2章 24歳のJKは立派な大人

第4話 人生最大のモテ期が到来

私は探偵なんだ、私は探偵、私は朝日。

私は朝から自分に暗示を掛けるのに必死になっていた。


人生で二度目の高校生になる24歳の私は外で平常心を保てる自信が無いのだ。


メイクも若く見せてるし、体の手入れもOK。あとは気持ちだけ。

私は17歳の朝日、私は17歳なんだ。だから、この制服の姿が普通なんだ。


でも、家を出ていく一歩の勇気が出ない。


ピンポーン(チャイム?朝から誰だろ?)

(はっ。ご近所さんだったら、この姿を見られる。どっどうしよう?)


ピンポーン、

「あれ?朝日さん。もう学校に行っちゃったのかな?」慶介くんだ。


「慶介くん!」私は思わず飛び出した。


「おはよう、朝日さん。」慶介く~ん。助かったよ~。


「慶介く~ん。」安心感で慶介くんに思わず抱き付いてしまった。


「あっ!朝日さん?」まさかの展開に動揺する慶介。


「はっ。」私は我に返った。

「ごめんなさい。朝から、慶介くん。」年下に甘えるなんて、恥ずかしい。


「朝日さん?大丈夫?」

(慶介くんにものすごく心配されてる~。)


「ごめんね。朝から、緊張しちゃって…。」

 恥ずかし過ぎて顔が火照ってきた。


「大丈夫だよ。一緒に学校に行こっか。」慶介くんは優しいよ~。

(はぁ~。それに比べて年上なのに情けないな~、私。)



それから学校まで向かう道では二人仲良く手を繋ぎながら登校していた。


「お~い。慶介。」慶介くんの友達かな?

「おっ?誰?その子。」男の子は私を見て慶介くんに聞いている。


「野々宮 朝日さん。今日からこの学校に通う、俺の恋人なんだ。」

(その紹介の仕方は恥ずかしいよ~。慶介くん。)


「お前、いつの間にこんな美女と付き合ってたんだよ!」

(へっ?美女?始めて言われたんですけど!)


その男の子は私をしばらく見たあと、

「羨ましいな~。その大人の雰囲気がいいよな。」

(ゴメンね、少年。私、実はもういい大人なんだ…。)


「よし!みんなに言いふらしてこよ!じゃあな慶介。」

そう言うと男の子は学校に向かって走っていった。


「お友達、一緒に行かなくてよかったの?」私が聞くと、


「朝日さんともっと一緒に居たいから…。」慶介くんが答えた。

(可愛いよ、慶介くん。そんなこと言われたら、私は平静を保てないよ?)


そのあとも、友達や知り合いに会う度に私の事を恋人と答える慶介くんの影響で学校に着いた頃にはたくさんの男子が集まっていた。


どの男の子たちも口にするのは、

「大人の雰囲気が好き。落ち着いた感じが良いな。」などの年上の女性に憧れる高校生の意見だった事だ。


(登校しただけで、早くも正体がバレそうなんですけど?)


一つ言えるのは男子高校生にとって、大人の女性は刺激が強くて魅力的に見えるという事だ。


男子高校生に今の私はモテるみたいだ。



そのあと、長坂先生に挨拶をしたら、

「学校中の話題になっています。くれぐれも素性がバレないようにお願いしますね。」(学校に来ただけで注意された。)


「慶介くん。あんまり目立たないようにしないと。」と囁くと


「朝日さんはキレイな女性だから仕方がないよ。」躊躇いなく答えた。

(返しがまさかの褒め殺しだ。)


教室に行くと自己紹介をすることになって、

「野々宮 朝日と言います。皆さん、よろしくお願いします。」


自己紹介しただけで周囲がざわついていた。こんなに注目を浴びるのは初めてだった。

(絶対、正体、バレるな。10か月は持たないよ。)


浮かれてる場合じゃない、

「そろそろ仕事をしないと。不純な交流関係か~。どんな人が関わっているかを調査するには、クラスの人気者から聞くのが早そうだね。」


教室を見渡して、明るくてみんなに好かれていそうな人…。

あの子かな?

「慶介くん。」

「朝日さんどうしたの?」


「クラスのみんなの事を聞きたいんだけど。」


 早く仕事を始めようとする私に慶介くんは、

「調査は注意した方がいいよ。」


「なんで?」理由を聞いてみた。

「本命に誤って色々話すと警戒して情報を出さなくなる。」


「なるほど、じゃあどんな人から調査したらいいの?」

「明るい人より、少し大人しい人の方が安全だと思う。」


最後に慶介くんは、

「今日は初日だから派手に動かずじっとしていよう。」と言うので、

「声を掛けて来る人にも警戒するわ。」(探偵をやってる。私。)


今日は様子見という事で二人の意見を一致させた。

(慶介くんは社長のいう通り、優秀だね!よ~し、私もがんばろ!)

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