第16話 佐々木さんと尾行
「よぉし……」
俺は下駄箱にシューズをしまいながら、小声でつぶやいた。
「ストーカーみたい……というか、ストーキングなんだけど。で、でもこれはやましい意味はまったくないから、なので行政さん許してください」
丁度校舎を出た佐々木さんの背中を見ながらぶつぶつと独り言を言う。
俺は今から、佐々木さんの後をつける。
えっと、通報はしないでいただきたい。
戦争は情報戦とは昔の人の言葉だが、やはり戦うには情報がなければ何もできない。
なので、犯罪的だが後をつけて、何か情報を手に入れたいということだ。
隠したいことかもしれないし、傷つけるかもしれない。自己満足といえばそれまでだし、余計なお世話なのだろう。
でも、それでも、嫌われたとしても。俺は彼女を追いかけ続ける。
…………名言ぽいのが、最後の一言で一瞬で変態の言葉に変わってしまった。
日本語、ムズカシーデス
「いくぞっ!!」
俺は
心の友、鈴木くんも誘ったのだが『ヤダよ捕まりたくないし、下関さん追いかけないと出し』と言って逃げられてしまった。
てか、あいつ捕まりたくないとか言っといて、しれっとストーキング宣言してるし。
行けない代わりに助言ということで、バレたとしても偶然を装って話しかけたら、案外バレないと、お言葉を頂いた。
さすがストーキング常習犯。説得力が違うぜ。
いつかあいつは捕まったほうがいいと思う。
「まっすぐ家に向かうのか……」
俺は電柱に隠れつつ、佐々木さんの後をつける。
こんな古典的な方法バレそうだが、彼女がうつむいてトボトボと歩いているおかげもあって、バレていないようだった。
……周りからの視線はとてつもなく痛いけど。
『ママー、あの人何してるのー?』
『メッ、見ちゃいけません!!』
と、幼い親子に言われた時は心が折れそうになった。
「もうすぐついちゃうぞ……」
俺が心に傷を負っている間に、佐々木さんは帰り道の最後の曲がり角に差し掛かっていた。
ここを曲がってまっすぐ行けば佐々木さんの家だ。
このままだと、何もなくついてしまう。
いや、何もないほうがいいのだが、情報もなにもないとなると残念だ。
俺はバレないようにそーっと電柱から顔を覗かせ……息を呑む。
「ッ!! あの人は……!!!」
家に入ろうとした佐々木さんを迎えたのは、彼女のお兄さんだった。
二人は玄関の前で数度言葉をかわし、何やらどんどんとヒートアップしていく。
「やっぱり……」
彼女が最近うつむいていた原因は、お兄さんなのか。
「そーっと……そーっと…………」
俺は不安な気持ちをいだきながら、二人の声が聞こえるところまでそろりそろりと近づく。
「…………」
うーん……聞こえないな。
なにか話しているのは聞こえるのだが、その内容までは聞き取らない。
あーだこーだと体勢を変えているうちに、二人の話は終わり、佐々木さんは逃げるように家に入ってしまった。
その場に残るのは目頭を押さえて何かを考えるお兄さんと、その姿を影に隠れながら見る俺。
あっちからこちらは見えていないはずだが、なんか気まずい。今日はもう帰ろ………
「で、君は誰だい?」
って、え?
今なんつった?
おい、チョット待ってくれ。え? これドッキリ?
…………俺、死んだ。
お兄さんはこちらを見つめていて、勘違いの聞き間違えでは済まない様子。
ま、マジか……バレてたか……。
俺は策もなにもないし、できることなら秒で帰りたいけど。その気持ちをなんとか抑えて、
「お初にお目にかかります、お兄さん。」
できるだけ冷静を装いながら、姿を表した。
…………【急募】助けてくれる主人公
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更新頻度落ちます!! すみません!!
☆☆☆よろしくおねがいします!
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