第16話 朝日と玲奈は噛み合わない

「恵令奈先生、仕事が遅くなるのかぁ~。一度、帰ろうかな。」


 私は恵令奈先生の仕事が終わらないのを聞いて一度事務所に帰って恵令奈先生が終わりそうな時間に迎えに行こうと考えて帰宅することにした。


校門の所まで来たときに

(あれ?スタイルの良い美人さんがいるぞ?あの顔、もしかして。)


「あの~。恵令奈先生のお姉さんですか?」彼女に話し掛けた。


「あり?どしたのお嬢ちゃん。お姉ちゃんの事、知ってるの?」

(お姉ちゃん…ああ、妹さんだったのか。)


「ごめんなさい。恵令奈先生の妹さんだったんですね。」


「いいよ!よく間違えられるし、お姉ちゃんは可愛い系だから。」


「私は浅野探偵事務所の野々宮 朝日と言います。」


「えっ、JK探偵?なにそれ!カワイイ!」彼女は私に抱きついてきた。


「あっ、あの~」私が反応に困っていると、


「ああ、ごめんね。私は上本 玲奈、大学四年生なんだ。」

(雰囲気はスポーティーな爽やかガールだね。)


「うん。玲奈ちゃんだね。よろしく。」私が言うと、


「うん!よろしく!」ハキハキした返事が帰ってきた。

(恵令奈先生と全然、性格が違うな~。背も高いし。)


「先生はまだ仕事、終わらないらしいですよ。」私が話すと、


「うん。メール貰ってどうしようか困ってた所なの。」

 玲奈ちゃんは困ってたのか~。


「じゃあ、一度、私の家に来ませんか?」


「えっ。いいの?」


「じゃあ、行きましょうか。」私は玲奈ちゃんと一度、家へ戻る事にした。


玲奈ちゃんは私に色々聞いてくる。


「朝日ちゃんも探偵って事は霊が見えるの?」

(えっ?霊ってなに?幽霊みたいなやつ?)


「霊ってなんですか?」分からないのでマジで聞いてみる。


「探偵なんでしょ?お姉ちゃんは霊の依頼を受けて、その願いを叶える仕事をしているよ?」

(………。玲奈ちゃん、それは探偵の仕事では無いです。)


「玲奈ちゃん。探偵の仕事を勘違いしてるよ?」


「そうなの?別にいいや。でも朝日ちゃんカワイイよね。紫音ちゃん以来のカワイイJKだよ。」


「紫音ちゃんってどなたですか?」


「お姉ちゃんの娘なんだ。16歳の美少女JKなんだよ~。」


(どういう事?恵令奈先生!子供がいるの?しかも16歳の?)


「しかも、お姉ちゃんの中身はおじさんなんだ~。」


(玲奈ちゃん、ごめんなさい。意味が分からないし、ついていけません。)


「うん!私は変なことばかり言うけど、玲奈ちゃんが好きだよ。」

(無理!言葉が分からないから、諦めよう。)


「え~。私は本当の事しか言ってないよ?朝日ちゃん。」


「あははは。ところで、恵令奈先生は結婚しているんですか?」


「結婚はまだだけど、未央さんっていう美人な奥さんがいるよ。」


「前のお姉ちゃんは甘えんぼで不倫しちゃったり、死んじゃったりしたんだけど、今のお姉ちゃんはしっかり者の頼りになるおじさんなんだ。」



「玲奈ちゃん。もう、いいです。早く帰らせてください。」

(私は泣きそうです、恵令奈先生。あなたの妹さんはうちの慶介くんより意味が分からないですよ。)

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