第19話 二度目のふぉあちゃぁ!
「……ここって、タタリ族の中だったんですか?」
フーちゃんが衝撃の事実を口にしたので、思わず聞き返してしまった。
(――やばい。多分この人は、第九代魔王。そんな人に質問するなんておこがましかったかな……)
そう思って、発言を取り消そうとしたのだが。
「うむ。ん? お主もわれと同じように、知っててこの場所に遊びに来たのではないのか?」
フーちゃんは、別段嫌そうな顔をせずにケロッとした顔で言ってきた。
(――あれ? 失礼だと思ったけど、こういう言葉遣いしても大丈夫なのかな?)
「いえ。私は、タタリ族の中に引きずり込まれたあるキャットシーのことを探してたんですが意図せずに、タタリ族の中に引き込まれちゃって……」
私はそう言いながら、フーちゃんの様子を確認してみると「ふむふむ……」と手を顎に添えながら何か真面目に考えくれている。
(――この口調でも、大丈夫なのね)
「ということはお主は、キャットシーと再会すればいいというわけだな」
フーちゃんは、目をキラリと光らせまるで熟練の名探偵かのように言い放った。
「はい……。ですが、もちろんどこにいるのかなんてわからなくて」
(――検討もつかない。だって、ここがタタリ族の中だということもさっきフースちゃんに教えてもらったばかりなんだから)
私は今、自分が置かれている状況を改めて客観視してみた。そしてあまりも状況が悪いことに勝手に絶望していると……。
「ふふふ……それなら、この第九代魔王リアール・フース様に任せるのだ!」
フーちゃんは、人差し指を上に突き立て決めポーズのようなことをしながら自信満々に言ってきた。
(――正直、こんな本物の幼女のようなかわいらしい姿を見ると第九代魔王だということを忘れちゃうな……)
「えっと……じゃあ、お願いします」
私がそう言うとフーちゃんは、「うむ。お願いされた」と少し後ろにさがった。そして、一度見たことのある自信満々の平ぺったい胸を強調させる動作をして……。
「ふぉわちゃぁ!」
これまた一度聞いたことのある奇声を発した。
(――なにか変化させて、ガイガイくんのことを探すようなものをつくってるのかな?)
そう思い、手のひらにあるものを見る。
あったのは、何でも探せる最強コンパスと書かれてある見た目は至って普通のコンパスだった。
(――予想、あっていたみたいね……)
私はそう確信して、勝手に心のなかで自分のことを誇らしく思っているとフーちゃんはコンパスを手にとった。そして……。
「う〜むどれどれ……。キャットシーちゃん。キャットシーちゃん。どこかに迷子のキャットシーちゃん、でってきなさぁ〜い」
と、コンパスに向かってまるで迷子のペットを探すかのように声を発していた。
(――何やってるのよ……)
私は、フーちゃんのコンパスの使い方が全く違うことに違和感を覚えたのだがこれはフーちゃんが変化させたコンパス。理屈が通じないこともあるのかもしれないと、自分の中で言い聞かせ、ただただ目の前でコンパスに向かって叫んでいるフーちゃんことを見ていた。
そしてフーちゃんが叫び初めて10分。
「いたいたいたのだッ!」
フーちゃんは、急に体を止めて口早に言ってきた。
「ど、どこにですか!?」
私は、10分も待たされていて正直諦めかけてきたのでまさかの言葉に驚愕して反射的に聞いた。
「とりあえずわれについてこい。案内してるやる!」
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