もう亜里沙ちゃんが主役だ。
クラスの女子たちは、亜里沙ちゃんにあれこれ聞いている。
ただ、記憶が無いと言っていたとおり、彼女は少し感覚がずれていて首を傾げていることが多い。分からない事は「分からない」とはっきりと言うし、クラスメイトからは世間知らずのお嬢様くらいに思われてそうだ。
この子に何があったのだろう…。知りたいな。
「探偵の血が騒ぐ…」って言ってみたいセリフだね。
大人気の亜里沙ちゃんは、お昼休みもみんなに囲まれている。
私は、美術科の様子を聞きに真菜ちゃんの所へ行った。
いつものジメジメした部屋に佇む真菜ちゃんに、
「真菜ちゃん、ちょっといい?」
私に声を掛けられると彼女は
「朝日、どうしたの?」普通に答えてくる。
「あれから、美術科の雰囲気はどう?」
一気に二人もいなくなった教室の状況を聞いてみた。
「変わらないわよ。みんなすぐに興味が無くなるから…。」
(当事者じゃない場合はどこの教室も変わらないのか…。)
「朝日はすぐに首を突っ込むから気にし過ぎだよ。」
真菜ちゃんはなんだかんだ言ってもちゃんと心配してくれる。
「真菜ちゃ~ん。ありがとう~。」私が彼女に抱き付くと、
「朝日!放してよ!寄るな!」
言葉と照れて拒否している感じが合っていない。
「優しいね。真菜ちゃんは。」ゆっくりと彼女から離れると、
「朝日。あなたといると調子が狂うわ。」
「ここに来てもいいけど、抱き付いたりはしないでね。」
クールな照れ屋さんはスキンシップが苦手らしい。最初は難しさを感じた彼女だが、本当は人の心配を心からしてくれるとてもいい子なのだ。
(だから、同年代の薄っぺらい友人関係が苦手なのか。)この年代の子たちは社会人とは違って、好きなタイプとしか付き合わなくていい。少しでも感覚が違えば関係を持たなくてよくなる。
「真菜ちゃん!分かったよ~。」彼女に思いっきりハグをする。
「全然分かってないよ~!朝日~。」
言葉では嫌がるが、彼女はもう私の事を好きすぎみたいだ。
真菜ちゃんに挨拶をして教室に戻ると、
「朝日ちゃん。」亜里沙ちゃんに話しかけられた。
「どうしたの?亜里沙ちゃん。」聞き返していると、
「みんなはなんで私の事をこんなに気にしているの?」と聞かれた。
彼女は自分が美少女転入生だとは思っていないらしい。美少女の定義も曖昧かも知れないな。
「大丈夫だよ。朝日は亜里沙を守るからね。」と言いながら、なでなでする。
「あっ、これ好きです。もっとお願いします。」(かっ、可愛い~。)
(これは年上パワーの見せ所、だね。)
「亜里沙はいい子だな~。」美少女をさらになでなでする。
「野々宮さんのそれ、メチャクチャ気持ち良さそうだな~。」
クラスの女子たちも羨ましそうだ。24歳の大人のJKは最強かも…。
放課後は依頼をこなすため、亜里沙ちゃんに声を掛ける。
「亜里沙!帰ろ?」呼び捨ての方が彼女の反応はいい。
「うん!朝日ちゃんと帰ります。」娘のように彼女はすっかりなついた。
あとは、警備担当に声を掛けよう。
「慶介くん、帰ろうよ。」学園でこの子に声を掛けても、
「朝日さん…、別にいいよ。」素っ気ない返事をするのに、
彼は学園を出ると、
「朝日さ~ん。今日は声を掛けてくれるなんて嬉しいよ。」
この変わり身をする変態だ。
しばらくは変態イケメンと従順な美少女と三人で登下校する事になる。
(両手に男女の美形がいる、花のハーレム学園生活だ。)
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