第9話 【おかえり、ただいま】
星空の下、僕は、安心しきっていた。
「あれっ?そういえば、あと3人居なかったっけ?鈴たちは、どこ行ったの?」
(喜)「3人は、何か、ちょっと行ってくるとしか聞いてないから、まぁ、もうそろそろ帰ってくるとは思うけど…」
(楽)「ちょっと!聞いてよ!3人ったら、哥奈を忘れてどっか行っちゃったの!」
(愛)「まぁ、まぁ。僕たちが居るじゃん」
(楽)「ちーがーう!女子4人で、1つなの!」
「僕は楽しかったけど。一緒に話せて」
(楽)「…ほんと!一緒に居て楽しかった?まぁ、理椿君が楽しかったなら、いっか!」
(喜)「意外とあっさり、諦めたな。さっきまで、俺達にはさんざん、駄々こねてたのに」
(楽)「理椿君だから、いいんです。菁羽と薆妬に言われるのとはやっぱり、安心感が違うから」
(愛)「まぁ、確かに。それは分かる。理椿君と居ると安心するし楽しいよね」
遠くの霧から、薄らと、人影が見えてきた。
「あっ!噂をすれば。帰ってきたんじゃない?」
何故か、その人影を見て僕は、ホッと心が安心した気がした。また、逢えた。彼女とまた逢えた。やっぱり、彼女はとっても綺麗で、今にもヒュッと消えてしまいそうな、儚い雰囲気をただよわせていた。
(喜)「おかえり」
(無)「…」
(悲)「た、ただいまです」
(怒)「おっ!理椿、来てたんだな!おかえり」
「えっ。あっ、た、ただいま…?」
あれっ、何でだろう。嬉しいな。ただ、おかえりと言ってもらって、ただいまと返しただけ。だけのはずなのに、こんなにも、誰かから返ってくるって、嬉しいんだ…。
「ははっ」
(楽)「?どうかしましたか?理椿くん」
皆は不思議そうにこちらを見ていた。
(喜)「嬉しかったんですよね。皆から、迎え入れて貰えることが。おかえりと、言って貰えることが」
「さすが、やっぱり分かっちゃうんだね」
(喜)「当然だよ。理椿君の喜ぶ感情なら、何でもお見通しだよ」
「当たり前のことだけど、ただおかえりって言って貰えて、ただいまって返す相手が居るってとっても幸せだなって思っちゃって。ふふっ、やっぱり可笑しいよね…」
(愛)「そんな事ないよ!」
(喜)「みんなは当たり前のことになってしまってるから気付けないけど、理椿君だからこそ、どれだけ大切なことかわかるんだよ」
(悲)「あっ、あんな事あったんだから当然だよ、、」
(怒)「こらっ!その話は…」
っと、気まずそうに知恕は顔を覗ってくる。皆にまで、こんな思いさせちゃって、ほんとダメだな…。あぁ、この綺麗な場所、守っていたいな。
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