第7話 【幸せの欠片】

「ほんとに、理椿といると落ち着くな」

「俺だって、優太といると落ち着く。こんな静かで、面白くも無いのに、俺なんかと居てくれて本当に僕は幸せだよ」

「ははっ。大袈裟だよ。これからも、ずっとよろしくな」

「当然だよ。て言うか、居てくれないと困る」

あぁ、失いたくないな。恐いなぁ。ずっと、ずっと、このままでいれたら。ずっと、ずっと、一緒に居られたら。どれだけ、満たされるんだろう…。

「ちょっとだけ、本棚見ても良い?理椿が、いつもどんな本読んでたのか知りたい!理椿はいつも、何に対しても興味持た無いのに、本だけはよく読んでるから。俺いっつも、バスケばっかりだから。理椿のこと少しでも知りたい!」

「全然良いよ。とは言っても、大して難しい本でも無いけどね」

優太は僕の本を興味津々に見つめる。本当に、ただのミステリーものの本しかないけど、優太は1冊1冊まじまじと見つめている。なんか、嬉しいな…。僕のことを知ろうとしてくれて…。

「あっ!これ、この前話題になってたよね」

「知ってるの?」

「知ってる、知ってる。だってこの前テレビでめっちゃ紹介されてて、ちょっと気になってたんだよ。これさ、借りても良い?すぐ返すから!」

「全然良いよ。僕、もう何回も読んじゃったから、ゆっくり読んで良いよ」

「マジで!ありがと!」

「あっ!もう、こんな時間だけど、門限大丈夫?寮のおばさん、怖いって有名なのに」

「あっ!やべっ!今日はごめんな。急に来て、鍋まで食べて」

「いやいや、逆に、嬉しかった。来てくれて。また、暇なときで良いから来てほしい」

「了解。また、そのうち来るよ。本も返さないと」

「本当に、ゆっくりでも良いからね。本、返すの。じゃあ、また明日!学校で」

「おうっ!また明日」

太陽のように明るくて、暖かくて。ほんとにいつも、助けられて、支えられて。僕は、優太のおかげで生きていける。優太が居るから生きられる。優太が居てくれて…。ほんとに良かったな…。

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