第17話 見つかっちゃった……
「何か御用で?」
お兄さんは至極冷静にこちらを見つめて尋ねてくる。
初対面というのにすごい圧だ。
これは、もろもろバレているということだろうな……。
「いいや、ちょっと散歩してただけです」
俺はあくまでしらを切り通す。
俺の家もそこまで遠くないから、まぁありえない事ではない。嘘だけど。
「そうですかそうですか。ちょっと散歩しただけで、壁の後ろに隠れてあたかも、人の話を盗み聞きするような感じになるのですね。」
げっ……。
わざと芝居臭くお兄さんがつぶやいた。
それを言われるとなんとも言えない。
ここはあれだ、もうあれするしかない。
「…………最近、あなたの妹さんが元気がないように思えて。それで、帰り道を辿れば原因がわかるんじゃないかと思いまして。」
被疑、真正面から誠実に。
結局人間これなのよ。真正面からどストレートに行くっきゃない。
いや、嘘だ。
もう策が思いつかないから、仕方なく本当のことを言っただけだ。
けど、あたかもこうなることは分かってましたよハハーン的な余裕は残しておく。
会話において余裕はベリベリにインポータント。
それがあるだけで、何もなくても『コイツ、なんかあるんじゃね?』と思わせることができる。そう、何もなくても!!!
「で、原因は見つかりましたか?」
お兄さんも余裕たっぷりにそう首を傾げながら聞いてくるので、俺は反射的に答えてしまう。
「今、目の前に立ってます。」
「…………ごほん、」
俺が指を指して言うと、彼はわざとらしく咳払いをして。
「別に私は彼女を縛っているわけではない。」
そう言い放った。
「というと?」
「妹は元々内気なタイプで、男はおろか友だちの影すら見せたことはなかった。なのに、最近になって、男の影が見え始めた………。」
あらら、それは大変だ。
そんな虫取り除かないと……って、俺やないかーい!
…………最近、なんか寒いよね、うん、ヒエルナー。
「昔から仲良かった、可愛い妹の初めてのことだぞ。騙されてないか疑うし、聞いてしまうのも仕方ないだろう。」
彼は開き直ったかのように、ピシッとキメ顔で言う。
「いや、ないだろうキリッて言われましても。聞いてしまうというのは、果たしてどれくらいで?」
月一? 週一? それとも、毎日?
頻度のその内容濃さによっても、色々と変わってくるだろう。
まぁ、せいぜい毎日1回とかかなー。うん、メッセージ合わせて2回とか? 流石に多すぎるかな〜はははは。
「うむ。大体、毎日8回。メッセージを合わせると32回。」
軽く考えていた俺に、彼はさも当然とばかりにそう告げた。
「おっとこれは……」
なかなかだな……いや、なかなか通り越してそとそとだな。うん、意味分かんない。
というか、アレだこれ。
そんな深く考える必要はなかったのかもしれない。
複雑な因果関係とか、ほつれた家族の絆とかそんなもんじゃねぇわ。
単なるアレだ、血は争えないってやつだ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
マジで久しぶりです。
今後ともよろしくおねがいします!!!
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