4章 京都の探偵と合同捜査
第14話 同い年の探偵は教育実習の先生
私は朝早くから学校に行く前に社長に呼び出しされていた。
(本当にあの社長は勝手な人だな。女子の朝は大変なのに…。)
「あれ?今日は慶介くんがいないぞ?」
(まあ、いいっか。ベタベタされるだけだし…。)
事務所に向かうと社長とスーツを着た若い女性がいた。
(年齢は一緒ぐらいかな。雰囲気が大人かわいい人だ。)
私が部屋に入ってすぐ社長は
「朝日ちゃん。今日からしばらくこの人が君の相棒だからよろしく!」
(うわ!出たよ。何の説明も無し。文句を言ってやろう!)
「はぁ?朝から何を言ってるんですか、毎回ですけど事前の情報が少なすぎですよ!いい加減にしてくださいよ。まったく…。」
(言った所で絶対、この人は反省しないからな…。)
私が社長を睨み付けていると、
「あの?話を先に進めて良いですか?」
その女性は話を始めた。
「まず自己紹介から…私は上本 恵令奈と言います。あなたは?」
あっ、社長のせいで彼女に迷惑かけているよ。
「ごめんなさい。私は野々宮 朝日と言います。よろしくお願いします。」
「こちらこそよろしくね。野々宮さん。」彼女は挨拶を返してくれた。
「よし、そろそろ時間だ!じゃあ、二人とも、頼んだよ。」
そう言うと、上本さんと私は事務所から追い出された。
(だから、この社長は…。)
私と上本さんは学園に向かって歩き出した。
「上本先生って呼べばいいのかな?」私は聞いてみたら、
「偽物なので先生はいらないよ。野々宮さん。」と優しく返してくれた。
(うわ!スゴい色気、かなりの大人だ。私とほぼ同じような歳なのに…。)
「じゃあ、私と一緒だ。」(相手も探偵だもんな。)
「私は女性高校生のふりをした。24歳の成人した大人の女性です。」
(恥ずかしいよ~。変な趣味だと思われちゃう。)
「恵令奈と同じ歳でこの見た目…。すげぇな!奇跡の24歳だよ!」
(一人称は名前呼び?奇跡って言われた。ん?同い年?)
「あまりの衝撃に取り乱してしまい、失礼しました。野々宮さん。」
(え~。同い年なのにこの大人の雰囲気…。負けてる…なにもかも。)
でも、私は同い年だと聞いて安堵した。その方が話しやすいから、
「それ、誉められてます?でも、同い年なんですね。良かった~。じゃあ、呼び方は、恵令奈先生に決定~。」
(先生とも友達になれそう。)
「私の事は朝日ちゃんでお願いしますね。」
(探偵仲間で教師と生徒で同い年の親友。いいな。その設定、憧れる。)
「じゃあ、朝日ちゃん。学園に行こうか。」
と恵令奈先生が爽やかに言ってくる。
(しかもこのお姉さん気質…カッコいい大人だよ。)
私は「分かった。恵令奈先生。」と笑顔で答えた。
(異質な大親友みたいな気分。)
しばらく歩いていると、むむ!奴の気配がする。
「朝日さ~ん。」慶介くんをすっかり忘れていた。
慶介くんは私に
「朝日さん!朝からどこに言っていたの?恋人の僕にちゃんと言ってよ!」
(メチャクチャ責めてくるな。社長~ちゃんと慶介くんにも連絡してよ。)
「慶介くん!落ち着いて。私は朝から社長に呼び出されていたの。だから家にいなかったの。伝えなくてごめんね。」
(本当に謝るのは社長だけどね!腹立つな!あの社長。)
すると慶介くんが普通になり、
「なるほど、じゃあ仕方ない事だね。」
(いや。口調が別人だよ?誰かに憑依でもされてたの?)
「あの~。」あっ、今度は恵令奈先生を忘れていた。
「恵令奈先生、この子は同じ探偵事務所の高倉 慶介くんです。」
(社長~。説明を全部、こっちに振るのは本当に勘弁してよ~。)
すると、大人女子の恵令奈先生は
「あなたも探偵なの?私は上本 恵令奈って言うの。よろしくね。」
(大人の色気が半端ないよ~。恵令奈先生、本当に同い年?)
それを聞いた慶介くんが違う壊れかたを始めた。
「あなたが恵令奈先生ですね!恵令奈先生の調査を手伝えと社長から仰せ付けられています。さっそく情報を収集して来ますので、少々お待ちください!」
「朝日さん!今日も一日、頑張ろうな!」(慶介くん。なんで体育会系?)
「恵令奈先生、それではお先に失礼させていただきます!」
(君は恵令奈先生の何?慶介くん。)
そう言うと、颯爽と学園に向かって行った。
(社長。今度はどんな催眠をかけたの慶介くんに…。)
恵令奈先生を見るとなんとも言えない表情をしていた…。
「年頃の男の子は難しいんだね。先生の仕事、大丈夫かな、私。」
(ほら~。恵令奈先生が困ってんじゃん!社長~。)
「慶介くんは特別なので気にしないでください。」
(今日は朝からずっと社長のフォローばかりだよ。)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます