第22話 因縁??


 マグマが煮えたぎる、ものすごく暑い場所。


「はぁああああ!!」


「ギュリョリョリョ!?」

 

 そこで、一人の男が襲ってきているであろう魔族のことを剣でなぎ倒していっている。


(――あれ、アーサーだよね? こんなところでなにしてるのかな?)


 そう、魔族の死体が山積みになっている場所で勇者であるアーサーが魔族のことを倒している。


 ガイガイくんのことを見つけ出すことができた私たちは、その容量でゴブさんのことも見つけ出すことができた。そうしてアーサーのことを探しに、色んな場所を歩き進めてここにたどり着いた。


「のう、せっかく最後の仲間を探し当てれたのになんでいかないのだ?」


 マグマがあって暑いので、後ろにいたガイガイくんこことを抱っこしているフーちゃんが疑問そうに聞きながら歩いてきた。


(――さすがに勇者だってこと、魔王であったフーちゃんに言ったらまずいよね……)


 そう思って、とっさに言い訳を考える。


「いやぁ〜なんか、必死に魔族のことを倒してるし……」


「まぁ、たしかにあの魔族の山をみるとあやつがどれほど強いのかわかる……」


 フーちゃんは、いつになく真面目そうな顔をしていってきた。


(――ば、バレてないよね……?)


「む??」


 フーちゃんは、下で戦っているアーサーのことを見ながらなにかに気づいたかのような顔をした。


「むむむ??」


「ど、どうしたんですか?」


 私は、気づかれてしまったのかと確認するためにも聞いいてみた。


「あやつが持っている剣、魔王のことを殺すことができると言われている聖剣じゃあるまいな?」


 フーちゃんは、私のことを下から見上げてそんなことを言ってきた。


(――やばい! たしかにあれは聖剣様なんだけど、そうだって言ったらあそこにいるのが勇者だってバレちゃう!)


「い、いや……」


 私は慌てて、何か都合のいい言い訳を考えようとしたのだが……。


「ソウダゾ」


 ゴブさんがなんの迷いもなく、なんの悪びれもなくフーちゃんに向かって肯定してしまった。


(――……何言ってるのこいつ)


 私は素でゴブさんのことを睨んで、怒りそうになった。


「やっぱりそうか。ということは、あの聖剣を片手に魔族のことをなぎ倒している男は勇者だな?」


「あ、あの……」


(――だめだ。多分フーちゃんは完全に、アーサーのことを勇者だと思ってる)


 私はそう思って、どうにかフーちゃんの関心をどこか別の場所に移動させようとしたのだが……。


「ソウダゾ」


 またゴブさんは当たり前かのように、肯定してしまった。


「ちょっ、ゴブさんッ! 何言っちゃってるんですか」


 私はもう我慢することができずに、後ろにいるゴブさん向かって怒鳴った。

 すると私に怒鳴られたゴブさんは……。


「厶? アイツハユウシャダロ? ソウ、イッテイタデハナイカ」


 両手のひらを上にして、なんで言っちゃだめなのかと疑問をあらわにしてきた。


(――まぁ、たしかに私はゴブさんにあの人たちの関係を言ったんだけどなんでそれを勇者と因縁がありそうな、魔王であるフーちゃんに向かっていうのかな……)


 私は今すぐにでも、ゴブさんにそう言いたかったがここにその魔王であるフーちゃんがいるため言うことができなかった。


(――やばい。どうにかして、フーちゃんのことを止めないと!)


「ほほぉ〜んそうかそうか。なら、一言言わんと行けないな……」


 フーちゃんはどこか不穏なことが起きてしまうのかと予想できる言葉を言って一人先に、下で魔族と戦っているアーサーのもとに降りていってしまった。



  *



「おい勇者ッ!」


 フーちゃんは、私たちの誰よりも前に立って地面に座り込んでいるアーサーに向かってそう言い放った。


 ちなみにここに来るまで、どうにかしてフーちゃんのことを説得しようとしたのだがそれは聞き入れてもらえず今に至る。


(――頼むから、喧嘩にならないで……)


 私は勇者と魔王が対面しているにもかかわらず、そんな夢のまた夢を考えていた。


「はぁはぁ……なんだ。って、モモたちじゃないか。こんなところで……いや、何だそこにいる幼女は? 何者だお前」


 アーサーは最初、後ろにいる私たちのことを見てきたのだがさすが勇者。目の前にいるフーちゃんの脅威がわかったのか、少しヨロヨロとした体を起こしてフーちゃんのことを睨みつけた。


(――このままだと、最悪の結果もありえる!)


 そう思った私はどうにか二人の間に入って止めようとしたのだが、空気が完全に私のことを受け入れてくれず動くことさえもできなかった。


「ふっさすが勇者。われが何も言わないで、偉大さに気づくとは……」


「で、何者だ。返答次第では、殺す」

  

 アーサーは、これまで聞いたことのないドス黒い声を放ちながら聖剣様の剣先をフーちゃんに向けた。  


(――ど、どうなっちゃうんだろう!?)


 さっきまでどうにかして間に入って、止めようとしていた私はそんなこと諦めて後ろから二人の会話を息を呑みながら見ていた。


「ふっふっふっ〜……では、名乗るとしよう!」


「われは、第九代魔王にして最強無敵の超すご魔族……リアール・フースだッ!!」


 フーちゃんはそう言って、私に自己紹介したときと同じように人差し指を上に突き立てながら自信満々に言い放った。


「…………」


 その言葉にアーサーは、信じられないのか数秒口を閉ざしていたのだが……。


「おい、モモ。こいつが言ってること本当なのか?」


 私に向かってい、真偽を聞いてきた。


(――これって、どう言えばいいんだろう。もしここで本当だって言ったらやばいと思うし、本当じゃないっていったらそれは嘘になっちゃうし……)


「い、いやぁ〜……。まぁ、そうなんだけど少し落ち着いてほしいな」


 さすがに嘘はつけないので、言っていることが本当だと肯定してアーサーのことをなだめようとした。


「なんたって、途方に暮れていた私のことを導いてくれてみんなのことをここに連れてきてくれたのはまぎれもなく、この人なんだから」


 私は、フーちゃんが悪い魔王じゃないということを強調して言った。

 すると気を良くしたのかフーちゃんは……。


「ふっふっふっ〜……。そうそう、われがこやつのことをここまで導いてやったんだ」


 と言って、アーサーの目の前で仁王立ちをした。


(――こんなかわいらしい姿を見ると、魔王なんかじゃなくて幼女だって勘違いしちゃうよ……)


「……ありがとうございます」

 

 アーサーは剣先を地面に突き刺して唐突に、フーちゃんに感謝の言葉を言って頭を下げた。


「へ?」

 

 私は、一体どういうことになっているのか理解できなかった。だって、魔王のことを倒す勇者がその魔王に向かって頭を下げているんだから。


(――何もしてないのにフーちゃんの凄さに気づいて殺そうのしたってことはもしかして、フーちゃんが本物の第九代魔王だってこと気づいてるのかな?)


「うむ。よいぞよいぞ」


 私が勝手にいろんなことを考えていたのだが、結局その後二人はなぜか和解して仲良くなった。


 



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