第12話 人懐っこい私とボッチ女子
美術科二年の西山 真菜さんと話していたが、昼休みが終わってしまい話の途中で立ち去った私。
でも、24歳女子高生の朝日はかなりメンタルが強い。10代の難しい年頃でもなく経験を積んだ分、大人な朝日は同級生の中で飛び抜けた存在になりつつあった。
「お昼忘れてた、お腹すいたな~。」午後の授業を受けていた私はそう呟いていた。ご飯も食べずに西山さんを探してうろうろしていたからだ。
「ぐ~。」(やば、お腹が鳴るよ~。目がクルクルしてきた。)
座りながら倒れそうな私。それを見ていた慶介くんが、
「先生!野々宮さんが調子よく無さそうなんで保健室に連れて行っていいですか?」
立ち上がり私の所にやって来たのだ。
「あら?本当ね。悪いけど連れて行ってくれない?」
視点が合わない私を先生は心配そうに見ている。
「じゃあ、朝日さん?立てる?」慶介くんは私を連れて教室を出ていった。
教室を出た慶介くんは私に。
「お昼を食べずに走り回って調査してたんだね?ダメだよ?自分の体は大切にしなきゃ。」
(慶介くん…。優しいな~。私がしっかりしなきゃなのに。)
「ごめんね。迷惑掛けちゃった。」謝る私。
「真面目な朝日さんは良いと思うけど、まずは自分の体調管理だよ。」
(こんな年下の男の子に叱られて頼りないな。大人なのに私。)
保健室に到着して、
「北野先生。野々宮さんをお願いします。」慶介くんがそう言うと、
「あら?どうしたの?」北野先生が私に近寄ってきた。
「ダイエット中でお昼を抜いたみたいで目眩を起こしたみたいです。」
「女の子にあるあるのパターンね。ベットに休ませてあげて。」
(恥ずかしいよ~。大人のくせにお腹がすいて保健室行きなんて…。)
「朝日さん、ここで大人しくしててね。」私はベットに寝かされた。
「慶介くんごめんね。」
「はい!これ。」慶介くんは私のお弁当まで持ってきていた。
「ご飯を忘れるくらいの人探しは程々にしなよ。じゃあね。」
「本当、何から何までありがとう。」(良い子だなぁ~。)
「お大事に。北野先生。後はよろしくお願いします。」
そう言うと、慶介くんは颯爽と出ていった。
(慶介くんには後でもう一回、お礼を言わないと。)
「空腹で倒れたなら、詳しい検査は大丈夫そうね。ゆっくり休んでね。」
北野先生は鉄分不足の貧血という診断した。
「ぐぅ~」お腹が鳴る。
「ご飯、食べよう。」私は持ってきてくれたお弁当を食べ始めた。
その時に横のベットから声がして、
「まさか、私を探していてお昼を抜いて倒れる人がいるなんてね。」
西山さんがいたのだ。
「あっ。西山さんもご飯食べてないから倒れたの?」
「あなたと一緒にされると困るんだけど…。」彼女の顔は呆れている。
(うん。確かに普通は無いよね。)
「本当にいい年した大人のすることじゃ無いよね…。」反省する私。
「大人って……。」彼女は首を傾げている。
(はっ!またやってしまった。)
「あはは。気にしないでただの比喩的な表現だから。」
(あぶない。つい、本音が…。)
「比喩的って言葉も普通は使わないけどね。」
彼女は変な人を見る目をしている。(もしかして疑われてる?)
彼女はなんだかんだ言って話し掛けてくれる。それなら、
「私といると楽しいでしょ?」(友達になるチャンスだよね。)
「見てて飽きは来ないわね。」彼女は嫌がっている感じはしない。
(攻めたら、いけそう~。)
「やっぱり友達になろ?きっと相性良いよ、私たち。」
「しつこいし、諦め悪そうだし、しょうがないからいいわよ。」
(やった~。友達ゲットしたよ。)
「ありがとう。今度から真菜ちゃんって言うね。」
「馴れ馴れしいわね。朝日は。」でも、彼女は嬉しそう。
「真菜ちゃん。今日、一緒に帰ろ?」これは最近の私の口説き言葉だ。
「いいわよ、朝日。じゃあまた、放課後ね。」
そう言うと、彼女は保健室から出ていった。
私は北野先生がいたのでグッドポーズをして合図すると、
二人の話を聞いていた先生は何も言わず笑顔で微笑んでいた。
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