第17話 ここはどこであなたは誰?
「おーい! アーサー!」
私はここがとこで、なんでこんな場所にいるのか理解が追いつかなかったのでとりあえず、アーサーのことを叫んでみた。
だが……。
「ざぁ〜……ざぁ〜……」
聞こえてきたのは依然と、先程まで聞こえている波のような音だけだった。
(――もう……。一体どういうことなのよ)
この短時間で、私の頭のキャパが一杯一杯。
(――ガイガイくんのことを助けに行くつもりが、こんな場所に来ちゃったなんて……)
自分たちが助けに行くつもりが、逆に助けられる立場になってたしまったことがくやしい。
だが、くやしがっても何も前に進まない。
(――こんなところ、早く出てガイガイくんのことを探しに行かないと!)
私はそう思い、一度深呼吸をして今自分が置かれている状況を冷静になって考えてみる。
(――私たちは、部屋の中に入っていって気づいたら一人でここにいた)
ちなみに、暗くてよくわからないけど周りには人の気配がまったくない。
「よし……」
私はここがどこなのか。そして、危険はないのか。それを知るために、手に持っていた剣の先を正面に突き立ててみてどうなるか試してみる。
すると……。
「あれ?」
突き立てた剣先は、壁に当たるわけでもなくゆっくりと壁の中に入っていった。
(――と、いうことはここは木の壁の中でもなく鉄の壁の中でもない。そして、ここに私のことを入れた人物は私のことを監禁したいわけじゃないのかな?)
私は、壁が固くなかったのでそこまで考えたのだが途中でやめた。なぜなら、今もなお壁に剣先がどんどんと入っていってるから
(――やばい。このままだと私の体が、壁の中に入っちゃう……)
どうやら私の嫌な予想が命中したらしく手、肩、足、と何も抵抗できずに徐々に壁の中に引きずり込まれていき……。
「うっ……」
そして顔までもが、壁の中に入り息ができなくなった。
*
「はぁはぁ……」
私はあれから一分ほど、どこか暗くてよくわからない場所の中にいたのだが突然そこから放り出されて今に至る。
体はなんともない。しいて言うなら、少し息が苦しいだけ。なので、深呼吸をしながら酸素を体の中に取り込んで辺りを見渡す。
(――ここは、一体どこなのよ……?)
私は、周りを見渡して疑問に思った。ここは、完全にさっきまで私がいた場所ではないことがわかる。
近くには赤い風船や青い風船などのカラフルな風船がありそこには、「ピロピロ!」という軽快な音がなっている屋台。
「……ん?」
さっきまで誰かに監禁されていたかもしれないのに、来ている場所があまりにも場違いのようなものがあることに疑問に思った。
だが、横にある建物を見てよけい疑問に思うことになる。
「遊園地?」
あるのは、大きい観覧車。
見た感じ誰も乗っておらず、動いてもいない。
(――もう……よくわからない)
私は一度、思考を停止して遊園地らしき建物が多いこの場所を歩き進めるとにする。
すると……。
「きゃほぉ〜!!」
いきなり、少し奥の方から聞いたことのない少しバカげた女の子の声が聞こえてきた。
(――ここに、私以外誰かがいるのかな?)
私はそう思い、誰かいるのならここがどこかのか知っているんじゃないかと希望を感じて足早に声がした方に走っていった。
走っていった先にあったはクルクル回るマグカップがある場所。
「きゃほぉ〜!!」
そこには、そんな変な声をだしながらクルクルと回り続けている幼女のような小さな女の子がいた。
(――一体、何しているんだろう?)
私は一人楽しそうに遊んでいる幼女のことを見てそんなことを思いつつ、見ればわかるので特の深く考えなかった。
「すいません!」
とりあえず、話を聞いてみようと思った。
だが……。
「きゃほぉ〜!!」
マグカップの回る速度は遅まることはなく、私の言葉が耳に入っていないのか相変わらず楽しそうに奇声を上げている。
(――聞こえてなかったのかな?)
「あの!」
「きゃほぉ〜!!」
再び声をかけてみたのだが、見事にスルーされた。そして幼女はさらに楽しそうにして、マグカップが回る速度を上げていく。
(――あの子には、声が聞こえてないのね)
そう思った私は、どうすればいいのかと考えた末マグカップのことを止めればいいのかと考えついた。そしてたまたま近くにあった制御ソーチのようなもので、マグカップの電源をオフにした。
「あの、勝手に機械を止めてすいません。ちょっとお聞きしたいことがあるんですけど、いいですか?」
「む? なんだお主」
幼女は私がマグカップの電源をオフにしたことで、ようやく気づいたのか嫌そうな顔をしながら問いかけてきた。
「えっと……ここってどこなのか知ってますか?」
「ふふふ……」
「ふふふ?」
聞き間違いや見間違いではない限り、今マグカップの上にいる子はそんなことを口走っていた。
(――なんでこの子笑いそうになっているんだろう?)
私はそんな様子を見て、不思議に思っていると口が開かれた。
「ふははははッ!! お主、まさかここがどこでわれが誰か知っていてその質問をしているな?」
「……いや、知らないです」
幼女の勢いある言葉に圧倒され、敬語で返答してしまった。
(――誰か知っているのかっていう質問をするということは、この幼女ちゃんって有名なのかな?)
私は、幼女ちゃんのことを観察して見た目と一致する人物を思い出そうと頑張る。
服は、フリフリのピンク色のワンピース。ピンクの長い髪でお団子をつくっている幼女。
(――うん。私、こんな人物一度もあったことがないわ)
「ふふふ……そんなわざとらしく、とぼけなくても良い」
幼女ちゃんは、私に向かって手を向けてはずかしがるような動作をしながら言ってきた。
(――そんなこと言われても、本当に私はこの幼女ちゃんことを知らないのだけど……)
知らないのに知っている前提で話している幼女ちゃんを、どうすればいいんだろうと悩んでいると先に幼女ちゃんの口が開いた。
「まぁ、知らないっていうのを貫くのもよかろう。……おっほん。では、これからお主が知りたい質問に答えてやろう」
幼女ちゃんは、そう神妙な顔立ちをしてマグカップから降りて言ってきた。
「お願いします」
私は、なんか言わないといけないという空気に負けてお願いをしてしまった。すると幼女ちゃんは気を良くしたのか、平ぺったい胸を強調させ自慢げに口を開いた。
「ここは、われ専用の遊園地! そしてそんな最高な場所を独占しているわれは……」
幼女ちゃんは、その言葉の後の言葉を言い貯めるように少し間があいた。
(――あなたはだれなの!?)
この幼女ちゃんは一体誰なのかと発せられる言葉が気になる自分がいる。
「――ゴクリ」
あまりにも緊張しているのか、自分がつばを飲む音までも聞こえてくる。
「第九代魔王その人、リゼール・フースだッ!」
幼女ちゃんは、人差し指を上に突き立てながらそんなことを言ってきた。
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