5章 訳ありの美少女転入生

第21話 朝日と美少女転入生

私は朝から社長に呼び出されていた。

(何かあるとこっちの予定を全部無視して、呼びつけるんだよ、社長は。)


「前に言わなかったですっけ?女子の朝は忙しいって…。」

 (最近はいつもケンカ腰の態度を取っている。)


社長はいつもの感じで私の小言は無視して、

「今度の仕事はね、つまり登下校の護衛だ!」(ボディガード?)


「はい?私、弱いですよ?」(私は貧弱な女だよ?)


「慶介が依頼人を守る。君はそれを操る、以上だ。」(何が以上だ!)


「それって私、いりませんよね?慶介くんが依頼人を守るんだから…。」


すると察しない、私を小バカにしたかのように、

「慶介は朝日ちゃんしか興味がない。つまり、他の女性が襲われていても、慶介はどうでもいいんだ。」(ひど!倫理とかは無視なの?)


「社長!行っている意味が分かりませんよ!具体的な事を言ってください!」

 私はこの人と話すと、イライラしてくる。


「説明するから聞いていてね。」

 社長が言うには、


 依頼人は六条 浅斗という、警備会社とかの会社を経営している実業家らしい、その娘の亜里沙が今度、学園に転入生としてやってくる。その亜里沙が学園から家の間の道のりを亜里沙に護衛と気付かれないように送り迎えする事が仕事内容らしい。


「気付かれるとダメなのはなぜ?なんですか?」


「依頼人の希望だからそれは守ってくれ。具体的言うと誰かに襲われそうなのは、彼女の隣にいる、朝日ちゃんだと誤認させてくれればいい。」


「私は囮で慶介くんがそれを守る、隣にいる亜里沙ちゃんはなにも知らない私の友達って事ですか?」

 その言葉を聞いた社長が目を輝かせながら、

「朝日ちゃんが成長してくれて、お父さんは嬉しいよ。さあ、行ってきますのハグをしよう。」


 社長が変なテンションになったので、

 「お父さんなんて大っ嫌い!」って言って、事務所を出ていった。

 (娘に死ぬほど嫌われるお父さんにでもなるといい。思い知ったか!)


 地図を便りに向かって行くとかなりの豪華な家だった。

 (お嬢様なのかな?)


 しばらく待って、偶然を装うと良いのよね。

 すると、豪華な門から、かなりの美少女が出てきた。

(美少女過ぎるよ~。横に並びたくないよぉ。…でも、仕事だ。)


「あら?あなたは誰なの?」偶然を装う。


彼女は私の制服の姿を見てから、

「私は今日から同じ学園に通うことになった、六条 亜里沙といいます。」


「そうなのね。奇遇だわ~。私は野々宮 朝日といいます。よろしくね?亜里沙ちゃん。」


「うん!朝日ちゃん、よろしく。」(よし!掴みはオッケー。)


「朝日さ~ん。おはよう!」やっぱり、慶介くんも来るのね。


「慶介くん、おはよう。こちらは六条 亜里沙さん、今日からの転入してくるそうよ。」(慶介くん。よく見て、美少女だよ?好きでしょ?)


「ふ~ん。六条さんだね、よろしく。」慶介くんは興味が無さそうだ。


「よろしく!慶介くん。」彼女は活発で性格も申し分ないな。


「朝日さん。手を繋ごうよ~。」美少女を無視して私に絡むなんて…。

 断ると変な駄々を捏ねるから、仕方なく手を繋いだ。


「よし、行こうか?亜里沙ちゃん、学園まで案内するよ。」私が言うと、


「はい!お願いします。」

 従順で可憐な美少女…。普通の男は虜でしょ。しかし、

 慶介くんは亜里沙ちゃんを気にせずに私にベタベタ引っ付いて来ている。


「朝日さんはかわいいよ~。好きだよ~。」

 亜里沙ちゃん、変な顔で見てないかな?彼女を見てみると、


 慶介くんの異常な態度に気にすることなく上機嫌で彼女は歩いている。

(マイペースな女の子なのかな?変な慶介くんを不思議と思っていない。)


「亜里沙ちゃん、前はどんな学校に通っていたの?」

 この時期の転入は私並みに不思議なので、聞いてみた。


「それが、覚えていないんです。お父さんの家の前で倒れているのを今のお父さんとお母さんが育てて養子にしてくれたんです。」


 (訳ありじゃないよ?訳ありありありぐらいの美少女だよ?…社長。)


「だから、変な事をしたらごめんね。感情も上手く表現出来ないんだ…。」

 彼女は申し訳なさそうに話してくれた。


 なるほど…だから慶介くんの変態行動に反応しないんだね。


 私は彼女の役に立とうと思い、

 「私と友達になろう?亜里沙ちゃん。」と話すと、


 「うん!ありがとう、朝日ちゃん!」笑顔で答えてくれた。


「朝日さんは優しいな~。好きだよ。」一応、他の会話も聞いてるのね…。

 ある意味、慶介くんも記憶喪失だよ。こんなに恥ずかしい事をしているのに、学園では普通にしているんだから…。

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