第19話 真相を聴取

自宅に、加藤さんと慶介くん連れていき、恵令奈先生にも来てもらった。

私は、

「加藤さんはなぜあんな事をしたのか話せますか?」

 私はまず話せるところから話してもらおうとした。


「お金が欲しかったからよ。」彼女は言いきった。


「それは違うでしょ?加藤さん?」私は聞いたのだか…。


 彼女は黙り込んでしまった。


黙った加藤さんに私は、

「生徒の誰かに脅されているのよね?京都の事件の事で。」


的を当てられた顔をした加藤さんだが、それでも口をつぐむ。

「あなたは須藤先生が転落した時、現場にいた。そして、先生が転落した時に救急車を呼んでその場を立ち去った。だけど、それを揺すりのネタにされて仕方なく援助交際のバイトを始めた。」


加藤さんは観念したのか、

「私は現場にいました!だけど、先生は本当に事故で転落したんです!」

 隠していた事実を認めた。


彼女は真実をすべて話してくれた。

「私、先生が好きだったんです。いつも気に掛けてくれて、私の絵の才能も認めてくれた。あの日も先生を呼び出して勇気を出して告白したんです。けど、先生に断られてしまって…ショックでその場を走って立ち去ろうとした時に展望台の手すりが外れて落ちる所を先生が助けてくれて…。」


「代わりにバランスを崩した先生が落ちたと言う事、ですか。」

 私は彼女の代わりに答えた。


「はい。」彼女が返事したときに、


「突き落としたと言われて脅してきたんですね、瑞希ちゃんが。」

 私が話すと、加藤さんが目を丸くして、

「どうして…それを…。」と聞き返してきた。


私はあの時の事を話した。

「初対面で話してくれた時に私の事を朝日ちゃんって言ったよね。あれは瑞希ちゃんが、あなたに援助交際を強要していた現場に私が遭遇した時だった。」


私は続けた。

「無意識にあなたは転入生でなにも知らない私になら、助けを求めても大丈夫と判断して、わざと私の中に印象深く残るようにしたの。」


「ゴメンね。今まで気が付かなくて…。」


彼女は

「良いの。もう本当のことを話して楽になりたいから。」

 加藤さんはだいぶ、思い詰めているようだった。


すると恵令奈先生が、

「一度、休憩しましょう。朝日ちゃん。彼女にこれを飲ませてあげて。」

 ハーブティーを先生が用意していたので、私は準備するためにキッチンへ向かっていった。


 休憩中に、

 恵令奈先生は加藤さんに話し掛けて何かを喋っているようだった。

 きっと京都の事件で調べていた事、だろうな。


ハーブティーを用意して二人の所に戻ると、


 泣いている加藤さんを恵令奈先生は優しく抱き締めていた。

 私は加藤さんにハーブティーを差し出した。


 「ありがとう。野々宮さん。」

 彼女はそれを飲むと少し落ち着いたようだった。


しばらくして、先生が明日の事を話してくれた。


「明日、私が加藤さんと学園にすべてを話してくるわ。」

 先生と加藤さんは学園に真実を話すみたいだ。


「あと、朝日ちゃんがやることは分かるよね。京都で起こった事は私の仕事、学園で起こったの事はあなたの仕事よ。」

 恵令奈先生に言われたので、


「了解です。瑞希ちゃんの事は私におまかせください!」

 元気よく返事をして決戦に備えて気合いを入れていた。



 そう言えば、慶介くんは一言も発していないけど…。


 慶介くんを探して寝室に入ると、

 「朝日さんの匂いだ~。好きだ~。」

  私の枕に抱き付いて昇天していた。


(だから、私じゃなきゃ捕まるよ?彼氏としてもただの変態だよ?)

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