第18話 尾行すると、コスプレの変態呼ばわり

 学校にいる間は学生を演じないといけない。


よそのクラスの問題だと関われる時間は限られる。

このままだと恵令奈先生の教育実習が終わり、事件の真相が闇に葬り去られる可能性がある。


(考えろ!私!)

 その時、私にふと矛盾点が生じているの事があると感じた。


部活動!加藤さんは部活しているのに、バイトしている。夕方まで部活動をしてそのあとにバイトをする。なのに男性とのうわさが絶えない。

矛盾だらけなのだ。一人の人間にそんな事をすべてしている時間などは存在しない。


つまり、部活動と言う、情報が嘘。

そんな嘘を私に付いたのは、彼女だ。


つまり彼女は加藤さんを恨みや妬みを持っている。

そして、私に近付いたのは、二人の間で感付かれたくない何か、私と加藤さんを引き合わせたくない事情が存在しているのだ。


加藤さんはシロだ。そして、前美術教師が目を掛けていた生徒は加藤さんだ。

あとは、加藤さんがなぜバイトをしているか?だ。

家庭の事情なのか?男性関係の人に言えない、危ないバイト。


これって学園から依頼された、不純な交遊関係に当たるのでは?と考えるようになった。


どちらにしても加藤さんはこのままだと、巻き込まれるはず。

取り返しが付かなくなる前に止めないと!



放課後になり、私は加藤さんを尾行することにした。

ドキドキするな、(尾行…。)探偵らしい行動になってきたね。


(あっ!加藤さんだ。)

 加藤さんは放課後になると、まっすぐ自宅に向かって行った。

 (やっぱり部活動は嘘だったんだ…。)


 しばらくすると、(かっ、加藤さん?)

 加藤さんがとてもおしゃれな格好をして出てきたのだ。OLだった頃の私でも、あんな大人の格好をしたこと無いよ。

 加藤さんは…。スーツ姿の男性と待ち合わせしていた。会社員の方かな~。

加藤さんとスーツ姿の男性はフレンチ料理店に入って行って、食事をしているみたいだ。

 (お腹空いたな~。)


 しばらくすると、食事を終えたと思われる二人が出てきた。次にバー?みたいな所で立ち止まり、中に入って行った。少し近付きそのお店を確認すると、(良かった~、いかがわしいお店じゃ無くて…。)


そのあとの事だった。

店を出てきた二人が何かの事で言い争いみたいのを始めたのだ。


「約束はデートまでって、言ったはずですよ!」加藤さんが男性に言うと、

「こんな事をしているんだ、お金に困っているんだろう?五倍出すよ?いいだろう?」(あっ、エンコーだ。)


「嫌です!離してください!」彼女が抵抗すると、

「良いのかな?学校や親にバレるとまずいだろう?」

 男がゲス発言をしている。


「それは、あなたも一緒でしょ!会社にバレたら!」彼女が言うと、

「俺は会社の役員なんだよ。何だって揉み消せるよ。」

(うわ~。金持ちのボンボンだよ~。絶対。)


そろそろ止めよう。

加藤さんがホテルか何かに連れ込まれるかも知れないから


「離して上げてください!」私は大声で男に叫んだ。

 それを見た彼女は、

「野々宮さん!どうして?」私の姿を見て驚いている。


 すると、男は、

「あん!女子高生が大人の話し合いに首を突っ込んでくるんじゃねぇ!」

 わたしは恫喝されて

「ひゃ!」怖くなったが、

「私はこう見えても24歳の大人です!」

 持っていた、運転免許書を見せてやった。


すると、男は、

「なんだ、コスプレの変態か。」

(女子高生に迫るパワハラ変態男に変態、呼ばわりされたよ、私。)


「じゃあ、あんたが相手してくれよ。変態のおばさん!」

(変態男に変態のおばさん呼ばわりは傷付くよ~。私。)


「制服姿の童顔、アダルトビデオの世界だな!興奮するよ。」

 男は完全に私に目標を切り替えた。


「じゃあ、行こうか、変態さん!」(えっ、ちょっと、助けて!)

「はっ、離してください。」(うわ~ん、どうしよ~。)


その時に、

「朝日さんが嫌がっている。離せ!」慶介くんが助けてくれた。


「痛い、痛い!離すから止めろ!」男は言うと、

 慶介くんは男の手を離した。


「何なんだよお前は!」男は慶介くんにキレると、


「僕は朝日さんの恋人だ!」(慶介くん…カッコいいよ~。)


「ちっ!高校生のくせに年増が好きな変態かよ!」

 (この人、さっきから酷いよ~。年増って…。)

「興ざめした。じゃあな!」男は捨て台詞を残し、立ち去っていった、


(助かった~。)

「ありがとう、慶介くん。」

「朝日さん。どうして僕を置いて行くの?恋人なのに…。」

 (あれ?いつもの変態慶介くんになってる。)


そうだ、私は呆然と立ち尽くす加藤さんに、

「事情を聞かせてもらうよ、加藤さん。」

 と言い、私の家に来てもらうことにした。

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